2013年5月31日(土)



薬ネット販売、結論先送り 「事実上の解禁」続く

 一般用医薬品(大衆薬)のインターネット販売を巡るルールづくりの結論が先送りになった。厚生労働省は31日、検討会の最終回を開いたが、
推進派と慎重派の対立は解けなかった。新しいルールが決まらず、当面は「事実上の販売解禁状態」が続くことになる。
 「これ以上やっても合意は進まない。私もいろんな審議会の座長をしましたけど、これほどまとまらないのは初めて」。
31日の検討会で座長の遠藤久夫学習院大教授はこう感想を漏らした。
 大衆薬のネット販売は1月の最高裁判決が、副作用リスクの高い第1類と第2類の販売を一律に禁じた厚労省の省令を違法と認定。
この判決以降、企業による薬のネット販売の参入が相次いだ。
 厚労省は当初、検討会で5月中に新しい方向性を出すとしていたが、今回結論を先送りしたことで、国のルールがないままの状態が続く。
 ネット事業者ら推進派は、消費者が自ら健康を管理することを促す効用やこれまで店頭では買いづらかった薬を買いやすくなる利点を強調する。
一方、日本薬剤師会など慎重派は、副作用リスクの高い第1類などの販売は一切認めない立場を変えていない。
 6月中にまとめる成長戦略の素案はネット販売を「すべての薬で実現する」と踏み込んだ。だが、夏の参院選を控えた政府・与党内には
票田となる薬剤師会などの反発を買いたくないという空気も強い。今後は閣僚同士の折衝で、この表現が後退するかどうかが焦点となる。
 厚労省は今後のルールづくりのために専門家による新たな検討会を立ち上げる見通し。医療用医薬品から大衆薬に切り替わったばかりの
商品などの販売を規制する案もある。対面販売の原則を維持するために「テレビ電話」でのやりとりを求めるか否かも検討する。
 対面原則を重視し、強い規制を設ければ、ネット事業者のケンコーコムは国に対して「訴訟も辞さない」(後藤玄利社長)構えを見せる。
ルール整備を先送りしても、課題は積み残したままだ。
(日本経済新聞 2013/5/31 22:41)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXNASGC3101A_R30C13A5EE8000/

 

 


薬ネット販売、大部分解禁へ 厚労省検討会が報告書

 市販薬(一般用医薬品)のインターネット販売をめぐり、大部分の薬のネット販売が正式に解禁される見通しになった。
厚生労働省の検討会が31日、報告書をまとめた。副作用リスクが比較的低い薬(2類)は容認の方向性を打ち出した。
一方で、市販薬の2割程度を占める高リスク薬(1類と2類の一部)は意見の対立から結論がまとまらず、両論併記で先送りした。
すでに販売可能なビタミン剤などとあわせ、市販薬の約8割がネット販売できるようになる見通しだ。
 検討会は、規制を違法とした1月の最高裁判決で、ネット販売が事実上の解禁状態となったことを受け設置された。
ただ、推進、慎重の両論が対立。ネット販売を届け出制とし、実店舗も必要とする点では合意したものの、
容認対象や条件は絞り込めないまま幕を閉じた。厚労省は今後、専門家による別の検討の場を設け、具体的な条件を詰める方針だ。
 市販薬は副作用リスクの高い順に1〜3類に分類される。検討会は、ネット販売が禁じられてきた1、2類の薬について、
使う人の体調を把握するためどんな情報や手段が必要かを議論。1類については、必要な情報の具体例として、
副作用の経験や薬の使用状況のほか、触ったり嗅いだりして得られる症状の情報を挙げた。
ただ、推進派の反対で、必須とするかどうかには踏み込まなかった。
(apital 2013年5月31日)
ttp://apital.asahi.com/article/news/2013053100012.html

 


 



【コメント】
2008年以前と同様に、ネットで市販薬(一般用医薬品)を正式に買えるようになる方向に向かっているようです。
大変よいことだと思います。
記事には、

>日本薬剤師会など慎重派は、副作用リスクの高い第1類などの販売は一切認めない立場を変えていない。

と書いてありますが、本当に副作用リスクの高い薬は従来から処方箋がないと薬局でも購入できませんでした(もちろん今でもできません)。
市販薬(一般用医薬品)は全て根本的に副作用リスクなど全くないのです(悪く言えば、その分薬の効き目は弱い)。
副作用リスクなどどれも全くないのに、薬学的根拠は全くないのに任意に第1類だ、第2類だ、第3類だと分類しているだけなのです。
市販薬(一般用医薬品)に関してはネットで自由に買えるというのはむしろ当たり前のことなのです。