2013年2月15日(金)
経営再建中の九州乳業(大分市、江川清一社長)は15日、自力での再建を断念し、
飲料・食品卸売業の阪神酒販(神戸市、檜垣周作社長)グループの支援を得て事業を継続すると発表した。
会社分割で新設する会社(社名は同じ九州乳業)に事業を移転し、
従業員約200人の雇用や「みどり牛乳」のブランドは維持しながら再建を目指す。
新会社の株式の大半を阪神酒販のグループ会社が取得し、檜垣氏が社長に就任する。新会社は主に仕入れ販売事業を担当し、
製造部門は新会社や大分県酪農業協同組合が出資する事業協同組合が引き継ぐ。役員は原則全員退任し、旧会社は特別清算する。
新体制は4月1日に発足する予定。
旧会社の有利子負債約40億円のうち、新会社が引き継がない約28億円について取引金融機関に債権放棄を要請している。
阪神酒販はグループに外食フランチャイズ店を展開するジャスダック上場のアスラポート・ダイニングなど多数の食品関連企業を抱える。
新会社は合理化徹底のほか、阪神酒販グループの販売チャネルを活用して売り上げを拡大し、2017年3月期の営業黒字化を目指す。
九州乳業は牛乳消費の低迷などから経営が悪化し、10年4月に99億円の債権放棄を柱にした自主再建計画に着手した。
しかし、工場での事故や夏場の生乳不足もあって売り上げは伸び悩み、営業赤字が続いていた。
(日本経済新聞 2013/2/16
1:05)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXNZO51768720V10C13A2LX0000/
経営譲渡を発表 九州乳業、新体制で再建
経営再建中の九州乳業(大分市)の江川清一社長は15日、県庁で記者会見を開き、
飲料や食品の製造・販売業を中心にした阪神酒販(本社・神戸市、檜垣周作社長)グループに
経営を譲渡して新体制で再建を目指すと表明した。
新しく設立する九州乳業の代表取締役には檜垣社長が就任する予定で、4月にも事業を開始する意向を示した。
会見で江川社長らは牛乳市場の縮小、工場事故や生乳不足などで売上高を回復できずに再建計画の達成が困難になった経緯を説明。
「事業や財務で支援を得られるスポンサーの協力が不可欠と判断した。自主再建を断念する」と語った。
スポンサー候補と交渉する中で、阪神酒販グループは債務を引き継ぐ割合、従業員約200人の雇用継続、
「みどり」ブランドの維持―といった点で条件が最も良かったという。
今後はグループの販路活用や新商品の開発、コスト削減の徹底などで2017年3月期の営業黒字化を目標に掲げる。
ただ債務の調整が条件で取引先の金融機関に対して2度目となる債権放棄の協力を要請することになる。
江川社長らは「厳しい意見をいただいており、大変申し訳ない。会社を存続させる意義を理解してもらうよう全力を注ぐ」と話した。
販路生かし再建を
広瀬勝貞知事の話 自主再建の断念は残念だが、新しいスポンサーは雇用を維持し、
県内の酪農業者との取引も継続するということで少しホッとしている。
全国の販路を生かした九州乳業の再建に期待している。
(大分合同新聞 2013年02月15日
14:36)
ttp://www.oita-press.co.jp/localNews/2013_136090679242.html
阪神酒販グループ、九州乳業を支援
経営再建中の九州乳業(大分市、江川清一社長)が
飲料や食品の製造・販売業を中心に全国展開する阪神酒販(本社・神戸市、檜垣周作社長)グループの
経営支援を受けることで合意したことが14日、関係者への取材で分かった。
九州乳業は私的整理により2010年から自主再建に取り組んできたが、スポンサーの支援を受けて抜本的な経営再建に取り組む。
債務の調整が条件となっており、取引先の金融機関に協力を要請している。
計画では、新会社を設けて九州乳業の社名と「みどり」ブランドは存続。土地や工場は引き継ぎ従来の取引も継続する。
従業員約200人のうち希望者は雇用を継続する方針。経営責任を明らかにするため現役員は全員退任する。
経費を抑えるため新会社は製造部門とその他部門に分割する。
阪神酒販グループは阪神酒販を中心に飲料、食品のネット販売や宅配事業などを展開。
グループ企業の東洋商事が新しい九州乳業の株式のほぼ全てを取得する方針。
九州乳業を傘下に収めることで乳業分野に進出し、グループの販路を活用して生乳や乳製品の販売拡大を図るとみられる。
九州乳業は牛乳の消費低迷などから09年に経営悪化が表面化。10年から経営再建計画に基づいて人員削減や生産拠点の閉鎖などで
合理化を図ってきたが、工場内の事故や原料の生乳不足が響いて売上高が回復していない。金融債務は約40億円。
新たな経営スポンサーによる抜本的な再建が不可欠と判断し、昨春からおよそ20社と交渉していた。
九州乳業の売上高は12年3月期で122億7300万円。
(大分合同新聞 2013年2月15日
09時34分)
ttp://www.oita-press.co.jp/localNews/2013_136088883412.html
【コメント】
記事の内容が正しいのなら、現九州乳業株式会社は100%減資を行い会社清算、
阪神酒販株式会社が事業の受け皿となる会社を設立した上で、この新会社(社名は同じ九州乳業株式会社)に「事業譲渡」を行う、
という事業再生手続きを行うようです。
現九州乳業株式会社は2010年にも私的整理を経ていまして、その際には多額の債務免除を受けているようです。
今回も私的整理という形を取るようですが、今回は記事の通りなら100%減資を行うようです。
100%減資となりますと、九州乳業株式の価値はゼロになるわけですが、現在の株主は大分県や大分県酪農業協同組合のようです。
借入金の債務保証などもあったりするでしょうから、
記事通りではなく、実際には通常の事業再生手続きとは異なる面もあるのかもしれません。
例えば、借入金の棒引き(債務免除益は特別利益)を行い、大分県が一定額増資を引き受けて債務超過を解消した上で、
現九州乳業の全株式を1円で阪神酒販株式会社へ譲渡、といった具合です。
これですと、結局100%減資は行わない、ということになりますが。
記事には、2017年3月期の営業黒字化を目標、などと書かれていますが、今まで通り公的な債務保証付きの融資を受け続け、
そして債務免除を受け続けるだけでは決して黒字化はしません。
絶対に永遠に赤字のままです。
わざわざ県庁で記者会見しているくらいです、100%減資は行わないのかな、と推測していますが。
各種報道を読む限りは九州乳業株式会社は100%減資を行うと読めますが、
実際には100%減資は行っていないことが発覚した場合は九州乳業株式会社は何と言い訳をするのでしょうか。
「あれ、からかっただけだから。」
とでも言うのでしょうか。
そして、大分県は何と言い訳をするのでしょうか。
「県民を騙すことにかけては我々は腕に覚えがありますから。」
とでも言うのでしょうか。