2012年12月13日(木)
三菱航空機、「MRJ」販売で米SkyWest社と正式契約---90席クラスを100機納入、追加オプションも
三菱航空機(本社名古屋市)は、同社の小型ビジネスジェット機「MRJ」について米国の地域航空会社大手であるSkyWest社と
正式に販売契約を締結したと発表した。契約では90席クラスの「MRJ90」を100機受注した他、オプションとして
さらに100機が追加される可能性がある。定価ベースの販売額は、最初の100機が42億米ドル(約3360億円)、オプションの100機も同額となる。
三菱航空機は、MRJを100機販売することでSkyWest社と2012年7月に基本合意していた。
今回の発表では、さらにオプションの100機が契約内容に加わっている。
納入を始める時期は、最初の100機が2017年、オプションの100機が2021年を予定している。
(Tech-On! 日経ものづくり 産業機器・部材 2012/12/13
18:14)
ttp://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20121213/256351/
2012年12月13日
三菱航空機株式会社
三菱航空機とスカイウェスト社、MRJ100機購入 更に、オプション100機追加に関する正式契約を締結
ttp://www.mrj-japan.com/j/news/news_121213.html
2012年12月13日 名古屋発:
三菱航空機と米スカイウェスト社は、90席クラスの三菱リージョナルジェット(MRJ90)100機購入、並びにオプション100機追加の
正式契約を締結したことを発表した。スカイウェスト社は、米国で2社のリージョナルエアラインを保有する持ち株会社で、
2社を合わせたリージョナル運航は、世界最大を誇る。当正式契約の締結により、スカイウェスト社と三菱航空機は、
米国のリージョナル航空市場におけるビジネスの拡大を可能とする。スカイウェスト社へのMRJ納入は、現在のところ2017年に開始し、
オプションが実施された場合の納入開始は2021年となる予定。100機購入の総額は、MRJ90のリストプライスで42億ドル、
100機分のオプションが追加されれば更に42億ドル増加となる。
三菱航空機の江川豪雄社長は次のようにコメントしている。
「重要なこの契約をスカイウェスト社と正式に締結することができ、大変喜ばしく思います。今回の大型受注は、
間違いなくMRJプログラムを成功へと導く、大変意義ある受注です。三菱航空機では社員一丸となって、
一日でも早くこの次世代の航空機をお客様にお届けできるよう努めて参ります。」
スカイウェスト社のブラッドフォードR.リッチ社長は、次のようにコメントしている。
「三菱航空機とMRJ購入に関する契約を正式に締結できたことを、とても嬉しく思います。燃料効率性、客室快適性、環境性能性に優れる
MRJは、我が社に更なる付加価値をもたらします。スカイウェスト社と三菱航空機は今後、更なる関係強化を図って参ります。」
このたび三菱航空機が受注した次世代国産ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナル・ジェット)」の納入は2017年開始とのことですが、
スカイウェスト社では既に2017年の航空計画が定まっている、などということはあり得ないかと思います。
また、航空機を納入する側の三菱航空機としても、航空会社の航空計画が決まっている以上は納入できませんでした、ではすまないわけです。
他の大手航空会社であれば、受注を受けた機材を納入できない場合は代替機を納入するという手段が取れますが、
三菱航空機には代替機などないわけですから、航空会社の航空計画に直接的に影響を与え得るわけです。
三菱航空機は代替機すら用意できない、となりますと航空会社としてはもう三菱航空機に発注するのはやめよう、
という話になってくるわけです。
そういったことを考えますと、三菱航空機が航空機の受注を開始するのは「完全に量産体制が整ってから」ということになると思います。
そして、こういうのも一種の”規模の経済”というと思いますが、メンテナンスの体制も、運航している機材数が多ければ多いほど
効率的になっていくわけです。
これは逆に機材が一機のみ運航している状態を考えれば分かるでしょう。
簡単に言えば、空港での整備に使うメンテナンスの部品や装置は機材が同じだと使い回せるわけです。
航空会社としては、いざ「MRJ(三菱リージョナル・ジェット)」を使用するとなると、ある程度の機数一度に使用していきたい、
という思いがあるでしょう。
また、パイロットの養成(機材の運転免許は機材毎に全て異なるでしょう)も効率よく行っていきたいという思いもあるでしょう。
航空計画の作成・認可、必要機材数の算出、機材の生産・納入、パイロットの養成、実際の就航、
これらは約1年間という期間のうちに一気呵成に足並みそろえて乱れなく行っていかねばならないことなのです。
もちろん三菱航空機としては将来の量産体制の構築(可能性)を十分に考慮に入れた上で受注獲得に乗り出しているのでしょうし、
航空会社としても逆に5年も先のことだから万一の際も柔軟に航空計画を変更できると分かっているので発注している部分もあるでしょう。
ただ、新機材の就航となりますと、航空会社としては準備しなければならないこと(ヒト・飛行技術・機材・計画等)が極めて多いわけです。
航空会社としては今まで通りの機材を今まで通りの航空計画で運航するのが実は一番楽なのです。
いざ新機材を運航していくとなりますと、航空会社としては大変どころではない、というのが本音かもしれません。
航空機材の変更というのは(「三菱リージョナル・ジェット」の性能や品質が悪いという意味では決してありませんが)多くのリスクを伴います。
5年も先の納入というのは、一方では「三菱リージョナル・ジェット」は本当に量産できるのだろうか、
発注した各航空会社は本当に安定して「三菱リージョナル・ジェット」の運航ができるのだろうかという一抹の不安を感じさせ、
他方では5年も先というのは量産されないことをも考慮に入れた十分なリスクヘッジなのかな、
と思いました。
それと、プレスリリースを読んでいて一つ目に止まった点があります。
プレスリリースの後半にこう書いてあります。
>三菱航空機について
>
>三菱航空機株式会社は、三菱リージョナルジェット(MRJ)の
>設計、型式証明取得、資材調達、販売、カスタマー・サポートなどを担当する事業会社として2008年4月1日に事業を開始した。
何が気になったかと言えば、生産がない、という点です。
量産体制構築以前に生産機能自体がそもそもないのです。
生産は外部委託か何かなのだろうか、と思っていますと、会社概要にこう書いてありました。
会社概要
ttp://www.mrj-japan.com/j/company_j.html
>製造は三菱重工業轄q空宇宙事業本部 民間航空機事業部に委託
自社(三菱重工業)グループ内に航空宇宙関連機材の製造部門が既にありますので、そちらに委託する形を取るようです。
もちろんそれはそれで良いとは思うのですが、
しかしそれなら、「三菱リージョナルジェット(MRJ)」に関する他の業務、
すなわち、設計、型式証明取得、資材調達、販売、カスタマー・サポート等も
三菱重工業轄q空宇宙事業本部内で行えばよい、ということになる気がします。
なぜわざわざ別会社にしているのでしょうか。
三菱航空機自身が機材製造設備を保有するべきだと言いたいのではありません。
「三菱航空機株式会社」という法人をわざわざ設立する話ではないのではないか、と言いたいだけです。
人生をマラソンに例えると、今の私は何キロメートル地点かと言いますと、
上手く言えませんが、優に130キロメートルは超えているでしょうね。
スタートからゴールまで42.195キロなのに?
ええ、もう私は今までに三人分は生きてきましたからね。
もう私は人生を三周した。
今は四週目です。
まあ、人の優に4倍は努力をして生きてきた、という意味ですが。