2012年12月1日(土)



2012年11月27日
株式会社北の達人コーポレーション
株価高騰率ランキング1位(IPO銘柄)として「ダイヤモンド・ザイ」に当社が紹介されました。
ttp://www.kitanotatsujin.com/ir/library/diamond_zai201301.pdf

 


 


【コメント】
最近、上場して半年ほど経った企業を見ていまして、今日は北の達人コーポレーションが目に止まりました。
ビジネス雑誌でもよく取り上げられているようです。
新規公開株は上場後に大きく株価が上がる銘柄が多いかどうかは知りませんが、
株式会社北の達人コーポレーションの経営は順調(株価も安定推移)なようです。
上場時に創業者(社長)が多くの株式を売却したということもありません(まだ63.49%保有)ので、今後とも堅実な経営が行われると思います。
また、上場に増資も少ししか行っていないのも将来への自信をうかがわせますので優良企業だと思います
(貸借対照表の資本金及び資本剰余金の増加額=キャッシュフロー計算書の「株式の発行による収入」が48,405千円が増資の額です)。

蛇足ですが、現在では「公募価格」という言葉はありません。
2008年までは公募増資や公募価格というのはありましたが、それ以降はそれらは残念ながら死語(行われていない)になっています。

 

平成25年2月期 第2四半期報告書 (自平成24年6月1日 至平成24年8月31日)
ttp://www.kitanotatsujin.com/ir/library/shihanki121015.pdf


代表メッセージ

「私たちが安定成長する2つの理由」、「なぜ当社は収益率が高いのか」
ttp://www.kitanotatsujin.com/ir/message/index.php

 


 


2012年12月1日(土)日本経済新聞
新規公開株の横顔
チムニー(3178) 「はなの舞」など展開
<新規上場承認>
◇東証2部◇
日本管理センター
(記事)



 


【コメント】
2012年11月30日
日本管理センター株式会社
東京証券取引所市場第二部上場承認に関するお知らせ
ttp://pdf.irpocket.com/C3276/JA1b/ewqf/brzo.pdf


>東京証券取引所市場第二部への上場予定日は、平成24年12月7日(金曜日)となっており、同日以降は
>同取引所と大阪証券取引所(ジャスダック市場)の2市場において当社株式の売買が可能となります。

 

大阪に住んでいようが東京に住んでいようが田舎に住んでいようが、
投資家は家にいながら東京証券取引所に上場している株式も買えますし大阪証券取引所に上場している株式も買えるわけです。
上場している市場は上場企業の側から見ても投資家の側から見ても一つでいいわけです。
煎じ詰めれば、株式市場は日本で一つでいいということになるかと思います。


 

 


2012年12月1日(土)日本経済新聞
アコーディア「留保」 TOBへの回答 情報収集などに時間
(記事)



 

2012年11月30日
株式会社アコーディア・ゴルフ
PGMホールディングス株式会社による当社株券に対する公開買付けに関する意見表明(留保)のお知らせ
ttp://www.accordiagolf.co.jp/file/pdf/news_20121130165145.pdf

 

 

PGMホールディングス株式会社
公開買付について
ttp://www.pacificgolf.co.jp/info2012/

 


株式会社アコーディア・ゴルフ
株式情報
ttp://www.accordiagolf.co.jp/info/kabusiki_info.html

 

 


【コメント】
PGMホールディングス株式会社の「公開買付について」のページには様々な資料や動画等が載っています。
公開買付後の戦略等、ゴルフ場経営のことは私には分かりませんが、
PGMホールディングスは公開買付について株主と十分にコミュニケーションを取ることに力を注いでおり、非常に好感が持てると思います。
私が中学時代通っていた塾の国語の先生が授業中言っていた言葉で今でも覚えているのがいくつかありまして、
その中の一つには「金と知識はいくらあっても困ることはない」というのもあるのですが、
何より私が強く印象に残っている言葉は、

「最後にあてになるのは辞書と自分の頭だけだ」

というのがあります。
PGMホールディングス株式会社は株式会社アコーディア・ゴルフの株主に対し、
「株主の皆様、これらの資料や動画を見て自分の頭で判断して下さい」
と訴えかけているのでしょう。


株式会社アコーディア・ゴルフは信託銀行を中心とした金融機関が上位株主に名を連ねています。
また、外国法人等が株主に多いのも特徴的です。
「どうしていいか分からないから他の株主が公開買付に応じるなら自分も応じる」、といったことも現実にはあるかと思います。
10パーセントを超えるような特定の大株主がいないという状況では
アコーディア・ゴルフの経営陣からの意見表明のアナウンスが株式公開買付の成否に大きな影響を及ぼすことになるでしょう。


 

 


2012年12月1日(土)日本経済新聞 公告
臨時株主総会召集のための基準日設定公告
第一中央汽船株式会社
単元株式数の変更に関する公告
株式会社エヌジェーケー
(記事)




 


2012年11月30日
第一中央汽船株式会社
特別損失の計上及び業績予想の修正に関するお知らせ
ttp://www.firstship.co.jp/news/2012/pdf/20121130_4.pdf

 


2012年11月30日
第一中央汽船株式会社
臨時株主総会の招集及び基準日設定に関するお知らせ
ttp://www.firstship.co.jp/news/2012/pdf/20121130_3.pdf

 


2012年11月30日
第一中央汽船株式会社
第三者割当による種類株式発行及び定款の一部変更に関するお知らせ
ttp://www.firstship.co.jp/news/2012/pdf/20121130_2.pdf

 


2012年11月30日
第一中央汽船株式会社
中期経営計画に関するお知らせ
ttp://www.firstship.co.jp/news/2012/pdf/20121130_1.pdf



 


【コメント】
中期経営計画から見てみましょう。

 

>III.新中期経営計画の具体的施策
>@ 収支改善施策
>用船料繰延、用船契約解約
>a) 用船料繰延:取引関係のある船主に対し用船料減額による支援を要請します。
>b) 用船契約解約:高コスト船約20 隻の用船契約を解約します。


船に関する収支改善策として、用船料繰延と用船契約解約が書かれています。
用船契約解約の方は解約自体は可能かもしれません。
解約料を覚悟すればですが(中途解約は基本的には想定していないでしょうからかなり高いのではないでしょうか)。
しかし、用船料繰延は不可能ではないでしょうか。
船主が承諾すればいいといえばいいのかもしれませんが、船主も船を貸すことを事業として行っているわけですから、
用船料の支払いはもっと後でいいですよ、とはならないでしょう。
例えて言うなら、レンタルビデオ店にビデオを借りに行って、「レンタル料の支払いは後でいいですか?」というようなものです。
延滞料金なら後払いでしょうが、正規のレンタル料は決められた時に支払わないといけないでしょう。
そもそも用船料繰延という商慣習があるのかどうかは知りませんが、
用船料の支払いをもっと後にするなら、遅延損害金を追加で取られるのではないでしょうか。

 

 



>2.臨時株主総会招集について
>(3)決議事項
>第1号議案 定款一部変更の件
>第2号議案 第三者割当によるA種種類株式の発行の件

 


取締役会決議だけで新株式を発行する企業が多い中、敢えて株主総会を開催して増資の是非を問うというのは
株主を重視しているということだな、既存株主の利益を守るためにもこれは非常によいことだな、
と思ったのですが、よく考えたら、種類株式を発行するわけですから株主総会(定款の変更)が必要なのですね。
普通株主の発行(授権資本枠が残っている場合ですが)でも株主総会を開催するということであれば文句なしによいことだったわけですが、
定款変更が株主総会の主な目的ですから私が勝手に思い込んだだけですが個人的には少し残念な気がしました。

 

 



さて、このたび発行する種類株式(以下優先株式)は普通株式の取得請求権(転換条項)は付いていますが、
優先株式の払戻し(返済・償還のようなこと)に関しては全く書かれていません。
優先株式の払戻しのことは両社とも全く想定していないようです。
優先株式の払戻しを行えば株主資本の減少と手許現金の減少を伴います。
商船三井としては将来に渡って第一中央汽船を支援していくつもりですから
優先株式の払戻しのことなど考えるはずがないのは当然かもしれませんが、
しかしそうであるならばはじめから商船三井は普通株式を引き受けるべきでしょう。
今ここで優先株式を引き受けることにどれだけの意味があるというのでしょうか。
現時点で第一中央汽船は商船三井の持分法適用関連会社(議決権を26.10%保有)、
さらにこのたび新たに優先株式を引き受けるのは経営上・資金上の支援が目的とはっきり言っています。
株式市場が商船三井は第一中央汽船のことを子会社化も含めたグループの一員と見なしているということだな、と考えるのは自然でしょう。
そのことを考えれば、商船三井は第一中央汽船の普通株式を引き受けるべきだと思います。
このたびの優先株式に付いている取得請求権(転換条項)は第一中央汽船の状況を考えれば半ば行使されることが前提であると言えるでしょう。
わざわざ優先株式の形で発行する話ではないはずです。


第一中央汽船が商船三井の子会社になることはみな既に分かっていることでしょう。
商船三井も第一中央汽船も全く同じ海運業の企業なのですからそれはそうあるべきでしょう。
そうであるならば、商船三井が第一中央汽船の増資を引き受けた後はこうなる↓のがあるべき姿ではないでしょうか。

「7.募集後の大株主及び持株比率」
(9/25ページより作成)

 


 


日本輸送機反発、三菱重がフォークリフト事業を譲渡

 [東京 30日 ロイター] 日本輸送機が反発。三菱重工業が29日、持ち分法適用会社である同社に
フォークリフト事業を譲渡すると発表したことなどを材料視している。
 両社のフォークリスト事業を統合させることで、商品ラインアップの充実、販売ルートの共通化などを図り、
グローバル競争力を強化するのが狙い。ニチユは上場企業として独立した運営を続けるが、統合後は三菱重工の連結子会社となる。
 事業継承は、三菱重工が会社分割によりフォークリフト事業を切り離し、ニチユに統合させる形で行う。
ニチユは普通株とA種種類株を合わせた計5948万8181株を三菱重工に割り当てるが、A種種類株には議決権がなく、
三菱重工の統合会社に対する議決権割合は49.4%にとどまる。ただし、三菱重工は取得請求権の行使により、
いつでも普通株式へ転換する権利を確保しており、全て転換した場合は議決権割合は64.75%となる。
(ロイター 2012年 11月 30日 09:30 JST)
ttp://jp.reuters.com/article/stocksNews/idJPTK056440320121130

 

 

2012年11月29日
三菱重工業株式会社
日本輸送機株式会社
三菱重工業株式会社のフォークリフト事業を会社分割により日本輸送機株式会社が承継することについての基本合意書締結に関するお知らせ
ttp://www.nichiyunet.co.jp/investor/img/k20121129.pdf

 

2012年11月29日
三菱重工業株式会社
日本輸送機株式会社
三菱重工業と日本輸送機 フォークリフト事業の統合で基本合意
ttp://www.mhi.co.jp/news/story/pdf/20121129_2.pdf

 

 



【コメント】
三菱重工業の仕訳


(フォークリフト事業諸負債) 283百万円   / (フォークリフト事業諸流動資産) 6,861百万円
                              (フォークリフト事業諸固定資産) 9,717百万円
(日本輸送機普通株式) 6,068百万円
(日本輸送機A種種類株式) 10,227百万円

 



日本輸送機普通株式の価額は、2012年11月29日の終値223円に、日本輸送機が対価として新たに発行する普通株式27,213,437 株を乗じて計算。
日本輸送機A種種類株式の価額は、貸借の差額から計算(三菱重工単独決算における損益計算書に与える影響はないとの記述から)。
ただし、
>A種種類株式は議決権を有しないものの、普通株式と実質的に同等の価値となるよう、剰余金の配当や残余財産の分配では
>普通株式と同順位とし、また三菱重工は取得請求権の行使によりいつでも普通株式へと転換する権利を確保する
とありして、価額も「A種種類株式は普通株式と実質的に同等の価値を持つ」のだとすると、
A種種類株式1株当たりの取得価額は普通株式のそれと同じだと考え、
日本輸送機A種種類株式の価額は、普通株式株価223円×A種種類株式32,274,744 株=7,197百万円とも計算できるかと思います。
その場合は、三菱重工業単体に(結局連結でもそれそのまま出てきますが)「フォークリフト事業移転損失」が計上されます。
どちらが正しいのかは分かりませんが、
「A種種類株式は普通株式と実質的に同等の価値を持つ」との考えに重きを置いた場合の三菱重工業の仕訳はこちら↓。


(フォークリフト事業諸負債) 283百万円    / (フォークリフト事業諸流動資産) 6,861百万円
                               (フォークリフト事業諸固定資産) 9,717百万円                     
(日本輸送機普通株式) 6,068百万円
(日本輸送機A種種類株式) 7,197百万円
(フォークリフト事業移転損失) 3,030百万円

 

 



日本輸送機株式会社の仕訳


(フォークリフト事業諸流動資産) 6,861百万円 / (フォークリフト事業諸負債) 283百万円
(フォークリフト事業諸固定資産) 9,717百万円   (資本金) 16,295百万円

 

 


プレスリリースには、”逆取得となる吸収分割の会計処理を適用する”という意味不明な言葉が書かれています。
三菱重工業側の仕訳と同じで、資本金がいくら増加する(株式数ではなく金額でいくら増資する)のかははっきりとしない部分があります。
プレスリリースの記述通り、三菱重工業側に「フォークリフト事業移転損失」が出ないように対価を支払う(ここでは増資を行う)
のだとしたら上の仕訳になります。
ただし、三菱重工業側の仕訳と同じで、
「A種種類株式は普通株式と実質的に同等の価値を持つ」との考えに重きを置いた場合の三菱重工業の仕訳はこちら↓になります。


(フォークリフト事業諸流動資産) 6,861百万円 / (フォークリフト事業諸負債) 283百万円
(フォークリフト事業諸固定資産) 9,717百万円   (資本金) 13,265百万円
                               (営業権) 3,030百万円

 


この場合、負の営業権(負ののれん)が計上されます。
どちらが正しいのかは分かりません(分かるようには書かれていない)。

 

 



率直に言うと、変わった株式の発行だなあ、と思いました。
フォークリフト事業の吸収分割そのものにはもちろん何の問題もありません。
この吸収分割は一種の事業の選択と集中といいますか、
三菱重工業と日本輸送機は現時点の表面上の議決権割合を超えて事実上同じグループの会社として経営されていることを考えると、
「フォークリフト事業が得意な会社にフォークリフト事業を集中させる」という戦略の元に
グループ内の組織再編が行われただけだと思います。

おかしいなと思うのは発行されるA種種類株式及びその株式数です。
これはよくよく考えてみると、「優先株式とは何か」という議論になってくるかと思いますが、
このたびのプレスリリースを読むと、”普通株式1株と優先株式1株は同じ価値を持つ”との考えに立脚し話を進めているように思います。

>本件会社分割により発行済株式総数が増加することになるため、ニチユ株式の希釈化(種類株式を含めた希釈化率は
>約127%(59,488,181 株/46,902,832 株)となります。)が生じ、

といった記述にその間違った考えがうがかえます。
普通株式1株と普通株式1株とは足して普通株式2株と計算できますし、優先株式1株と優先株式1株とは足して優先株式2株と計算できますが、
普通株式1株と優先株式1株とは足し算できなのです。
株式数が合計2株と計算することすら事実上間違いです(定款上は合計株式が2株、どちらも発行済株式総数の内訳、となりますが)。

>既存のニチユ株主様の皆様において相対的な議決権比率の低下及び一株当たりの利益が変動することとなります。

とありますが、このたびの優先株式が普通株式に転換されてはじめて
普通株式1株と普通株式1株とを足して普通株式2株と計算できるわけで、そしてそれにより既存株主の議決権割合に変動が生じるのです。
もちろん、「潜在株式」という意味では経営上・事実上議決権割合や一株当たりの利益に変動が起きたも同然と考えていかねばなりませんが、
少なくとも単純な「株式数」という単位計算上は普通株式1株と優先株式1株とは足すことはできません。
このたびの普通株式への転換割合は、A 種種類株式1 株に対して基本的には普通株式1株となっています。
そういう意味では全ての優先株式が普通株式に転換された場合の普通株式の発行数や議決権の変化具合が計算しやすいとは言えるのですが、
優先株式と普通株式の転換割合が1対1ということ自体は全く本質的ではなく、このたび発行される優先株式数は実は「1株」でも問題ないわけです。
発行する優先株式数が1より大きい(株式数が複数)と、今後一度にではなく段階的に議決権割合を増加させることができる、というだけなのです。

書き出すときりがありませんが、普通株式1株と優先株式1株とは、「1株当たりの価値」という点では全く異なるのです。

 

 


むしろ、このたびの優先株式の発行で本質的に間違っているのは、

>A種種類株式は議決権を有しないものの、普通株式と実質的に同等の価値となるよう、
>剰余金の配当や残余財産の分配では普通株式と同順位とし

の部分なのです。
この記述はある意味日本語としても間違っています。
議決権を有しないにも関わらず剰余金の配当や残余財産の分配では普通株式と同順位、
ということであればどのように考えてもこの優先株式は普通株式と同等の価値を持つはずがありません。
剰余金の配当や残余財産の分配では普通株式と同順位なら、議決権を有しない分この優先株式は普通株式よりも価値が低いはずです。

にも関わらず、優先株式の普通株式への転換割合は、優先株式1株に対し普通株式1株です。
ここが根本的間違っているのです。
割当に際し、株式「数」では何も言えないのです。
(「割当株式数の評価レンジ ○○株〜××株」というのは初めて見ました。)

 

 



ある種類株式1株が普通株式1株よりも価値が低い、ということ自体は何の問題もないわけです。
同じ酒屋の店頭に、あるプレミアムビールは350円、ある発泡酒は250円で売っているとしましょう。
そのプレミアムビールが好きな人は350円払ってプレミアムビールを買うでしょうし、
その発泡酒が好きな人は250円払って発泡酒を買うでしょう。
中身が違う(より本質的には買う人によって好みが違う)のですから、買う人は好きな方をそれぞれの価格で買えばいいだけの話でしょう。
価格や価値が違うじゃないかと文句を言う人は一人もいないでしょう。
普通株式と優先株式もそれと同じです。
しかし、250円で発泡酒を買った人が350円のプレミアムビールと交換してくれ、と言ってきたらどうでしょうか。
それはおかしいでしょう。
一方の価値は350円、他方の価値は250円です。
交換できるわけがありません。
仮に250円の発泡酒と350円のプレミアムビールを交換しようとすれば、その発泡酒7本をそのプレミアムビール5本となら
酒屋のおやじさんも交換してくれるかもしれません。
優先株式と普通株式との交換も全く同じです。
優先株式1株と普通株式1株とは明らかに価値が異なるのですから、1株対1株の交換はできないのです。
このたびの優先株式であれば、議決権がない分普通株式よりも価値は低いわけです。
普通株式1株全体における「議決権の価値の割合」がいくらかは知りません。
企業やその時の経営状態によっても違うでしょう。
ここでは「議決権の価値の割合」を21%としましょう(三菱重工業の事実上子会社ですから物言う(いう)権利分はここでは小さいと仮定)。
すると、交換割合はどうなるかと言うと、
このたびの優先株式1株に対して、ニチユ普通株式0.79株が交付されることになります。
優先株式1株と普通株式0.79株が等価です。

これが本当の意味での等価ということであり株主間の公平ということです。
「1株対1株の交換が公平」ではない、ということです。

 

 



もう一言だけ書きます。


現時点で法律(議決権割合)上そして会計上、ニチユは三菱重工の持分法適用会社に該当します。
三菱重工は、ニチユの持分法適用上の親会社に該当するわけですが、
ニチユの社長や会長は三菱重工の出身者であり業務上も深い関係にありますから
事実上ニチユは三菱重工業の子会社と言ってもいいと思います。
このたびの会社分割では、吸収分割の対価は全て普通株式であっても何ら非常識でも不公平でも不自然でもないのですが、
なぜか一部普通株式、一部優先株式となっています。
そして吸収分割後の議決権割合を49.4%とすることになっています。
ニチユは三菱重工業の子会社だと既存株主や株式市場の誰もが分かっているにも関わらず、です。
会計上問題のある会計処理方法(新株式の発行)というわけではありませんが、この議決権割合は一昔前で言う、

「連結外し」

とでも言うのかな、と思いました。
途中から連結の範囲から外すといろいろと問題だ、はじめから連結の範囲に入れなければ何の問題もないだろう、と。
2002年だったかもっと前の銀行が引き当てを積み増せだの不良債権処理だのを行っていたころだったか忘れましたが、
連結外しという言葉がはやりましたよね。
連結外しについて知りたい人はヤフーで検索して勉強してください。
ヤフーで検索しても分からないなら、私が居酒屋で酒でも飲みながら教えてあげます。
まあ、ニイユはむしろ優良企業ですから連結外しということはあり得ないのですが、
「後始末がうまい人間より”前始末”ができる人間になれ」という言葉があるように、
三菱重工業はニチユに対し”前始末”をした、などと空想してみるのも面白いなと思いました。
(注:”本件会社分割による両社の事業の統合においては、統合会社を三菱重工の連結子会社とすることで両社合意にいたっております”
とプレスリリースに書いてあります。しかしそれなら、議決権割合は50%超でもよかったのではとは思いますが。)

 

 


本件統合の目的
(2/12ページ)


本件会社分割に係る割当の内容
(3/12ページ)


分割会社(三菱重工)と承継会社(ニチユ)との関係
(7/12ページ)


(1)分割又は承継する部門の事業内容、(2)分割又は承継する部門の経営成績、(3)分割又は承継する資産、負債の項目及び金額
(8/12ページ)





A 種種類株式の内容
(10/12ページ)

 

 



6.会計処理の概要、7.今後の見通し
(9/12ページ)



 

>三菱重工単独決算における損益計算書に与える影響はありません。

の部分は正しいのかどうかは分かりません。
影響はないのなら事業移転損益はないということですしそれはニチユいとって負の営業権が計上されないこととイコールかと思います。


三菱重工業の連結決算においてですが、仮にニチユが三菱重工業の持分法適用関連会社のままだとしたら、

>ニチユに承継されるフォークリフト事業の純資産に対する持分相当額の変動と取得するニチユ株式の時価との差額

というのは投資差額のことを指すかと思います。
損益として認識するのはこの投資差額の償却のことであり、「持分法投資損益」のことだと思います。
仮にニチユが三菱重工業の連結子会社になる(連結の範囲が変わる)のだとしたらですが(プレスリリースにはそう書いてありますが)、
保有しているニチユ株式の価額とニチユの資産負債の価額次第ですので金額は全く分かりませんが、
いくらの連結調整勘定が計上されるかと思います。
そして連結上損益計算書に連結調整勘定の償却が計上されると思います。
それと、単体上「フォークリフト事業移転損益」が計上されても、連結上は内部取引のため消去されます。

 

ニチユの会計処理に関しては、単体上負の営業権が計上されるのが正しいのか何も計上されないのが正しいのかは分かりません。
ただ単体上負の営業権が計上されるとしても、これは内部取引によって発生した営業権ですので三菱重工業の連結上は消去されます
(ニチユの連結上は単体上の負の営業権はそのまま載ってきます)。

 

 


今後の見通しとして、

>本件会社分割が、三菱重工及びニチユの平成25年3月期の連結業績予想に与える影響はありません。

とありますが、これは本件会社分割効力発生日が平成25 年4月1日だからです。
仮に本件会社分割効力発生日が平成25 年3月31日以前であれば、
三菱重工業の単体及び連結の業績には大きな変動があります。
特に連結ではニチユの資産負債収益費用が新たに載ってくるわけですから。
ニチユの単体の業績にも大きな変動があります。
三菱重工業の「フォークリフト事業」の資産負債収益費用がどかんと載ってくるわけですから。