2012年1月4日(金)



日本取引所G株が東証1部に重複上場、売り先行で初値は3740円に

  1月4日(ブルームバーグ):日本取引所グループ(JPX)株がきょう、東京証券取引所第1部に重複上場し、
売り気配で始まった後、午前9時20分すぎに取引が成立した。東証での初値は3740円と、
大阪証券取引所ジャスダック市場における昨年12月28日終値の4300円に対し13%安い水準となった。
日本取引所Gは、大証を存続会社として行われた東京証券取引所グループとの合併による統合持株会社。
東証Gと大証は2011年11月22日、国際市場での日本のプレゼンス向上を目指し経営統合で合意し、
昨年8月に東証Gが株式公開買い付け(TOB)で大証株の3分の2を取得して子会社化。
同年11月の両社の臨時株主総会を経て、ことし1月1日付で新体制をスタートさせた。
日本取引所Gの斉藤惇最高経営責任者(CEO)は新会社のウェブサイト上で、
「情報通信技術の急速な発達に伴う金融取引システムの発展により、国境を越えた市場間の競争はますます激化している」と指摘。
金融商品の多様化や市場機能の集約、取引システムの統一化を通じグローバルな競争力を強化し、
「新規ビジネスや新興企業へのリスクマネーの提供の場としての機能を十分に発揮することで、わが国金融資本市場の活性化、
ひいては日本経済の成長に寄与していく」と抱負を述べている。
日本取引所Gの13年3月期の連結純利益見通しは70億円(東証Gの12年4−12月期計画に13年1月1日以降の日本取引所Gの計画値を合算)。
これに大証の今上期の20億円を加えると90億円となり、前期の東証Gと大証の単純合算値117億円からは23%減る見込み。
この点について、斉藤氏は昨年12月の定例会見でのれん代やシステム統合を見込んだ加速償却などが減益要因と説明していた。 
(ブルームバーグ 2013/01/04 09:57 JST)
ttp://www.bloomberg.co.jp/news/123-MG2RDZ6JIJY401.html

 

 



2013年1月4日
株式会社日本取引所グループ
年頭ご挨拶
ttp://www.jpx.co.jp/news-releases/130104_a.html

 


2013年1月4日
株式会社日本取引所グループ
東京証券取引所市場第一部への上場に伴う当社決算情報等のお知らせ
ttp://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1026555

 

 

東京証券取引所のニュースリリース
ttp://www.tse.or.jp/news/


大阪証券取引所のニュースリリース
ttp://www.ose.or.jp/news/

 

 


【コメント】
1月1日付けで経営統合だ、本日新規上場だ、と言っているわけですが、
考えてみれば依然として従来通り東京証券取引所もありますし大阪証券取引所もあるわけです。
共同持株会社を設立しただけでは何の意味もないのですが。
株式市場そのものを一つにしないといけないわけすが。
株式市場を一つにすることは極めて簡単です。
現在大阪証券取引所に上場している銘柄を全て東京証券取引所にそのままテクニカル上場させるだけです。
審査も何もいりません(現時点でそれらは既に大阪証券取引所に上場しているわけですから)。
日々株式を売買している投資家にも何の影響もありません。
こんなに手間もかからず簡単なことすらしないということは、証券取引所を一つにする気はないということではないでしょうか。
率直に言えば、株式市場を一つにしないのなら経営統合などしなければよかったのではないかと思います。


 

 

 


日本企業が企業価値を高めるには成長性と投下資本利益率をバランスよく高めることが肝要
――ティム・コラー氏インタビュー(マッキンゼー&カンパニー プリンシパル)
(ダイヤモンドオンライン 2013年1月4日)
ttp://diamond.jp/articles/-/30025

 

 


【コメント】
マッキンゼーと言いますと特に戦略面に重きを置いた書籍が多く出版されているかと思いますが、
この「企業価値評価」は財務面から企業経営を考えている本です。
経営の結果が各種財務指標にどのように反映されるのか、そしてまた逆に、
各種財務指標を改善していきたいならどのような経営を行っていかねばならないのかについて書かれています。
昨日紹介しましたIASB理事の記事の発言を引用して表現すれば、どのような財務指標を考案しても、

>1つのマジックナンバーで企業を表そうとする

ことは不可能ですし、

>「たった1つの指標で会社の全てを表現できるとは考えていない。そんなに単純ではない」

というのは間違いないことだと思います。
しかし、会計上の数値や財務指標が企業の経営の結果の一つを表していることもまた事実だと思います。
財務指標で経営ができるわけではありませんが、会計や財務指標を無視した経営もまたないはずです。

 


さて、「企業価値評価」のタイトル通り、この本では企業価値全体について体系的に記述されているわけですが、
本の中にはいわゆる株価を中心に議論が展開されているわけです。
マッキンゼーのクライアントはほとんどが上場企業なのだと思いますが、
様々な財務指標も最後には株価に行き着く、企業価値とは株主価値でありすなわち企業価値とは株価だ、
というような論調が中心になっていると思います。
確かに、株価も企業価値を表す一つだとは思います。
株価が下落することを期待して株式を購入する投資家は一人もいないでしょう。
企業価値を大きくすることは最終的には株価を上げることだ、という考えは間違いだとは思いません。

 

 



ただ、例えば2008年のリーマン・ショックのように、
世界的な金融危機といった経営とは無関係なマクロ経済環境によって株価が大きく変動することはあるわけです。
またマクロ経済は安定していても、投資家の根拠のない思惑で株価が決まっている面もあると思います。
株価は経営の結果ではない部分もありますし、株価が企業価値の絶対ではないとも思います。

一方、ティム・コラー氏もインタビューで言っているように、企業価値を高めるための経営の原則は古今東西不変です。
企業経営に上場企業も非上場企業ありませんし大企業も中小企業もないのです。
企業を永続させていくためには何をしなければならないのか、その原理原則が変わることは決してありません。
そして、その経営の結果を表す一つの手段がやはり会計だと思います。
非上場企業にも会計は必ずありますし中小企業にも会計は必ずあります。
各種財務指標を掲載する際もその基礎は必ず会計上の数値です。
私は以前「経営とはキャッシュ・フローである」と書きましたが、キャッシュ・フローを計算する時も会計上の数値が必要なのです。
会計とは無関係のキャッシュ・フローなどありません。
そういったことを踏まえますと、やはり会計を理解することが企業経営の結果を理解する上で必要不可欠であるように思いますし、
よりよい経営を行っていくための手段であるように思います。
経営の結果は会計に表れる、そう言い切ってよいと思います。
そうすると、企業価値を高めるとは何かと言いますと、究極的には「優良な財務諸表につながるような経営を行っていくこと」と言えると思います。
立派な経営を行っていれば必ず立派な財務諸表になります。
株主や株式の話をすれば、当期純利益を通じて利益剰余金が増加し結果株主資本が増加します。
簿価で考えれば、株主資本の増加が企業価値の増加なのです。
そしてそれは企業にとって財務基盤の強化や手許現金の増加とイコールでしょう。
立派な経営を行って立派な財務諸表につなげていくことは株主の利益にもなりますし企業の利益にもなります。
いわゆる株価で企業を評価するとなりますと、株価は経営とは無関係の部分が出てきますので一言では何とも言えないのですが、
簿価で考えてきますと、本来は究極的には企業の利益と株主の利益はイコールなのだと思います。
例えば株主の間違った要求のために過剰な配当を企業が行ったとしますと、企業の財務基盤は弱体化しますし
手許現金も減少してしまいますが、株主資本も同じだけ減少しますから結局株主もある意味損するわけです。
それで企業が倒産でもしたらそれこそ株主の持分(株式の価値)はゼロです。
もちろん、過剰な配当を受け取った後その株主が株式を誰かに売却してしまえばその株主は利益のみを受け取ることができてしまいます。
現在の株式の上場制度の欠点はここにあると思います(簿価での売買であれば配当後”株価”は下がりますので問題ありませんが)。
上場している以上は株価はもちろん重要ですが、株主があなたの代わりに経営を行ってくれるわけでもありません。
株価は経営の極一部しか表していないということもありますので、必要以上に株価を気にすることはせずに、
上場企業・非上場企業問わず、立派な財務諸表につながるような良い経営を日々心がけて下さい。