2013年5月7日(火)



クレディセゾン、りそなカードからUCブランド買収
   
 クレディセゾンは27日、りそなカード(東京都江東区)からUCブランドに関わる
クレジットカード会員事業(加盟店事業を除く)を買収すると発表した。
りそなカードを分割会社とする吸収分割で、買収額は数億円の見込み。8月上旬に分割契約を結び、10月11日付で実施する。
 クレディセゾンのクレジットカード会員は2479万人。りそなカードのUCブランドのクレジットカード会員約9万人を取り込み、
スケールメリットを発揮して事業の効率化を図る。承継する部門の2012年3月期の売上高は11億4400万円。
既存のUCブランドのクレジットカード会員は特定の手続きをせずに、利用を継続できる。
(日刊工業新聞 2013年03月28日)
ttp://www.nikkan.co.jp/news/nkx1220130328daai.html

 

 

2013年3月27日
りそなカード株式会社
りそなUCカード へ事業移管のお知らせ
ttp://www.resonacard.co.jp/static/info/release130327/index.html

 

 

2013年3月27日
株式会社クレディセゾン
会社分割(簡易吸収分割)による事業承継の合意に関するお知らせ
ttp://corporate.saisoncard.co.jp/wr_html/news_data/avmqks00000004qz-att/130327_Release.pdf

 

 


【コメント】
会社分割承継会社である株式会社クレディセゾンのプレスリリース、
「会社分割(簡易吸収分割)による事業承継の合意に関するお知らせ」を引用し少しだけコメントします。
ここでは事業を承継する側(譲り受ける側)の話だと思って下さい。

まず、この会社分割は、

>なお、当社の総資産の増加又は減少額がその直前の事業年度の末日における純資産額の10%未満、かつ、当社の売上高の増加額が
>その事業年度の売上高の3%未満であると見込まれる会社分割であることから、開示事項、内容を一部省略して開示しています。

>※本件会社分割は、承継会社である当社にとって、会社法第796 条第3項(簡易吸収分割)の要件を充足することから、
>株主総会による承認を得ることなく行なうものであります。

ということで、承継会社である株式会社クレディセゾンは、事業承継の合意に関する取締役会決議のみで、事業を承継することにしたようです。
一方、事業承継の対価に関しては、

>(3)分割承継に係る割当ての内容
>当社は、本件吸収分割に際し、承継対象事業に関して有する権利義務の対価として金銭を交付することとし、株式の割当ては行いません。

と書いてあります。
つまり、交付する対価は現金(現金で決済)ということです。

以上のことから何が言いたいかと言いますと、
「現金を対価とする場合は、事業の承継に関しては、『会社分割』と『事業譲渡』とは同じことを意味するのではないか」
ということです。
もしこの考えが正しいとすると、
「現金を対価とする場合は、会社分割の株主総会決議は不要である」
ということになると思います。
なぜならば、「この事業の承継は会社分割ではなく事業譲渡である」と言えば、株主総会は不要となるはずだからです。
”事業譲渡では不可能だが会社分割では可能となる事業の承継”というのはないわけです。
現金を対価とする場合は、事業譲渡を行えば事足りる話であり、会社分割を行う必要はないと思います。

 

 


もう少し法務面の話をすれば、手元の実務書を見ますと、

>事業譲受けの場合は、事業譲渡の場合と異なり、事業全部の譲受けの場合のみ株主総会の決議が必要であり、
>事業の重要な一部の譲受けの場合は譲受会社側の株主総会の決議は不要です。

と書かれています。
要するに、会社分割とは異なり、「これは事業譲渡だ」と言えば株主総会決議は不要となるケースが多いわけです。
「事業の全部譲受け」場合のみ株主総会の特別決議が必要と書いてあり、
交付する対価が譲受会社の純資産の5分の1を超えない場合は簡易事業譲受けとして株主総会の決議は不要と書かれていますが、
全部譲受けではない通常の事業の譲受けの場合は、交付する対価が譲受会社の純資産の5分の1を超えるとしても、
株主総会の決議は不要、という解釈で正しいのだと思います。
また、「全部譲受け」というのは要するに「現金を対価とした吸収合併」ということ同じ(権利義務を包括的に承継するわけですから)
だと思いますので、そのようなケースはまれだと思います。
そういうわけで、事業を譲り受ける側は現金を対価とする場合は、非常に多くの場合事業譲受けのための株主総会は不要となるのだと思います。

なお、企業再生の場面で、経営破綻企業の100%減資を行い事業の受け皿会社を新しく設立し、
そちらへ事業を譲渡する、ということがあると思いますが、
このようなケースの事業譲受けのことを「事後設立」と呼ぶようです。
この「事後設立」の場合は、交付する対価が譲受会社の純資産の5分の1を超える場合は株主総会の特別決議が必要、と書いてあります。
この場合の譲受会社はその事業の譲受けのために設立した会社であるわけですから、
ほとんど全てのケースで交付する対価は譲受会社の純資産の5分の1を超えることになるでしょう。
ただ、この場合の譲受会社はその事業の譲受けのために設立した会社であるわけですから、
株主総会の特別決議が通らないなどということは決してないでしょう。
もしこれで株主が反対だなどと言おうものなら、「あなたは一体なぜその会社を設立したのですか?」という話になると思います。
事業譲受けの場合は非常に多くの場合株主総会の決議は不要と言うことで、
事業譲受は既存企業にとってはある意味非常に使い勝手がいいわけですが、
なぜ「事後設立」の場合は逆に非常に多くの場合株主総会の決議が必要という定めになっているのかは個人的には疑問に思います。
その目的のために新しく会社を設立した株主の意思を考えれば、むしろ「事後設立」の場合こそ、株主総会の決議は不要、
という定めの方が自然なのかなあ、という気が個人的にはします。

 

 


では最後に、現会社法の問題点について一言付け加えます。

 

2.会社分割の要旨
(7)債務履行の見込み
(2/4ページ)


>(7)債務履行の見込み
>本件会社分割において、効力発生日以降における分割会社及び承継会社が負担する債務については、
>履行の見込みに問題はないものと判断しております。

 

ここだけ読むと何の問題もないように思うかもしれませんが、
では、承継会社が負担する債務を履行できなかった場合はどうなるのか、というのがここで問題になるわけです。
通常、分割会社(事業の譲渡の場合も同じです)は分割した債務については履行の義務はありません。
分割した債務は承継会社のみが履行の義務があるのです。
ここで、分割会社だからこそ信用して取引を行った債権者というのがいるわけでして、
債務者が分割会社から承継会社へ変更になることを不満に思う債権者も出てくるわけです。
分かりやすく言えば、承継会社が債務を履行できなかった場合は、債権者は予期せぬ債務不履行を被ることになるわけです。
その場合、債権者は分割会社の方へ債務の履行を請求したいという気持ちがあるのは当然でしょう。
しかし、現在の会社法ではそのような分割会社への損害賠償請求は認められません。
この問題点を一言で言えば、「会社分割に伴う債権者保護手続きが不十分である」となります。
一応、会社分割実施の際には債権者は当該会社分割について異議を述べることができると定められていまして、
債権者が異議を述べた場合は各当事会社はその債権者に対する債務を弁済する等の義務があるようです。
そしてこの弁済を怠った場合は、会社分割そのものが無効になるようです。
確かに、各当事会社はその債権者に対する債務を弁済する等の義務があるというだけでも、それなりに債権者保護の効果はあるとは思いますが、
さらに債権者保護を徹底させるならば、例えば、「分割会社は分割した債務に対し重畳的債務引受または連帯債務保証の義務を負う」
というふうに、民法の原則規定を超えて商行為の特則を会社法上定めるべきである、という考え方もあると思います。
こうすれば、会社分割日時点ではなくその後の承継会社の経営に問題があっても、債権者は安心できる、と思います。

 

 

 


フェイスブック、フォーチュン500社に初ランクイン

 米フォーチュン誌が米ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手フェイスブックに「いいね!」ボタンを押した。
 フォーチュン誌が6日に電子版で発表した、総売上高上位500の米企業を毎年リストアップする「フォーチュン500リスト」に
フェイスブックが初めてランクインした。
 フェイスブックは2013年のリストで482位と、前回の598位から大幅に躍進した。リストによると、同社の12年の売上高は前年比37.1%増の
50億8900万ドル(約5055億円)。1−3月期(第1四半期)売上高は前年同期の10億0600万ドルから14億6000万ドルに増加、
広告売上高全体に占めるモバイル広告売上高の割合は3分の1弱となった。
 同社を挟んで481位と483位にはそれぞれ携帯通信事業者メトロPCSコミュニケーションズと電力会社ペプコ・ホールディングスがランクインした。
インターネットサービス・小売業界でリストにランクインしたライバル企業には通販大手アマゾン・ドット・コム(49位)や
インターネット検索大手グーグル(55位)、ネット競売大手イーベイ(196位)がある。
 フォーチュンはリストの中でフェイスブックは今後数十年に人々の生活を変える可能性のある
10の「トランスフォーメーションテクノロジー(変換技術)」のうちの1つを保持していると言及。その技術とはモバイル重視戦略の一環として
4月に配信が開始された携帯電話向けソフトウエア「Facebook Home(フェイスブックホーム)」だ。
「『ホーム』や『グラフ検索』のような製品は独自の重要なサービスを世界に提供できる大きなチャンスであり、
われわれはそうしたサービスをどの企業よりもうまくやれる体制にある」。マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は
電話による第1四半期決算説明会でこう語った。
 フェイスブックは年齢の若さでも注目を集めた。現在28歳のザッカーバーグ氏はリストに掲載された企業の中で最も若いCEOだ。
最年長の生鮮品大手ドール・フーズのデービッド・マードックCEOとの年齢差は約62歳。
さらにフォーチュンによると、フォーチュン500社で40歳未満のCEOはわずか2人で、その1人がザッカーバーグ氏で、
もう1人はインターネット検索大手ヤフーのマリッサ・メイヤー氏。
(ウォール・ストリート・ジャーナル 2013年 5月 07日 13:27 JST)
ttp://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324826304578467973695554136.html

 

 


【コメント】
デタラメ話もここまでくると言う台詞がなくなるわけですが。


ただ、私最近思うんですが、実は世の中自体が昔から虚構だらけのようなところはあるわけです。
フォーチュン500社、なんて言いますが、大昔からフェイスブックのような架空会社はフォーチュン500社の中にもたくさんあったのかもしれません。
私が知らないだけで。
フェイスブックが架空会社であることがあまりに分かりやすいためにたまたま私が気付くことができただけで、
実は昔から立派な会社のふりしてフォーチュン500社に名を連ねている”架空名門企業”はたくさんあったのかもしれません。
フェイスブックは誰の目から見ても架空会社であることが分かるだけ良心的な気がしてきたわけです。
もちろん、架空会社が上場していること自体は許せませんが、これでフェイスブックが架空と分からないのだとしたら
そちらの方がおかしいのではないかという気もしてくるわけです。
世の中の何もかもが架空に近いことを思いを巡らしますと、
フェイスブックと言う会社は実は「世の中に対するアンチテーゼ」なのではないかと私は思うようになりました。
ちょうど、だらしがない格好・反道徳的な装いで京の町を歩いたあの一休宗純のように。
「王様は裸だ」と叫んだ子供ではありませんが、
「みんな気付いてないかもしれないけど、どの企業もフェイスブックみたいに架空会社っぽいところがあるんだよ、名門企業のふりしてるだけさ」、
そうフェイスブックは世の中に対して言いたいのではないだろうか、とすら思えてきました。
「これでフェイスブックが架空会社だと分からないのならいよいよそいつはバカだ、
そしてフェイスブックが架空会社だと気付けば、実は名門企業とされている会社も相当架空っぽいところがあるんだろうなと想像がつくはずだ、
俺の存在でそのことに気付くよな。」
フェイスブックは実はそう言いたいのかもしれません。
資本市場の健全の観点からはフェイスブックの上場は決して許されるものではありませんが、
フェイスブックとしては、「それを言うならあの企業もそうだしあそこの企業もそうじゃないか」、と言いたいかもしれません。
「みんな実は架空、立派な企業のふりしてるだけさ」、そうフェイスブックを通じて言いたい人がいるのかもしれないな、と思いました。

「フェイスブックは世の中に対する強烈なアンチテーゼを放っている」

そう考えると、世の中の人に何かを気付かせるためにフェイスブックは株式市場に放置しておくのもよいかもしれません。
人は何かをきっかけに世の中が壮大な虚構でできていることに気付かねばなりませんが、フェイスブックはそのよいきっかけになると思います。
まあ、経営と会計の融合が専門の私としては、「株式の購入は自己責任で」とだけは言っておきますが。