2013年1月8日(火)



2013年1月8日(火)日本経済新聞
CIA長官にブレナン氏 米大統領指名へ テロ対策で実績
(記事)



 

2013年1月8日(火)日本経済新聞
幹事は正しい上場案件選べ
(記事)


 


2013年1月8日(火)日本経済新聞
REITのビルファンド 増資で666億円調達 4物件の購入に充当
(記事)



 


2013年1月8日(火)日本経済新聞
■レックス・ホールディングス レインズに社名変更
(記事)

 


 



2013年1月8日(火)日本経済新聞
■アコーディア株 レノなど3社14%弱保有
(記事)

 

 



【コメント】
このたびアコーディア・ゴルフ株式を取得したファンド・レノはいくらでアコーディア・ゴルフ株式を取得したのでしょうか。
まあ単純に株式公開買付価格よりも高い価格だったのか低い価格だったのかが気になるわけですが。
基本的には株式公開買付期間中は株価は株式公開買付価格に張り付くわけですが、
今回のようにアコーディア・ゴルフの経営陣が大反対している中での敵対的な株式公開買付の場合は、
成立が不透明な部分もありますので、株価が変動しやすいのです。
心理戦のような側面もあるでしょう。
アコーディア・ゴルフの株価を見てみましょう。


「アコーディア・ゴルフのここ3ヶ月間の値動き」


アコーディア・ゴルフの株価は公開買付価格81,000円を下回って推移しています。
レノからすると単純明快、「株価が公開買付価格より低かったから買った」、ただそれだけのことでしょう。
81,000円のものが81,000円未満の価格で売っているのです。
いわゆるさや取り・裁定取引(アービトラージ)ができるわけです。
買わない理由はないのでしょう。


 



アコーディア・ゴルフの経営陣は今回の公開買付価格は非常に低いと主張しています。
アコーディア・ゴルフの今後の経営計画を踏まえると、
「PGMによるTOB価格は当社の株式の理論価格を大きく下回っていると考えております」
と、プレスリリースの中でアコーディア・ゴルフの経営陣は株主に訴えかけています。
レノとしては、「でもそんなの関係ねえ。」と言いたいところでしょうか(冗談ですが)。


2013年1月4日
株式会社アコーディア・ゴルフ
株主の最善の利益の実現に向けて
ttp://www.accordiagolf.co.jp/file/pdf/news_20130104153212.pdf


「大和証券及びPwCによる株式価値算定結果」
(7/20ページ)


レノとしては、株価が公開買付価格より低い限り、
今後も買付期間終了(応募締切日)までアコーディア・ゴルフ株式を買い進めるのでしょう。
そして、株価が公開買付価格よりわずかでも上回るなら、レノはアコーディア・ゴルフ株式を1株も買わないでしょう。


と同時に、不思議に思うことがあります。
保有株主からすればあと数週間待てばアコーディア・ゴルフ株式は81,000円で売れるわけです。
今公開買付価格より低い価格でアコーディア・ゴルフ株式を売却している株主って何なんだろう、という疑問があります。
今アコーディア・ゴルフ株式を売却している株主は、このたびの公開買付が成立しないことにそれほどまでに自信がある
ということなのでしょうか。
そして逆に、レノは、このたびの公開買付は必ず成立するという自信があるということなのでしょうか。

 

 

 


2013年1月8日(火)日本経済新聞
神戸鋼、40〜50億円に 新日鉄住金、戻し益230億円 株価回復で評価損縮小
(記事)

 

2013年1月8日
株式会社神戸製鋼所
平成25年3月期第3四半期 投資有価証券評価損の戻入に関するお知らせ
ttp://www.kobelco.co.jp/ir/library/fncl_results/2012/__icsFiles/afieldfile/2013/01/07/20130108_modoshi.pdf

 

 


【コメント】
神戸製鋼所が保有している新日鉄住金株式の株価が帳簿価額よりも著しく低くなっているので、
第3四半期決算にて神戸製鋼所は新日鉄住金株式の評価損を計上する、という内容です。
評価損の金額ですが、帳簿価額ははじめから一通りしかありませんし2012年12月31日現在の株価と言うのも当然確定していますから、
評価差額は自動的に一つの数値に決まります。
記事のように40〜50億円などと幅が出てくる話ではありません。

それと、全く同じ新日鉄住金株式の評価損について、第2四半期決算では180億円計上、このたびの第3四半期決算では35億円計上、
とのことですが、実はここには会計理論上大きな矛盾があります。
お気づきでしょうか?
どこが矛盾か分かりますか?


投資有価証券評価損は、「時価が著しく低下し、近い将来その価額が取得原価まで回復すると見込まれないとき」に計上します。
市場価格が著しく下落したときには、回復すると認められる場合を除き帳簿価額を時価に付け替え、損失を計上するという考え方をします。
「著しい下落」とは、通常50%程度又はそれ以上下落した場合をいいます。
「回復する見込みがある」と認められるときとは、株式の場合、時価の下落が一時的なものであり期末日後おおむね1年以内に時価が
取得原価にほぼ近い水準にまで回復する見込みがあることを合理的な根拠をもって予測できる場合を言います。
おそらく企業会計の方が税務の考え方に合わせたということだと思いますが、
法人税法上も「著しい低下」とは、簿価又は取得原価の50%以下の下落の指しています。


 


それで、何が矛盾かと言いますと、神戸製鋼所が保有している新日鉄住金株式の時価なのですが、帳簿価額と比べて、
第2四半期末日では180億円低かった、そして、第3四半期末日では35億円低かったわけです。
帳簿価額と比べて、新日鉄住金株式の時価は、第2四半期末日では180億円低かった、そして、第3四半期末日では35億円低かったわけです。
第2四半期末日では180億円も低かったわけですが、第3四半期末日では35億円しか低くなくなったわけです。
株価が順調に回復しているから評価差額は小さくなったわけです。
これは株価に回復の見込みがあると言わないでしょうか。
市場価格が「回復すると認められる」わけですから、神戸製鋼所は新日鉄住金株式について評価損を計上してはならないのです。

さらに言えば、神戸製鋼所が保有している新日鉄住金株式の帳簿価額がいくらかは分かりませんが、評価損の金額(の推移)から考えて
既に市場価格は「著しい下落」の状態にないのではないでしょうか。
市場価格は取得原価よりもわずかしか低くない水準ではないでしょうか。
そうだとすると、なおのこと神戸製鋼所は新日鉄住金株式について評価損を計上してはならないと思います。

過剰に投資有価証券評価損を計上するというのは一種の逆粉飾でしょう。
会計基準上はもっと単純に、取得原価と市場価格との評価差額は、
「その他有価証券評価差額金」を用いて純資産直入にて処理すべき、ということになると思います。
投資有価証券評価損という形で減損処理は行ってはならない、ということになると思います。
逆粉飾と言って言い過ぎなら、保守的過ぎる会計処理をしてしまった、ということになると思います。


これが神戸製鋼所が新日鉄住金株式について評価損を計上することの会計理論上の大きな矛盾点です。

「矛盾点」





もう少し詳しい数字が知りたいと思いました。
神戸製鋼所の有価証券報告書を見ておきましょう。

 


平成24年3月期 (2011年度) 有価証券報告書 第159期 (平成24年6月27日提出)
自 平成23年4月1日 至 平成24年3月31日
ttp://www.kobelco.co.jp/ir/library/vlbl_security/2011/__icsFiles/afieldfile/2012/06/26/11_1.pdf

 

 

まず、株主の状況を見てみましょう。
新日鉄と住友金属が合併しましたので、神戸製鋼所の株主の状況も変化しているはずです。
合併は2012年10月1日付でしたこの有価証券報告書には当然書かれていませんが、状況の変化は分かるはずです。

 

「大株主の状況」
(37/130ページ)



現在の筆頭株主は新日鉄住金株式会社だと思います。
6.9%の議決権を保有していると思います。
2012年10月1日付で新日鉄と住友金属が合併し、それと同時に筆頭株主になったわけです。

 

 



次に、新日鉄株式と住友金属株式の状況です。

 

保有株式の状況
保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式の保有区分、銘柄、株式数、貸借対照表計上額及び保有目的
前事業年度
(52/130ページ)

保有株式の状況
保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式の保有区分、銘柄、株式数、貸借対照表計上額及び保有目的
当事業年度
(54/130ページ)


これらの数値も確かに参考になるのですが、
やはり時価評価後の価額という点が気になります(時価評価後の価額が大切な場面ももちろんあります)。
ここはやはり時価評価や減損処理の後ではなく、その前の価額、
すなわち、一番最初の取得価額を知りたいと思いました。
そこで、神戸製鋼所の過去のプレスリリースを見てみました↓。

 

 



2007年12月19日
株式会社神戸製鋼所
新日本製鐵株式會社
住友金属工業株式会社
新日本製鐵(株)・住友金属工業(株)・(株)神戸製鋼所間の連携深化・拡大に伴う相互の株式追加取得について
ttp://www.kobelco.co.jp/releases/2007/12/1179298_12015.html


>(2) 新日鉄・神戸製鋼間相互に約150億円の株式を追加取得することと致しました。 
> ・神戸製鋼の新日鉄における出資比率 現在:0.41%(0.4%)→今回取得後レベル:0.8%(0.8%)

>(3) 住友金属・神戸製鋼間相互に約150億円の株式を追加取得することと致しました。 
> ・神戸製鋼の住友金属における出資比率 現在:1.71%(1.8%)→今回取得後レベル:2.4%(2.5%)

>( )内は議決権比率にて、取得後は想定。



 


そもそも神戸製鋼所は新日鉄株式と住友金属株式を合計いくら分取得していたのかを見てみました。
神戸製鋼所、新日鉄、住友金属は従来から株式の持ち合いをしていましたが、2007年12月にさらに持ち合いを強化しました。
2007年12月の前に持ち合いのために株式を取得した時の取得額がいくらだったのかは知りませんが、
仮に1株当たりの取得額が2007年12月に取得した時と同じであると考えるなら合計取得金額はこうなります。

神戸製鋼の新日鉄に対する合計株式取得金額=150億円÷(0.8−0.4)×0.8=300億円

神戸製鋼の住友金属に対する合計株式取得金額=150億円÷(2.5−1.8)×2.5=536億円

新日鉄株式と住友金属株式の合計=300億円+536億円=836億円

 

 


一番最初の新日鉄株式と住友金属株式の取得価額というのは以上のような金額になります。
合計の現金支出額と言うことになりますが、この金額を特に原始取得価額と言ったりします。
この価額を基に期末には時価評価が行われるわけですが、時価の下落が著しい場合には減損処理が行われます。
通期(1年間)の期末日の減損処理は翌期首には戻し入れは行われません。
この戻し入れは行わない減損処理後の新たな帳簿価額のことも取得価額といいます。
神戸製鋼所ではおそらく一度(2011年3月期以前)、戻し入れは行わない減損処理を新日鉄株式と住友金属株式の両方に行っていると思います。
そうしますと、神戸製鋼所が保有している新日鉄株式と住友金属株式の合計(合併しましたから)の減損処理後取得価額は
400億円弱になっていると思います。
現在では、この400億円弱の減損処理後取得価額を基に、各期末に時価評価を行っています。
この400億円弱の減損処理後取得価額に比べてさらに50%以上下落した(=200億円弱にまで時価が下がった)場合、
減損処理ということが行われるわけです。
仮に減損処理後取得価額よりも期末時点の時価が小さいのだとしても、
減損処理後取得価額に比べて時価がさらに50%以上下落したというわけではないのなら、投資有価証券評価損を計上することは間違いです。
投資有価証券評価損の金額は必然的に取得価額の金額の半分以上になります。

 

 



では最後に、有価証券報告書やプレスリリースとは別の角度から取得価額を計算してみましょう。
直前四半期(平成25 年3月期第2四半期)の投資有価証券評価損(単独)179億円を基に、
新日鉄株式と住友金属株式の取得価額の絞り込みを行ってみましょう。
この絞り込みから、私は、このたびの投資有価証券評価損は金額が小さ過ぎるな、何かおかしいな、
そもそも投資有価証券評価損を計上することは間違いなのではないかと気付きました。


ちなみに、絞り込みで使う一元一次不等式は中学校二年生で習います。
受験勉強は何の役にも立たないと言う人がいますが、そんなことは絶対にありません。
下に計算して示しているように、受験勉強は将来必ず役に立ちます。


 



取得原価を x とすると、減損処理をしたということは減損処理後の価額は取得原価 x の50%未満ということだから、
直前四半期(平成25 年3月期第2四半期)の投資有価証券評価損(単独)について以下の不等式が成立する。

x − 179 < x × 0.5

この不等式を x について解くと、

x < 358

つまり、神戸製鋼所保有の新日鉄住金株式の取得原価は、358億円未満であることが分かる。
一方で、直前四半期(平成25 年3月期第2四半期)に投資有価証券評価損(単独)を179億円計上できたということは、
神戸製鋼所保有の新日鉄住金株式の取得原価は179億円以上であることが分かる(取得原価にマイナスはない)。
以上をまとめれば、神戸製鋼所保有の新日鉄住金株式の取得原価は「179億円以上358億円未満」であることが分かる。

ここで、平成25 年3月期第3四半期の決算において、神戸製鋼所は保有している新日鉄住金株式について
35億円の投資有価証券評価損を計上するとのことです。
しかし、取得原価をどんなに小さく見積もった場合でも、取得原価は最低でも179億円あるわけですから、
取得原価を一番小さな価額179億円だと仮定しても、減損処理後の価額は144億円もあります。
市場価格が取得原価の50%未満に下落した場合に減損処理ということを行うのです。
ところが、

179億円−35億円 > 179億円×50%

となっているではありませんか。


神戸製鋼所は保有している新日鉄住金株式について、減損処理(投資有価証券評価損)ではなく、
純資産直入による時価評価(評価差額は「その他有価証券評価差額金」で処理)のみを行わなければなりません。

ちょっと経理部長を呼んできてもらっていいですか。このままじゃ無限定適正意見を出せませんので。
まあ最後だけ冗談ですが。