2013年6月11日(火)



2013年6月10日(月)日本経済新聞
ソフトバンク、米携帯4位買収を検討 スプリント総会 過半数読めず
(記事)



 

ソフトバンク、米スプリントと買収額216億ドルへの引き上げに合意

【東京】ソフトバンクは11日、米携帯電話大手スプリント・ネクステルに提示していた買収額201億ドル(約2兆円)に15億ドル上乗せし、
216億ドルに引き上げることでスプリントと同意したことを明らかにした。
 ソフトバンクによると、今回の変更に伴い、スプリントの株主に支払われる現金は121億ドルから166億ドルに増額され、
資本強化にあてられる金額は80億ドルから50億ドルに減額される。またソフトバンクの持ち株比率は70%から78%に引き上げられる。
 スプリントの株主は12日にソフトバンクの買収について決議を行うことを予定し、一方、米無線通信大手クリアワイヤの投資家は
過半数株主であるスプリントによる買収の是非について13日に株主投票を実施する予定だった。
しかし、いずれも米衛星放送大手ディッシュ・ネットワークに阻止されていた。ディッシュはスプリントに買収を申し出るとともに、
クリアワイヤに株式公開買い付け(TOB)を仕掛けた。しかし、事情に詳しい関係筋によると、スプリントは株主投票の延期に同意していた。
(ウォール・ストリート・ジャーナル 2013年 6月 11日 10:04 JST)
ttp://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324449604578538101372973078.html



 



2013年6月11日
ソフトバンク株式会社
当社によるスプリントの戦略的買収(子会社化)について(開示事項の一部変更)
ttp://www.softbank.co.jp/ja/news/press/2013/20130611_01/

 


June 10, 2013
Sprint Nextel Corporation
SPRINT AND SOFTBANK AMEND MERGER AGREEMENT TO DELIVER GREATER VALUE TO SPRINT STOCKHOLDERS
ttp://newsroom.sprint.com/news-releases/sprint-and-softbank-amend-merger-agreement-to-deliver-greater-value-to-sprint-stockholders.htm

 

 

【コメント】
特にコメントはありません。
ソフトバンクに対しては、「やめといたら」、の一言かと思います。

 

 



それにしても、ソフトバンクはやることなすこと、何かと派手ですね。
昨日、「会社法に基づく計算書類の作成は広く社会一般に開示することを前提とはしていない」と書いたばかりですが、
こんなプレスリリースもありました↓。
株主総会はあくまで会社法に基づいて運営される点に注意です。株主総会に金融商品取引法は全く関係ありません。

 

2013年6月5日
ソフトバンク株式会社
第33回定時株主総会への一般観覧者のご招待について
ttp://www.softbank.co.jp/ja/news/info/2013/20130605_01/


2013年5月31日
ソフトバンク株式会社
第33回定時株主総会 ライブ中継のお知らせ
ttp://www.softbank.co.jp/ja/news/info/2013/20130531_01/

>英語での中継をご希望の方は、下記をご覧ください。(Click below for English version.)
>The 33rd Annual General Meeting of Shareholders

 

ソフトバンクは株主総会をライブ中継するだけでなく、英語でもライブ中継するそうです。
ソフトバンクの現株主や株式の購入を考えている投資家に英語圏の人は一人もいないと思いますが。
「ソフトバンク株式買わないか?」と日本以外の人に言っても、

"Softbank? What is that?"

と言われるだけでしょう。


 


ソフトバンクとは関係ありませんが(一応少しは関係ありますが)、次のような記事もありました↓。

 

スプリント、ソフトバンクに買収される場合には取締役に元将校

 米携帯電話サービス3位のスプリント・ネクステルは7日、ソフトバンクに買収される場合には
取締役会に元軍人のマイク・マレン氏を迎え入れる、と発表した。マレン氏は米軍制服組の元トップ。
 ソフトバンクは先に米国政府と国家安全保障協定を結び、スプリントの事業に対して政府が異例の関与を行うことを認めた。
国境をまたいだ200億ドルでの買収提案をめぐって安全保障上の懸念が高まったことに対応した譲歩で、今回の人事も …
(ウォール・ストリート・ジャーナル 2013年 6月 10日 13:21 JST)
ttp://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324449604578536342234857174.html

 

マイク・マレン氏はゼネラル・モーターズの社外取締役でもありますが、
軍の世界からビジネスの世界へ飛び込み、経営の理解は深まったのでしょうか。
マイク・マレン氏には、

"Mobile phone business? What is that?"

などと言うことがないようにしてもらいたいものです。

"Mike Mullen? Who is that?"

と言われてしまいますよ。

Hey Mike, if needed, I will serve you as the principal business advisor to you.

と私からマイク・マレン氏へは言っておこうと思います。
では、スプリント社からのプレスリリースを翻訳してみました。


 



Sprint Nextel Corporation
06/07/2013 14:03
Retired Admiral Mike Mullen to Join Sprint’s Board of Directors and Serve as Security Director for the Company
Following SoftBank Transaction

 

OVERLAND PARK, Kan.  -  Sprint announced today that retired Admiral Mike Mullen will join
the company’s board of directors as an independent director upon the closing of Sprint’s transaction with SoftBank.
Admiral Mullen also will serve as the company’s Security Director. In that role, he will oversee Sprint’s compliance
with the company’s National Security Agreement with the U.S. government and serve as the U.S. government’s contact
for all security-related matters.
“Admiral Mullen is an admired leader with an impeccable record,” said Sprint CEO Dan Hesse.
“We are fortunate that a person with his experience, accomplishments and reputation will be a member of our new board.”
Admiral Mullen, age 66, served previously as the country’s 17th Chairman of the Joint Chiefs of Staff from October 2007
to September 2011. As Chairman, Mullen was the highest-ranking officer in the U.S. Armed Forces and served as
the principal military advisor to the President of the United States.
Prior to that Admiral Mullen was the U.S. Navy’s 28th Chief of Naval Operations beginning in July 2005.
He is only the third naval officer in the history of the Navy to be appointed to four different four-star assignments;
the others being the Commander, U.S. Naval Forces Europe and Commander, Allied Joint Force Command Naples,
from October 2004 to May 2005, and as the 32nd Vice Chief of Naval Operations from August 2003 to August 2004.
He retired from the Navy after more than 43 years of service.
A native of Los Angeles, he graduated from the U.S. Naval Academy in 1968.
Admiral Mullen also serves as a Director of General Motors.
Sprint and SoftBank are parties to the previously disclosed agreement and plan of merger, dated as of October 15, 2012, as amended.
Consummation of the Sprint-SoftBank merger remains subject to various conditions to closing, including receipt of approval of
the Federal Communications Commission and adoption of the merger agreement by Sprint's stockholders.
Sprint and SoftBank anticipate the merger will be consummated in July 2013, subject to the remaining closing conditions and
the effect of the actions of the Special Committee of Sprint's board of directors, which is currently in discussions and
negotiations with DISH Network Corporation regarding the unsolicited proposal received from DISH in April 2013 or
other developments with respect to such proposal.
Sprint’s Board of Directors recommendsits stockholders vote in favor of the transaction with SoftBank.
ttp://investors.sprint.com/file.aspx?IID=4057219&FID=17352151

 

 


【参謀訳】

 


スプリント・ネクステル社
2013年6月7日 14時3分発表
ソフトバンク社との統合後、退役提督マイク・マレン氏が弊社取締役会に参加し安全保障担当取締役として任務に就く予定です

 

カンザス州オーバーランド・パーク発 ― 弊社は本日、弊社とソフトバンク社との統合が完了し次第、
退役提督マイク・マレン氏が社外取締役として弊社取締役会に参加する予定であることをお知らせいたします。
ミュラー提督は同時に弊社の安全保障担当取締役として任務に就く予定です。
当該任務において、マレン提督は、弊社の米国政府との国家安全保障協定に関し弊社の法令順守を監督する予定であり、
全ての安全保障関連事項のために米国政府との窓口の役割を果たす予定です。
「マレン提督は申し分のない職歴を持った尊敬されるリーダーです」、と弊社CEOダン・ヘッセは語りました。
「彼のような職務経験、業績、評価を持つ人物が新取締役になるとは、弊社は幸運であると思います」と語りました。
66歳になるマレン提督は以前、2007年10月から2011年9月まで米国の第17代統合幕僚会議議長を務めていました。
議長として、マレン氏は米国軍における最高位の将校であり、アメリカ合衆国大統領への主席軍事顧問を務めていました。
その前には、マレン提督は2005年7月から第28代米国海軍幕僚長でした。
マレン氏は、海軍の歴史の中で四つの異なる4つ星職位に任命された数少ない三人目の海軍将校です。
四つの異なる4つ星職位とは、他の全ての将校もなるような(凡庸な)最高司令官職、在欧州米国海軍司令長官、
2004年10月から2005年5月までナポリ同盟国連合艦隊司令長官、2003年8月から2004年8月まで第32代米国海軍幕僚副長、
の4つのことです。
マレン氏は43年間以上の軍務の後、海軍を退役しました。


 



生粋のロサンゼルスっ子であるマレン氏は、1968年に米国海軍兵学校を卒業しました。
マレン提督は現在ゼネラル・モーターズの取締役にも就任しています。
弊社とソフトバンク社は、2012年10月15日付けで既に開示・修正した経営統合契約及び計画の当事者です。
弊社とソフトバンク社の経営統合完了のためには、依然として、米連邦通信委員会からの承認受領や弊社株主様による経営統合契約の承認
を含む様々な条件を満たす必要があります。
弊社とソフトバンク社は、残っている諸条件が満たされ弊社取締役会の特別委員会による決定が有効になることを前提として、
2013年7月にも経営統合は完了するものと見込んでおります。
弊社取締役会の特別委員会は現在のところ、2013年4月にディッシュ・ネットワーク・コーポレーションから受けた招かれざる提案に関して
ディッシュ社と議論と交渉を行っていますが、同種の提案に関しても他にも話を進展させているところです。
弊社取締役会は株主様に対し、ソフトバンク社との手続きに賛成票を投じるよう、引き続き御推奨申し上げます。

 

 


注:
"the others being the Commander,"
の前後は上手く構文が取れませんでした。
"the others being"
とは何でしょうか。
"four different four-star assignments;"
以下に「四つの異なる4つ星職位」が四つ名詞句として列挙してあるのだろうとは思ったのですが。
順番に四つ端的に並べると、
@the Commander、AU.S. Naval Forces Europe and Commander、BAllied Joint Force Command Naples、
Cthe 32nd Vice Chief of Naval Operations、
だとは思ったのですが。
ここでは仮に「他の全ての将校もなるような(凡庸な)最高司令官職」と訳しました。
他の職位名も上手く訳せませんでした。

 


 



2013年6月11日(火)日本経済新聞 公告
発行価格等の決定に関するお知らせ
文化シャッター株式会社
通常社員総会に関する公告
特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
発行価格等の決定に関するお知らせ
クオール株式会社
(記事)


 

クオール株式会社
第21期定時株主総会
ttp://www.qol-net.co.jp/ir/stock/pdf/stockholdersmeeting_130610.pdf

 

連結計算書類に係る会計監査報告
(43/52ページ)



計算書類に係る会計監査報告
(44/52ページ)



監査役会の監査報告
(45/52ページ)


 


【コメント】
いわゆる「監査報告書」が3つありますが、会社法上の重みや株主への配当支払いの重要性を鑑みれば、
「監査役会の監査報告→計算書類に係る会計監査報告→連結計算書類に係る会計監査報告」
の順番に記載すべきかもしれないなと思いました。
「監査役会の監査報告」は日本中の全ての株式会社が株主総会の場に提出せねばならない書類であるのに対し、
計算書類等に係る会計監査報告は、会社法上の大会社のみが提出するに過ぎないからです。
また、計算書類と連結計算書類についてですが、
配当支払いの計算や議決権行使や役員選任のことを考えれば(連結ベースの配当支払いや連結ベースの議決権や連結ベースの役員選任などない)、
少なくとも株主総会の場では、計算書類が主、連結計算書類が従、であるべきでしょう。


 



それから昨日、会社法上適用しなければならない会計基準に関して、上場企業であっても税務基準で財務諸表を作成しても法令上何ら問題なく、

>いわゆる日本基準はその「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」の一つだ、というだけです。

と書きましたが、この点について一言付言します。
「なぜ会計基準は会社法の条文として直接書かれておらず、企業会計基準委員会が企業会計基準として法律とは別に策定しているのか?」
という質問がよくあるかと思いますが、その答えの一つがまさにこれなのだと思います。
いわゆる日本基準を適用している企業というのは、実は日本に存在する株式会社のうち、
たったの0.25%しかないのです(全法人数約150万社に対し上場企業及び大企業約3,700社)。
たった0.25%の企業のためだけに、企業会計基準委員会は企業会計基準を策定し、金融庁は金融商品取引法を立法しているのです。
日本の99.75%の会社は財務諸表作成の際、税務基準を適用している(税法上の処理に従っているだけ)わけです。
つまり、会社法の条文として日本基準を整備してしまいますと、
日本の99.75%の会社にとって会社法の条文の一部が完全に無駄になってしまうわけです。
会社法は日本の全会社を対象としているわけですから、たった0.25%の企業のみが適用する会計処理の方法というのは
会社法の条文とは別に設けるべきだ、という考え方になると思います。


 



では、会計基準を金融商品取引法の条文の一部として書いたらどうか、という考え方もあるわけですが、
今度は逆に、非上場企業が日本基準を適用して財務諸表を作成する(そして株主総会に提出する)のもまた自由なのです。
おそらく、地元の中小企業さんが、米国基準やIFRSを適用して財務諸表を作成する(そして株主総会に提出する)のも自由です。
非上場企業が米国基準やIFRSを適用して財務諸表を作成する(そして株主総会に提出する)ことは
金融商品取引法上も全く禁止されてはいません。
なぜなら、米国基準やIFRSも、会社法上の「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」の一つだからです。
仮に、米国基準やIFRSが会社法上の「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」の一つでないとしたら、
「一部の上場企業は一般に公正妥当と認められてはいない企業会計の基準に従った財務諸表を作成しているんですね」
という話になると思います。
私個人としては、米国基準やIFRSはとても一般に公正妥当と認められた企業会計の基準とは言えないと思っているのですが、
法令上は、米国基準やIFRSは一般に公正妥当と認められた企業会計の基準でしょう。
そうでないなら、米国基準やIFRSを適用している企業は全て上場廃止のはずです。
現在IFRSを任意適用するには4つの要件があると言われていますが、それは上場企業がIFRSを適用する際のハードルだと思います。
非上場企業がIFRSを適用するのは逆に自由だと思います。

平成25年5月28日(火)16時30分〜18時30分
金融庁
企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議 議事次第
IFRS 任意適用要件の緩和について
ttp://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/siryou/soukai/20130528/01.pdf

例えばこちらの資料によると、企業がIFRSを適用できる要件として、
「発行する株式が金融商品取引所に上場されていること」(上場企業を規定)
とありますが、これこそまさに金融商品取引法上の規則であって、非上場企業には適用されない規則でしょう。
非上場企業がIFRSを適用しても、金融商品取引法に違反しているなどということはないでしょう。
そういうわけで、米国基準やIFRSが会社法上の「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」の一つである以上、
非上場企業が米国基準やIFRSを適用して財務諸表を作成する(そして株主総会に提出する)ことは自由であると言えるでしょう。

 


以上のようなことが背景にあって、会計基準は会社法や金融商品取引法の条文として直接書かれておらず、
企業会計基準委員会が企業会計基準として法律とは別に策定しているのだと思います。
他には会計基準改正の柔軟性なども理由かもしれませんが。

 

さらに一言付け加えるならば、一般に「会計基準は法律とは異なる」という言われ方をされることがありますが、
実際の会計処理や財務諸表の作成に際しては、会計基準とその背後にある各種関連法規等が渾然一体となってはじめて機能するものです。
会計基準だけが独立してあるわけではありません。
そういったことを鑑みますと、会計基準とその背後にある各種関連法規等とは有機的に整合性が取れていることが重要なのですから、
会計基準だけをいきなり持ってきても実際の会計処理や財務諸表の作成に際しては、実務上不都合が生じるだけなのです。
これは言語の問題ではなく、会計基準の背後にあるその国の各種関連法規等との整合性の問題です。
配当可能な限度額の計算一つ取っても、日本基準と他の国の会計基準とでは、
繰越利益剰余金の金額も異なれば使用している勘定科目すら異なるわけです。
それで一体何をどう計算していけばいいと言うのでしょうか。
会計基準は法律とは異なると言いますが、実際には会計基準は各種関連法規等と一体不可分なのです。
他の国の会計基準を適用しようとすれば、各種関連法規等も全てその国の各種関連法規等を適用しないと整合性が決して取れません。
各種関連法規等は日本の各種関連法規等だが会計基準だけは他の国の会計基準、では必ずどこかに矛盾が起きるのです。
各種関連法規等は日本の各種関連法規等で運用していくということであるならば、会計基準も日本基準以外は適用できないわけです。

日本企業が米国基準やIFRSを適用することの問題点は極めて多く存在します。
これまでは主に会計理論面からその問題点を論じていましたが、
今日は法の側面からその問題点を指摘してみました。
日本の各種関連法規等に準拠している日本企業が米国基準やIFRSを適用すると必ず齟齬が生じます。
なぜなら、日本基準は日本の各種関連法規等に準拠して作られていますが、
米国基準やIFRSは日本の各種関連法規等に準拠して作られていないからです。
日本企業は、法の観点からも、日本基準を適用する以外ないのです。