2012年12月7日(金)
ヤフーは7日、自動車情報総合サイト運営のカービューを子会社化することで、カービュー筆頭株主のソフトバンクと合意したと発表した。
カービューの発行済み株式の52.2%を29億9800万円でソフトバンクから譲り受ける。譲渡価格は同日の終値を約34%上回る水準。
ヤフーは自動車情報総合サイトとして業界首位にあるカービューを傘下に収め、同分野でシェア向上を目指す。
17日付で子会社化を完了する。カービューは中古車査定仲介サービスの運営や自動車に特化した
交流サイト(SNS)「みんなのカーライフ」の運営を手がける。
一方、ヤフーは1998年から自動車情報総合サイト「ヤフー!自動車」を運営してきたが、業界2位にとどまっていた。
カービューの各サービスとヤフーの電子商取引(EC)との連携などを検討する。
(日本経済新聞 2012/12/7
21:27)
ttp://www.nikkei.com/markets/kigyo/ma.aspx?g=DGXNASDD07080_07122012TJ1000
2012年12月7日
ヤフー株式会社
株式会社カービューの株式の取得(連結子会社化)に関するお知らせ
ttp://i.yimg.jp/images/docs/ir/release/2012/jp20121207.pdf
2012年12月7日
株式会社カービュー
代表取締役の異動に関するお知らせ
ttp://www.carview.co.jp/company/append/IRR-20121207-1.pdf
2012年12月7日
株式会社カービュー
主要株主である筆頭株主及び親会社の異動に関するお知らせ
ttp://www.carview.co.jp/company/append/IRR-20121207-2.pdf
2012年12月7日
株式会社カービュー
臨時株主総会招集のための基準日設定のお知らせ
ttp://www.carview.co.jp/company/append/IRR-20121207-3.pdf
【コメント】
ヤフーからのプレスリリースの1/4ページには、
>なお、本取引は金融商品取引法第27条の2第1項但書きおよび同施行令第9条第3項に規定
>される企業グループ内での異動となることから公開買付けの適用対象外となります。
また、3/4ページには、
>7.支配株主との取引等に関する事項
>本取引は、当社の親会社であるソフトバンク株式会社との取引となり、当社にとって支配株主との取引等に該当します。
と書いてあります。
株式会社カービューは上場企業ですが、このたびのカービュー株式の売買は
企業グループ内での異動となることから公開買付けの適用対象外となるようです。
一般株主が売買に参加するわけではないのでこのような相対での株式取得が認められるのでしょう。
また、カービューはヤフーの子会社になるに伴い、社長が交代するとのことです。
ヤフー出身者が社長に就任するのだろうと思っていましたら、カービューの現副社長が社長に就任するようです。
ヤフーの下サイト運営を行っていくわけですから、「みんなのカーライフ」と「ヤフー!自動車」は
いわば姉妹とも先生の指導を受け机を並べて新しいことを学んでいく学友とも言えるわけです。
両サイトはどのように変化していくのでしょうか。
予断を許しませんが、しっかりと閲覧していきたいと思います。
2012年12月7日
ソフトバンク株式会社
当社子会社(ヤフー株式会社)による株式会社カービューの株式の取得に伴う孫会社の異動について
ttp://www.softbank.co.jp/ja/news/press/2012/20121207_01/
>当社連結子会社であるヤフー株式会社は、本日、添付資料のとおり、株式会社カービューの株式を当社から取得し、連結子会社化すること
>について取締役会で決議いたしました。これに伴い株式会社カービューは当社の孫会社となりますので、お知らせいたします。
>なお、この孫会社の異動による当社連結業績への影響は軽微です。
(株式会社カービューの株式の取得(連結子会社化)に関するお知らせ)
(ttp://www.softbank.co.jp/ja/design_set/data/news/press/2012/20121207_01/pdf/20121207_01.pdf)
*↑ヤフーからのプレスリリースと同じ内容です。
連結ベースでは売買価格に意味はなく、また、株式の売買の意図や手続きや価格は公正であることも確かなのですが、
売買価格が高いと一つだけいいことがあります。
それは、ソフトバンク単体に株式売却益が計上されることそのものにあります。
ソフトバンクは純粋持株会社です。
純粋持株会社は事業子会社からの受取配当金が事実上の売上高・唯一の利益源泉であり、そして何よりそれが持株会社株主への配当になるのです。
一般にソフトバンクの株主という時にはこの持株会社の株主を指すわけです。
そして配当は、あくまで単体ベースで行われます。
このたびのソフトバンクからヤフーへのカービュー株式の売却は、通常のヤフーからの受取配当金ではありません。
しかし、財務面のみの話をすれば、ソフトバンクがヤフーへ株式を売却して売却益を計上するというのは、
売却益により利益剰余金が増加したという意味では配当の原資につながりますし、
株式の売買で手許現金が増加したという意味でも配当の原資につながります。
つまり、このたびの株式の売買は財務的には受取配当金と同じく借方貸方両面において配当の原資を作り出したことと同じなのです。
子会社からの受取配当金は子会社から親会社が単体上の利益と現金を受け取ることです。
このたびの親会社から子会社への株式の売買も財務上は同じであり、
子会社からの株式売却益は子会社から親会社が単体上の利益と現金を受けることです。
もちろんソフトバンクは、純粋にグループ経営の観点から、自動車情報総合サイトをヤフーに集中させようというグループ戦略から
カービュー株式をヤフーに売却したに過ぎないわけですが(そしてその売買価格も本当に公正なのですが)、
財務面のみの話をすれば、それが目的ではもちろんないにせよ、結果的に配当の原資が増えた、という見方ができるかと思います。