2013年6月10日(月)



林・横浜市長、再選出馬表明 次の目標は学齢期

 横浜市の林文子市長(67)は10日記者会見し、8月25日投開票の横浜市長選挙に2期目を目指して立候補すると表明した。
子育て支援や高齢者対策、大都市制度の実現などを2期目に取り組む重点課題に掲げる考えだ。
林市長は「1期目に取り組んだ政策を継続して深め、開花させたい」と話した。
 出馬表明を巡っては、「林文子市長の再選をめざす横浜市民の会」が再選出馬を要請していた。
同会は崎陽軒の野並直文社長など市内の経営者や文化人、福祉関係者ら150人で構成する有志の団体で、記者会見には野並社長も同席した。
 横浜市は企業の認可保育所への参入促進などで、全国の市町村で最多だった待機児童数を2013年4月時点でゼロにした。
林市長は「待機児童対策の実績を市民の皆様が評価してくれたことが、立候補の判断を後押しした」と話した。
 一方で、待機児童ゼロは「一つの通過点」と話し、次の目標として学齢期の児童への対応も強化する考えを表明。
また、高齢化対策としての郊外住宅地の再生や、市庁舎の移転をにらんだ中心市街地の活性化策にも取り組むと述べた。
 林市長はBMW東京社長、ダイエー会長兼最高経営責任者(CEO)などを経て09年8月に民主党の推薦を受け初当選した。
 横浜市長選では、元市議の柴田豊勝氏(66)が立候補を表明しているほか、みんなの党も候補者の擁立を模索している。
(日本経済新聞 2013/6/10 22:21)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXNASFB10067_Q3A610C1L82000/



 


【コメント】
ダイエー再建途中の2006年にサイン会を開催したこと、よもや忘れたわけではあるまいな。
あの時は企業経営ではなくサインを書くのに一生懸命だったのでしょうか。
失礼ながら、その経営では企業は再生しません。
すべては『経営トップの率先垂範』から始まるのではないでしょうか。
不思議なほど会社のリーダー次第で仕事はうまくいくというのが『経営』の極意ではないでしょうか。
経営トップがサイン会など開催していて、本当に顧客の心をつかむことはできるのでしょうか。
経営トップが会社のこととは関係がない時間を過ごしますと、社内はぎすぎすし始め、社員を束ねることなど絶対できません。
経営トップが会社のことはどうでもいいと思っているのなら、社員も「顧客のことはどうでもいいや」、という気持ちになります。

「いくらバカでも政治家くらいできるか、ただ原稿読むだけだからな」と、
女の社会進出には一貫して反対の立場を取っている参謀としては言わせてもらおうかなと思っています。

 


 


経団連、国際会計基準「折衷案」容認 強制適用は慎重

 経団連は10日、日本での国際会計基準(IFRS)の導入に関する提言を公表した。
金融庁が制度設計に入る日本基準とIFRSの「折衷案」を容認したのが柱。
折衷案の制度づくりについては、IFRSのルールのうち日本企業が受け入れにくい部分を、除外できるようにすべきだとの見解も示した。
 現状の日本では国内基準、米国基準、IFRSの3つが併存している。提言では「現在の国際情勢では、今の枠組みを維持する必要がある」
と指摘。これに折衷案を加えた4種類の併存は認めたものの、IFRSの日本企業への強制適用には慎重な見方を示した。
 IFRSは日本基準に比べ時価会計を徹底する点が特徴。金融庁の企業会計審議会で導入の是非を議論しており、
金融庁も上場企業への強制適用を先送りする方針を固めている。
(日本経済新聞 2013/6/10 21:46)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXNASFS10022_Q3A610C1EE8000/



 



2013年6月10日
一般社団法人 日本経済団体連合会
記者会見における米倉会長発言要旨
ttp://www.keidanren.or.jp/speech/kaiken/2013/0610.html

 


2013年6月10日
一般社団法人 日本経済団体連合会
今後のわが国の企業会計制度に関する基本的考え方 〜国際会計基準の現状とわが国の対応〜
ttp://www.keidanren.or.jp/policy/2013/056.pdf

 


2013年6月10日
一般社団法人 日本経済団体連合会
IFRS任意適用に関する実務対応参考事例
ttp://www.keidanren.or.jp/policy/2013/057.pdf

 

 


【コメント】
一応「一般社団法人 日本経済団体連合会」の名で各種コメントや提言等がなされていますが、
経団連というのは経済団体というより政府のゴーストライターというべきでしょうか。
政府の方針を経団連発表という形で発信しているだけだと思います。
そしてそれを経団連からの要望で云々ということになったりするわけです。
まあそのことは置いておいて、
「今後のわが国の企業会計制度に関する基本的考え方 〜国際会計基準の現状とわが国の対応〜」
を元に私からコメントしたいと思います。


 


4.今後の対応
(5)金融商品取引法開示の連結ベースへの一本化
(12〜13/22ページ)


親会社単独の財務諸表は、以前と変わることなく重要です。
持株会社であろうとも、株式の価値は単体ベースの貸借対照表の株主資本が表すわけですから、単体開示は絶対に必要です。
個別財務諸表があるからその連結財務諸表が作成できるのです。
個別財務諸表の作成や開示が作成者にとって負担となることなどあろうはずがありません。
国際的に見て日本のみが個別財務諸表を開示しているというのなら、それは他国の財務情報開示制度が極めて不合理であるということです。
企業が連結財務諸表しか開示しないというのなら、投資家は一体何を拠り所に配当を受け取ればよいというのでしょうか。
逆に言えば、企業は一体何を拠り所に投資家への配当支払いを行っているのでしょうか。
連結株主資本額は配当計算には使えないわけですから、株主はいわば財務諸表の開示を受けずに配当を受け取っていることになります。
企業はもっと多くの配当を支払うべきかもしれないし、もしくは逆に企業は何よりもまず内部留保を優先しなければならないかもしれない。
その判断を行うためには必然的に個別財務諸表が必要なのであって、連結財務諸表だけでは企業のことは何もわからないわけです。
例えば、連結財務諸表だけでは企業の手許現金の金額すら分からないのです。
連結貸借対照表の現金預金の勘定科目の金額は親会社の他に子会社の手許現金も含まれます。
それで一体何が分かるのでしょうか。
連結財務諸表しか開示しないならば、株主は、各事業年度において会社の財産状況を明らかにし剰余金の配当を行う原資を把握する、
という最も基本的なことができないわけです。

 



また、単体情報の開示は会社法開示を活用する仕組みとするのはどうかといった内容の提言も書いてありますが、
この文脈はある意味根底から間違っていると思います。
会社法に基づく計算書類の作成は広く社会一般に開示することを前提とはしていないと思います。
会社法に基づく計算書類の作成は、基本的には現債権者や現株主のみ、
そして最大でも極少数の未来の債権者や未来の株主のみを対象に開示することを前提としていると思います。
会社法に基づく計算書類を公表するか否かについては、会社法上の決算公告との兼ね合いが難しいと言いますか、
上場企業であれば金融商品取引法に基づいて開示を行っていきますから決算公告は全く問題とならないわけですが、
非上場企業の場合は、確かに会社法上決算公告という制度はあるものの、基本的には計算書類は広く社会一般には公表しないことを
前提としていると思います(逆に金融商品取引法開示は広く社会一般に財務諸表を開示することを前提としています)。
経団連からの提言ですから上場企業(金融商品取引法を適用)を大前提にしている話だとは思いますが、
敢えて非上場企業のことまで考えるならば、基本的には「会社法には計算書類を開示する」という概念はない、と言っていいと思います。
”会社法開示”というのは日本語が矛盾しているなと思いました。
会社法による計算書類の開示のようなことを考えると、例えば株主総会招集通知の添付書類が考えられますが、
広く社会一般の人は非上場企業の株主総会招集通知を見ることはできないわけです。
上場企業の場合は、今は(おそらく)全ての企業がホームページ上に株主総会招集通知を開示していますから、
会社法による計算書類も結果として広く社会一般の人も見ることができるわけですが、
上場企業と言えども今でも、会社法による計算書類は現株主や現債権者のみに開示することを前提としていると思います。
インターネットが誕生する以前であれば、上場企業と言えども、会社法による計算書類は、
現株主や現債権者以外は基本的には見ることはできなかったと思います。
証券取引法に基づく財務諸表と商法に基づく財務諸表との差異は極僅かであり事実上同じと言ってよかったので何の問題もなかっただけであり、
上場企業と言えども商法に基づく財務諸表は広く社会一般の人は見ることはできなかったと思います。
株主になれば、株主総会招集通知の添付書類として商法に基づく財務諸表が見れた、というだけだと思います。
いずれにせよ、会社法(旧商法)には、財務諸表(計算書類)を広く社会一般に”開示”するという概念はないと言っていいと思います。
財務諸表を広く社会一般に開示するのは金融商品取引法(旧証券取引法)の役割である、というのは今も昔も変わらないことだと思います。
金融商品取引法と会社法とでは法の趣旨が完全に異なります。
財務情報開示制度について金融商品取引法と会社法で役割分担を明確化するなどということは根源的に不可能、と言っていいと思います。
金融商品取引法において個別財務諸表の開示を義務付けるのは当然のことだと思います。


 



それと、このたびの提言内容とは少しずれた話になりますが。
蛇足になるかもしれませんが。

会社法に基づく財務諸表と金融商品取引法に基づく財務諸表の差異についてなのですが、経団連からの提言には、


>会社法と金融商品取引法で別個の開示を規定し、同様の情報に対して微妙に異なる開示を求めている


と書かれてあり、私も先ほど、


>証券取引法に基づく財務諸表と商法に基づく財務諸表との差異は極僅かであり事実上同じ


と書いたのですが、
上の議論を踏まえれば、これも細かいことを言えば、実は完全に異なることが言えるのかもしれません。




上場企業のホームページ上の株主総会招集通知に添付されている会社法に基づく計算書類(財務諸表)と
有価証券報告書に記載されている財務諸表を見比べてみると分かるように、
両者は事実上同じであることは分かると思います。
ところが、ひょっとしたらこの2つが著しく異なっているとしても法令上は問題ないことになるのかもしれません。
というのは、両財務諸表で適用する会計基準は異なっていてもよいはずだからです。
金融商品取引法に基づく財務諸表を作成する時は、法令上、
企業会計基準委員会が策定している企業会計基準(いわゆる日本基準)に従った財務諸表を作成しなければなりません。
ところが、会社法に基づく財務諸表を作成する時は、法令上特段どの会計基準に従わなければならないとは書かれていません。
ただ単に、「株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする。」(会社法431条)
と書かれているだけです。
いわゆる日本基準はその「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」の一つだ、というだけです。
適用する会計基準をわざわざ変えるのもいろいろと誤解を招く恐れがありますから、上場企業では、
金融商品取引法に基づく財務諸表と会社法に基づく財務諸表とに同じ会計基準を適用しているというだけです。
ここで、非上場企業では、金融商品取引法に基づく財務諸表はもちろん作成しません。
非上場企業では会社法に基づく財務諸表のみを作成するわけですが、その際どのような財務諸表を作成するかと言えば、
税務基準に従った財務諸表を作成するわけです。
いわゆる日本基準は適用しません。
このことを踏まえますと、実は上場企業でも、会社法に基づく財務諸表は税務基準で作成しても法令上問題ないのではないか、と思います。
これが正しいなら、税務基準は損金算入を極力認めない傾向にあり日本基準は減損会計はじめ保守的な会計処理を行う傾向があることを踏まえると、
例えば、有価証券報告書の個別貸借対照表を見て繰越利益剰余金の少なさを理解した上である上場企業の株式を買ったが、
株主総会に出てみたら(召集通知の計算書類の個別貸借対照表を見てみたら)、実は繰越利益剰余金が非常に多く何か得した気になった、
などということが起こり得ると思います。
有価証券報告書の個別貸借対照表の繰越利益剰余金は日本基準に従った場合の繰越利益剰余金、
株主総会召集通知(添付計算書類)の個別貸借対照表の繰越利益剰余金は税務基準に従った場合の繰越利益剰余金、
となるわけですから、個別貸借対照表の繰越利益剰余金の金額が両者で異なることが起こり得るわけです。
有価証券報告書の個別貸借対照表の繰越利益剰余金の方が税務基準のそれよりも大きいということはまずないと思います。
ですから、有価証券報告書を見て株式を買った株主としては、損をした気になることはないので、「まいいか」で済む話だと思います。
ただ、日本基準でも税務基準でも、手許現金の金額は両者で完全に同じです。
雑巾をいくら絞っても現金だけは出てこないのです。
つまり、繰越利益剰余金は開示量より多かったが実際の手許現金の量はやはり同じであるため、
この増加剰余金は「埋蔵金以下(まいぞうきんいか)」と言ったところでしょうか。
お後がよろしいようで。