2013年2月8日(金)



2013年2月8日(金)日本経済新聞
「しごと館」京都府に譲渡へ 無償、今国会に法案提出 政府 環境など産学拠点に
建設に581億円、年10億円超の赤字 「無駄の象徴」 閉館後も放置
(記事) 

 

 

【京都府からのコメント】
府に譲渡されても困るんですが・・・。

 

 

【コメント】
議員と違って、地方の首長は住民の直接選挙による公選制で、ほとんど大統領に近い権限を有していて、議会から罷免されることもない、
という意見を時々耳にします。
10年前、ある会合で現役の県知事が「国会議員だと何もできない。県知事だと自分ひとりで決めてよい権限が大きい」
というようなことを語っていたのを覚えています(10年前の現役の県知事ですから誰の発言か40数人に絞られてしまいますが)。
結論だけ言えば、そんなことは全くなく、議員でも県知事でも何もできないというのが実態でしょう。
例えば、この「しごと館」を建設しないことを当時の京都府知事に決定する権限があったとでも言うのでしょうか。
地方交付税交付金なしでは一日たりとも財政がもたないのに、何が自治でしょうか。
地方自治体とは随分都合のいい言葉ですね。

地方自治などという幻想はいい加減捨てるべきではないでしょうか。
税は国税に一本化する、地方税は廃止、まずそこから始めるべきだと思います。
同時に、地方自治の象徴であるかのように錯覚させる効果しかない地方の各首長は全て廃止でよいと思います。
各議会の議長が兼ねればよいと思います(例えば、県議会議長がそのまま県知事でいいわけです)。
まあ、県議も市議も地方自治という幻想や錯覚の一つだ、と言われればそれまでですがね。

 


 


2013年2月8日(金)日本経済新聞
御園座、私的整理で再建 トヨタなどに増資要請 債務超過解消へ
(記事)



 


株式会社御園座
四半期報告書 ‐ 第123期 第2四半期(平成24年7月1日 ‐ 平成24年9月30日)
(EDINETと同じPDFファイル)



株式会社御園座
有価証券報告書 ‐ 第122期(平成23年4月1日 ‐ 平成24年3月31日)
(EDINETと同じPDFファイル)

 

 



【コメント】
見出しには私的整理と書いてありますが、ただ単に地元企業に第三者割当増資を引き受けてもらってその現金で借入金を返済する、
というだけでは私的整理とは言わないかと思います。
仮に、債権者自身に第三者割当増資を引き受けてもらうことになると私的整理(デット・エクイティ・スワップ)と言えると思います。


さて、御園座は債務超過のようです。
四半期ベースでいえば、2011年9月末から債務超過が続いていますので、このままだとそろそろ上場廃止事由にひっかかるのでしょう。
債務超過なのに資金繰りが今でも続いている理由は、どこかの企業のように政府保証付きで銀行から現金を借り入れ続けているからではなく、
純粋にそのビジネスが理由です(借入金返済の猶予も大きいとは思いますが)。
劇場運営ですから物を仕入れるわけではありません。
また、いわゆる劇場のチケットは何ヶ月も前からの前払い(全席指定など)であることがほとんどかと思いますので、
現金が先に入ってくるビジネスモデルです。
赤字基調ですのでトータルでは現金の流出は止まっていません(営業キャッシュフローはマイナスがずっと続いている)が、
借入金返済の猶予もあってぎりぎり資金はつながっているのでしょう。


このようなプレスリリースもありました↓。


2010年9月30日
借入金返済に関する金融機関との同意のお知らせ
株式会社御園座
ttp://www.misonoza.co.jp/images/pr_h22_0930.pdf


上記私的整理を経ても赤字体質からは脱却できず、結局2011年9月末に債務超過に転落し現在もそのままだということは、
2年8ヶ月前から現在に至るまで状況は何も変わっていないということです。
分かりやすく言えば、借金の棒引きだけしてもらっても黒字になるわけではない、ということです。
財務諸表で言えば、貸借対照表から借入金をなくしても、損益計算書は何も変わらないということです。

 

 

 



【法律について思ったこと】

 


法は目的の達成のために最低限あるだけです。法が本質的に重要なわけではありません。法そのものには意味はないのです。
会社法で言えば、会社法が重要なのではなく、債権者保護が本質的に重要なのです。
本来、法は会計理論の枠内になければなりません。法が会計理論を作り出すのは逆転現象なのです。
会計理論に反する法が存在する場合には、法を変える必要を主張しなければならないのです。
会計理論には強制力がありませんが、法にはその力があります。
だから会社法があるだけなのです。

 

「倫理と法」という言葉がありますが、会社法における倫理とは、究極的には債権者保護であり、
より具体的には、倫理とは資本充実の原則や企業会計原則の考え方を守っていくことではないでしょうか。
資本充実の原則や企業会計原則の考え方がまず先にあり、
そして資本充実の原則や企業会計原則の考え方を守っていくために会社法はあるのだと思います。
会社法が先にあるのではないと思います。

「倫理と法」で言えば、倫理が先、法はその倫理のためにあるだけでしょう。
会社法も同じではないでしょうか。