2012年12月29日(土)



サンクス東四国90店、セブンイレブンに衣替え 訴訟で和解

 香川県と徳島県でコンビニエンスストアを運営するサンクスアンドアソシエイツ東四国(高松市)は来年3月以降、
運営する約90店をセブンイレブンに衣替えして営業を始める。セブン―イレブン・ジャパンへの契約切り替えを巡って
サークルKサンクスと争っていた訴訟で28日までに和解が成立した。サークルKとの契約満了後に店舗を改装、
セブンイレブンの店舗として営業を再開する。
 東四国が和解金を払い、同社が運営する約120店のうち約30店はサークルKが引き継ぐことで和解が成立した。和解金の金額は非公表。
セブンイレブンは18年度末には四国で520店を独自に展開する計画で、東四国のくら替えにより出店数が上積みされる。
 サークルKよりも競争力があるとして、東四国はセブンイレブンと契約する方針を打ち出した。これに対しサークルKは
「契約上、東四国はサンクス以外のコンビニ事業は行えない」として今年8月、東京地裁に提訴していた。
(日本経済新聞 2012/12/28 19:37)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXNASDD280LL_Y2A221C1TJ2000/

 



 


「サンクス」90店が「セブン」に…香川・徳島

 香川、徳島両県内のコンビニエンスストア「サンクス」123店のうち約90店が来年3〜5月、
業界最大手の「セブン―イレブン」に切り替わることがわかった。
 運営するサンクスアンドアソシエイツ東四国(高松市)がフランチャイズ契約先を変更するため。
セブン―イレブン・ジャパン(東京)は来春以降、四国に独自に500店以上を出店する計画で、切り替え分を含むと600店を超え、
競争が激化しそうだ。
 東四国社は香川で53店、徳島で70店のサンクスを運営しているが、「店舗側が強く希望している」として、
来年1月に切れるサークルKサンクス(東京)との契約を更新せず、セブン―イレブンへのくら替えを決めた。
 サークルK側は「契約違反」として8月、差し止めを求めて東京地裁に提訴したが、
今月27日、東四国社が和解金と約30店をサークルK側に引き渡すことで和解が成立。和解金額は公表されていない。
 その間にセブン―イレブンは、これまで店舗がなかった四国への独自進出を発表。食品工場や配送センターも新設し、
2019年2月末までに約520店を展開する方針だ。
 四国内のコンビニ店舗数(11月末時点)は、ローソンが442店、ファミリーマートが269店、サンクスが204店、
サークルKが168店。ローソン、ファミリーマートを中心に激しい出店競争が続く。
コンビニ業界に詳しい日本フランチャイズ総合研究所(東京)の秋葉聡一郎・主席研究員は
「セブン―イレブンは立地選定や営業が巧みで、1日当たりの売上額は業界トップ。四国内の勢力図が変わることも予想される」としている。
(読売新聞 2012年12月29日16時53分)
ttp://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20121229-OYT1T00019.htm





 


四国のサンクス系コンビニがセブンイレブンに乗り換え 約100店
 
 香川県と徳島県でコンビニエンスストアを展開するサンクスアンドアソシエイツ東四国(高松市)が、運営する店舗を
サークルKサンクスからセブン−イレブン・ジャパンに変更することが28日、分かった。サークルKとの契約が来年1月に切れた後に
店舗の改装などを実施し、3月上旬から5月にかけてセブンの店舗として約100店をオープンさせる。
 コンビニ業界の競争激化により、セブンと契約したほうが売上高の増加などにつながると判断した。
サンクスアンドアソシエイツ東四国によると、セブンの店舗運営に変更するのは契約違反だとして東京地裁に提訴していたサークルKとは、
解決金の支払いで27日に和解した。
 新規出店も含めて、香川県で約40店、徳島県で約60店をセブンの店舗として運営する方針だ。
(産経新聞 2012.12.28 18:45)
ttp://sankei.jp.msn.com/economy/news/121228/biz12122818460023-n1.htm

 



 


約100店がセブンにくら替えへ/サンクス東四国


 香川、徳島でコンビニエンスストアのサンクスを展開するサンクスアンドアソシエイツ東四国(香川県高松市)が、
来春の四国進出を表明しているセブン―イレブン・ジャパン(東京)との契約に切り替え、
来年3月以降に約100店を運営する方針であることが、27日分かった。東四国社のくら替えで、セブン―イレブンの出店スピードは
大幅に加速し、県内コンビニ業界の競争は一層激化するものとみられる。
 東四国社は、サークルKサンクス(東京)の地域運営会社で、現在は香川53店、徳島70店の計123店のサンクスを運営。
来年1月でサークルKサンクスとの契約が切れるのに合わせ、競争力の高いセブン―イレブンへの転換を模索していた。
 しかし、サークルKサンクスは「契約満了後の他のコンビニ経営は契約違反」とし、差し止めを求めて東京地裁に提訴。
訴訟は27日、東四国社が解決金を支払い、123店のうち約30店の経営をサークルKサンクスが継承することで和解が成立した。
解決金額は非公表。
 東四国社は和解成立を受け、セブン社と正式に契約。今後は、サークルKサンクスとの契約が切れる来年1月11日で、
転換する約90店を一時閉鎖。改装工事を行い、3月上旬から5月にかけ、順次セブン―イレブンとしてオープンする。
また、新規の店舗開発も進める方針で、香川約40店、徳島約60店の計約100店となる見込み。
 セブン社は今年9月、来年春に四国へ進出することを発表。2019年2月までに520店の出店を目指している。
同社の出店計画に、東四国社からの転換分は含まれておらず、出店店舗数に上積みされる。
 サンクスアンドアソシエイツ東四国のセブン―イレブンへのくら替えの背景には、コンビニ各社の生き残りをかけた、し烈な競争がある。
サンクスから他社への転換など、より競争力の高いチェーンへの流れは全国でも散見されている。
業界トップのセブン―イレブンの進出で、四国は激しさを増すコンビニ業界のシェア争いを象徴する地域となりそうだ。



競争力の高さに魅力 激しさ増すシェア争い

 セブン―イレブンは、プライベートブランドをはじめとする商品力や、集客力の高い立地を選定する店舗開発力を強みにシェアを拡大。
地方での出店にも力を入れ、2013年度の新規出店予定数は過去最多の1500店と、出店を加速している。
 四国には来春進出し、東四国社からのくら替え分とは別に、独自で19年2月までに520店を出店する計画。
特定地域に集中的に出店する「ドミナント戦略」で、四国でも出店攻勢をかける方針だ。
 一方、セブン―イレブン、ローソン、ファミリーマートに次ぐ業界4位のサークルKサンクスは、競争力で上位3社に水をあけられる。
サークルKサンクス1店舗の1日当たりの売上高は約49万円で、トップのセブン―イレブンの約67万円との差は歴然。
東四国社傘下の男性経営者(60)は「サンクスは何をしても上位3社の二番煎じ。将来性は感じられない」と不安を抱く。
 東四国社は、こうしたオーナーの声も踏まえ、セブン―イレブン側と親交のあった地場証券の香川証券(高松市)の仲介で
セブン社と水面下で折衝。サークルKサンクスとの訴訟に発展しながらも転換にこぎつけた。
 四国のコンビニ店舗数(11月末時点)は、ローソン442店、ファミマ269店、サンクス204店、サークルK168店。
店舗の淘汰が日々進む中、セブン―イレブンの進出や東四国社のくら替えで、業界の勢力地図は大きく塗り変わる。
(四国新聞社 2012/12/28 09:45)
ttp://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/economy/20121228000117

 

 

 


【コメント】
昨日の松井秀喜氏の引退の報道に比べれば非常に地味で小さな記事ですが、
セブンイレブンそしてサークルKサンクスにとっては、極めて大きな、本当に極めて大きな戦略的意思決定を表す出来事だと思います。
一言で言えば、このたびの戦略的意思決定により、四国内の勢力図は完全に塗り変わります。
そして、コンビニエンス業界全体としても、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの三強時代にいよいよ入ってきた、
ということを意味します。


サークルKサンクスにとっては、このたびの戦略的意思決定は単にフランチャイズ店舗120店を失うに留まりません。
現在四国ではサンクスは204店とのことですが、一気に半分以上を失うことになります。
効率的なお弁当・おにぎり・パン・デザート類の配送が命綱のコンビニにとって、
店舗が一気に半分未満になることは配送ルートの壊滅を意味します。
コンビニ本部からすると、フランチャイズ店舗にお弁当・おにぎり・パン・デザート類の配送ができなくなるわけです。
そうなるとコンビニ本部としてはもうこれ以上四国のフランチャイジーとフランチャイズ契約を結ぶことはできない、
ということになるわけです。
率直に言えば、サンクスは四国から撤退、ということになると思います。
サークルKサンクスにとって四国の120店をセブンイレブンに明け渡すというのは、四国からの撤退と事実上イコールだと思います。

 

 


和解金額は公表されていないとのことですが、具体的な金額は分かりませんが、これもまた「極めて大きな金額」なのは間違いありません
理屈では2013年2月決算で受取和解金(特別利益)、支払和解金(特別損失)として損益計算書にそれぞれ計上・開示されるはずですが、
両者とも正直には開示しないと思います。
細かい会計処理のことをいうと、和解金という「現金」の支払いが分割の場合、
発生主義会計(損益計算書)上は2013年2月期にこのたびの和解金を全額計上しなければならないと思いますが、
現金主義会計(キャッシュフロー計算書)上はその期その期に受け取った(支払った)分のみ計上、という会計処理になります。
複数年に渡る分割払いの場合、未収和解金、長期未収和解金、未払和解金、長期未払和解金が資産・負債に計上されることになります。

具体的な和解金額は分かりませんが、サークルKサンクスとしては今まで多くの時間と現金を投下し築き上げてきた四国全体の配送網を失う
ほどのことを決断しなければならないわけです。
対価として非常に多くのものを得たいという思いは当然あるでしょう。
また、「四国に何としても進出したい、他社に先駆けて短期間で一気に店舗を手に入れたい」というセブンイレブンの意図を読んだ上で、
悪い言い方をすれば、「これだけの金額を払ってくれるのなら」という思いもあったかもしれません。
セブンイレブンとしては「これほどの大金を支払う必要があるのか」という意見もあったと思います。
「和解金がここまでの大金になるというのなら四国進出はもうしばらくしてからでもいいのではないか」、そういう意見もあったと思います。
セブンイレブン内部でも相当意見が分かれたと思います。
多くの議論を経て、最終的には多額の和解金を支払ってでもこのタイミングで四国へ進出しようということになったのだと思います。
四国を狙っているのはローソン、ファミリーマートも同じことですから、この機を逃せば四国進出は遠のくかもしれないわけです。
和解金の金額が大き過ぎて、セブンイレブンとしては一番最上位の決裁が必要だったのだと思います。
セブンイレブンとしてはまさに何か大きな企業を買収するつもりで意思決定をしたのだと思います。
この120店はそれほどまでに大きな意味を持つのだと思います。
また、この120店はサークルKサンクスにとっては四国からの撤退を意味しますから、戦略的に見れば単にお金で測れるものではないと思います。
両者にとって表面上の和解金額は、短期的には巨額でも、長期的には巨額ではないのかもしれません。

サークルKサンクスの担当者(業務執行のトップであり代表権を持つ社長自身が出てきてもおかしくないくらいの意思決定だと思います)は
このたびの和解の契約書に判を押した時、心の中できっとこう思ったでしょう。
「これで四国からは撤退だな。そして我が社はもうセブンイレブンさん、ローソンさん、ファミリーマートさんに追いつくことはないだろう」
と。