2013年5月2日(木)



2013年4月30日(火)日本経済新聞
進化するコンビニ 新市場を拓く 上
シェア攻防 地方が主戦場 データ・試飲、客を呼ぶ
(記事) 

 

 

2013年5月1日(水)日本経済新聞
進化するコンビニ 新市場を拓く 中
地場チェーン、大手追撃 「自前主義」貫き生き残り
(記事)

 



2013年5月2日(木)日本経済新聞
進化するコンビニ 新市場を拓く 下
出店合戦、立地奪い合い 加盟店、くら替えの動き
(記事)

 

 



2013年5月2日(木)日本経済新聞
■ダイエー 丸紅が筆頭株主に
(記事)



 

2013年5月1日
株式会社ダイエー
主要株主及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ.
ttp://www.daiei.co.jp/corporate/index.php/release/lists/detail/892

 

 


【コメント】
丸紅が筆頭株主に、と書かれていますが、以前から丸紅グループがダイエーの筆頭株主でした。
ただ、ダイエー株式の保有法人としては、
丸紅株式会社単体が18%、丸紅の投資子会社が11%、という形でダイエー株式を保有していたので、
株主(自然人・法人)単位で見ると、筆頭株主はイオン、第2位株主が丸紅株式会社、第3位株主が丸紅の投資子会社、
となっていたわけです。


さて、この株式の異動は面白い示唆を与えてくれるでしょう。
丸紅の投資子会社はもちろん丸紅が意思決定を支配しているわけです。
丸紅の投資子会社を丸紅が意思決定を支配してからこそ、丸紅はこのたび投資子会社保有のダイエー株式を丸紅本体に移せたわけです。
そうしますと、議決権行使に際し、丸紅の議決権行使の意思と丸紅の投資子会社の議決権行使の意思は同じであるわけです。
つまり、丸紅株式会社ははじめから筆頭株主であり29%強の議決権を保有していたことと全く同じなのです。
それなのに、株主単位で見ると、ダイエーの筆頭株主はイオン、丸紅は第2位、となっているわけです。
これは議決権の保有実態を正確に表しているとはとても言えないでしょう。
会計制度においては、個別決算のみでは経営実態を表しきれない場合があるから補助的位置付けとして連結決算も同時に開示していくべきだ、
という流れで連結決算が導入されました。
個別決算だけでなく、連結ベースでも経営を見てこそ見えてくる経営実態と言うのは確かにあるわけです。
それと同じで、議決権保有割合というのも、株主単体ベースだけではなく、株主連結ベースでも開示していくことが必要であると思います。
会計上、株主の側から見てその会社が連結子会社に該当するか否かは間接保有も含めた上で判断しているように、
法務上、議決権を握られている側から株主を見る(自社の株式の状況を開示する)場合も、その株主の保有議決権割合が何パーセントかは
間接保有も含めた言わば連結ベースの保有議決権割合というものも開示していく必要があると思います。

なお、先ほど、”会計上”と”法務上”と敢えて言葉を使い分けましたが、その理由は、
どの会社が連結子会社かによって連結決算の会計数値は大きく異なってきますが、
誰が株主かによっては連結決算の会計数値は変わらない、ということを暗に表現してみました。
このたびの例で言えば、ダイエーは誰が連結会計上の親会社であっても自身の連結財務諸表には何の変化もない、という意味です。
これはあくまで会計上の話です。
経営上はイオンの経営戦略を受けて長期的にはダイエーの連結財務諸表は変化していくでしょう
(ダイエーは救いようがないくらい終わっているから誰が株式を取得しても同じだ、という嫌味を言っているわけではありません)。

 


 



2013年5月2日(木)日本経済新聞
パナソニック 持ち合い株1000億円売却 有利子負債を圧縮
(記事)

 

 


【コメント】
パナソニックがトヨタ株式やホンダ株式や新日鉄住金株式を保有していたとはとても思えませんが。
株式の持ち合いというのは愛や友情で行うものではありません。
経営上のメリットや目的があってこその株式の持ち合いです。
逆に、経営上のメリットや目的がなければ、株式の持ち合いも長続きしないでしょう。
パナソニックが、トヨタやホンダや新日鉄住金と株式を持ち合うことに何のメリットがあるというのでしょうか。
デタラメ記事のことを”飛ばし”と言ったりしますが、株式の売却だけにこれがほんとの売り飛ばし、とでも言いたいのでしょうか。


まあ何にせよ、株式を相互に持ち合うことがお互いの絆の強さを表すのであれば、
企業はお互いの株式を市場で現金を支出して取得して保有し合うべきでしょう。
それが自社の現金を相手方株式に固定するということの意味です。
何が言いたいか。
株式の持ち合いだなどと称して、お互いがお互いに第三者割当増資を実施するということはするべきではない、
と言いたいわけです。
相互の第三者割当増資は、表面上貸借対照表にお互いの株式が計上されますし、確かに法律上お互いに対する議決権も発生しますが、
両社とも株式取得ために現金は支出していないわけです。
それは少なくとも経営上はお互いの絆を表すものではありません。
同じ株式の持ち合いでも、現金を支出して相手方株式を取得した場合と相互の第三者割当増資により相手方株式を取得した場合とでは、
本質的に大きな違いがあります。

 

それと、非上場企業の場合は、企業同士の株式の持ち合いということは事実上ないと言ってよいように思います。
これは、非上場企業の場合は買収の恐れは全くないということの他に、
相互に現金を支出して相手方株式を取得しようと思っても、当然市場では相手方株式を取得できないことが理由です。
この点でも上場企業と非上場企業は著しく異なると言っていいのかもしれません。
敢えて非上場企業同士でお互いの絆の強さを示し合いたいと思うのなら、
一方の企業のみが第三者割当増資により相手方の株式を取得する(相互の第三者割当増資は意味がない)か、もしくは、
社長(おやじ)さん同士がお互いの子供を政略結婚させるというような、経営とは全く関係のない手段によるしかないのかもしれません。

 

 



さらには次のような手段も考えられます。
一方もしくは双方の企業の社長(おやじ)さん個人が、相手方株式を第三者割当増資で取得する、
という方法もあるかもしれません。
つまり、企業同士がお互いの企業株式を取得し合うのではなく、
社長(おやじ)さん同士がお互いの相手方企業株式をたすき掛けのようなイメージで取得し合う、という方法もあると思います。
この手法の考え方を推し進めていくと、最後は、社長(おやじ)さん同士が両社を合併させるという方法に行き着くわけですが。
社長(おやじ)さんが共に合併新会社の株主になる、ということであれば、これほど強い絆もないかもしれません。
まあここでくると、既に”企業同士の絆”の話ではなくなってくるわけですが(社長さん個人同士の絆っぽくなりますね)、
非上場企業は本来的に会社組織で言えば(有限責任の株式会社ではありますが)人的側面が強い組織ともいえますので、
最後は社長さん個人同士の絆っぽくなるのはむしろ本質的な部分なのではないか、と思います。

明治期から株式会社という制度はあったのですが、戦前はあまり利用されておらず、
長い期間、人的側面の強い合名会社・合資会社が非常に多く利用されてきました。
それは結局のところ、非上場企業あれば商取引上も社長さんの個人保証を付けるような形で事実上無限責任を背負って経営を行っているわけで、
本質的に株式会社制度にはメリットがなかったからでしょう。
非上場企業における株式の持ち合いを深く考えていくと、最後は企業同士が企業株式を保有し合う形ではなく、
両社の株主同士がお互いの企業株式を保有し合う形になるのはむしろ本質的な部分なのだと思います。
経営に大企業も中小企業もなく、また、経営に上場企業も非上場企業もないのですが、
やはり「株式の取り扱い」に関してだけは、上場企業と非上場企業は著しく異なるな、と今日改めて思いました。


今後、上場企業同士の株式の持ち合いのことを「物的相互保有」、
非上場企業同士の株式の持ち合いのことを「人的相互保有」、と呼ぶことにしましょう。
どちらも私の造語ですが、商法における「人的」・「物的」の意味が分かれば、この造語・命名が本質を突いていることが分かるでしょう。
非上場企業の場合は、そのようにしか株式の持ち合いを実現できない、という意味です。