2013年5月15日(水)
多様性は1つの保険なんですよ
古森重隆 富士フイルムホールディングス会長・CEO
(日経ビジネスオンライン 2013年5月15日(水))
ttp://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130513/247965/
名言の解説:
本当はコア商品を持っていた方が強いです。トヨタ自動車が良い例です。何か1つで大きな売り上げを確保して世界的な強さを持てるなら、
それがよい。うちも写真というコア商品を維持できれば、その方が絶対によかったのです。
多様性は1つの保険なんですよ。当社はいろいろやらなければならなかったというだけです。
【コメント】
There is the side business the company cannot afford to take, and
there is the side business the company cannot afford not to
take.
(手を出すわけにはいかない本業外もあれば手を出さないわけにはいかない本業外もある。)
There is no substitute for concentrating on its principal
business.
(本業集中に勝る戦略はない。)
テレビ東京社長に高橋氏 HDは島田氏留任
テレビ東京ホールディングス(HD)は15日、高橋雄一日本経済新聞社顧問(61)が6月21日付で副社長に就くとともに、
子会社のテレビ東京社長に就任すると発表した。両社の社長を兼務する島田昌幸氏(68)はHD社長のままテレビ東京の会長になる。
高橋 雄一氏(たかはし・ゆういち)
75年(昭50年)早大一文卒、日本経済新聞社入社。07年取締役、11年常務、12年日本経済新聞出版社副社長を経て13年顧問。東京都出身。
(日本経済新聞 2013/5/15
20:57)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXNASDD150IC_V10C13A5PP8000/
2013年05月15日
テレビ東京
役員および執行役員の異動について
ttp://www.txhd.co.jp/news/pdf/130515_1.pdf
2013年05月15日
株式会社テレビ東京ホールディングス
2013
年度テレビ東京グループ役員新体制について
ttp://www.txhd.co.jp/news/pdf/130515_6.pdf
【コメント】
テレビ東京グループは持株会社制(認定放送持株会社)を取っています。
純粋持株会社の下にテレビ事業子会社が完全子会社としてぶらさがっています。
さらに、純粋持株会社の筆頭株主は株式会社日本経済新聞社であり、発行済株式総数に対する所有株式数の割合は現在31.46%です。
完全子会社である株式会社テレビ東京も純粋持株会社株式を保有しており、発行済株式総数に対する所有株式数の割合は現在4.77%ですが、
子会社による親会社株式の保有ですので、議決権の行使が制限されていますので、
議決権割合の計算の上では、株式会社テレビ東京保有の純粋持株会社株式はないものとして計算しないといけません。
ないものとして再計算すると、株式会社日本経済新聞社が保有する純粋持株会社株式が占める総議決権に対する割合は33.74%とのことです。
ただ、株主が誰であろうと、放送法及び放送法施行規則の規定により、100分の33を超える割合の株式については議決権を有しないとのことです。
株式会社テレビ東京ホールディングス
2012年3月期有価証券報告書
ttp://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=yuho_pdf&sid=1739555
1 【株式等の状況】
(7) 【大株主の状況】
(33/110ページ)
資本関係の話をすると、純粋持株会社株式会社テレビ東京ホールディングスは株式会社日本経済新聞社の持分法適用関連会社です。
そして言うまでもなく、テレビ事業会社である株式会社テレビ東京は純粋持株会社株式会社テレビ東京ホールディングスの完全子会社です。
株式会社日本経済新聞社は株式会社テレビ東京ホールディングスの持分法適用上の親会社、
持分法適用上のことまで含めて考えれば、株式会社テレビ東京は株式会社日本経済新聞社のある意味孫会社であるとも言えます。
このたびのテレビ東京の社長人事は、親会社顧問が孫会社社長に就任する、という見方ができるわけです。
ただ、法律に連結決算や連結経営という考え方はありませんが、万一の際は親会社株主が子会社役員を訴えたい、
という気持ちが親会社株主にあるのは何となく分かるわけです。
また、親会社自身としても子会社の経営には十分な注意を払っていきたい、という気持ちは当然あるでしょう。
それがグループ経営におけるコーポレート・ガバナンスというものでしょう。
しかし同時に、法制度面では「多重株主代表訴訟」は実際にはなかなか機能しないでしょう。
そうしますと、グループ経営を行っていく上で親会社株主は子会社まで目が届かない状況が生まれてしまうわけですが、その解決策として、
「子会社の取締役の数を極力減らし、子会社取締役は全員親会社の取締役にも就任するようにする」というのはどうでしょうか。
全ての親子会社について取締役の兼任を義務付けるのは難しいかもしれませんが、
子会社が親会社と事業上の関連が非常に深い完全親子会社の関係にある場合は、そのようなガバナンスの強化方法もあると思います。
特に持株会社制の場合は持株会社では株式を保有するだけ(もちろんそのような経営方法ですからそのこと自体は問題はありませんが)であり、
事業を全く行っていないため、例えば債権者からすると極端なことを言えば持株会社はそもそも経営実態がないようにも見えるわけです。
実際の資産性のある各種資産や実際の担保となるものを法的に保有しているのは傘下の事業子会社の方であったりするわけです。
そうしますと、経営戦略の策定や実行の上でも経営責任の上でも、事業子会社の取締役が持株会社の取締役に就任することは自然なことなのです。
対外的に実際の法的な責任を負っているのは持株会社ではなく事業子会社の方であることを考えれば、
事業子会社の取締役全員が持株会社の取締役にも就任することを義務付けることは自然なことであり、
「多重株主代表訴訟」の代替手段ともなりますし、また実務上も会社がその義務を果たしていくことは難しいことでは全くないでしょう。
子会社のガバナンスは親会社の責任であることを考えれば、子会社にはそもそも取締役も監査役もいらない、という言い方もできるわけです。
「子会社取締役の親会社取締役兼任の義務付け」、これが「多重株主代表訴訟」の代替手段となるのではないかと思いました。