2013年4月15日(月)
2013年4月12日(金)日本経済新聞
オリックス、月内にも発行 初の個人向け10年債
(記事)
債務者側からすると、借入金と社債との違いは、その柔軟性にあるわけです。
貸出金は返済期日前に返済することも可能です(返済に銀行が応じやすい、もしくはその交渉相手は借入先の銀行のみ)。
しかし、社債は前倒し償還の条項を前もって定めておかない限り、前倒し償還が極めて困難です。
資金運用のつもりで買っている場合もあるでしょうから債権者が前倒し償還に応じないということもあるでしょうし、
そもそも社債は小口多数分割が特徴ですから、債権者(=交渉相手)の数が借り入れに比べてはるかに多いわけです。
そうしますと、企業の側にとっては、社債は実は使い勝手が悪く、銀行借り入れの方が残高のコントロールがしやすい、と言えるわけです。
大企業の場合は有価証券報告書を既に提出していることが多いため、
新たに社債を発行すること自体にはそれほど煩雑な手続きはいらないのかもしれませんが、
資金調達は銀行借り入れのみで十分間に合っているというのが実態であると思います。
金利も実は銀行借り入れと新たに発行する社債とで同じというのが実際のところでしょう。
銀行における金利の自由化などというのが嘘なのは言うまでもありませんが、
新たに発行する社債の金利が債券市場で決まっているというのもまた嘘でしょう。
実際には貸出金利と同じ様に一定の行政指導の下機械的に決まっているのだと思います。
金利面で社債発行が有利ということは結局ないわけです。
多くのことを考えていきますと、企業は実は社債を発行する理由もメリットもないというのが本当のところだと思います。
企業は実は銀行借り入れだけで何の不自由もしておらず(社債を発行する理由というのが本当にない)、
わざわざ社債を発行するというのは何かまた別の理由があるということだと思います。