2012年10月28日(日)
2012年10月28日(日)日本経済新聞 けいざい解読
アジアに迫る高齢化ドミノ 株・地価の下落圧力に
(記事)
(関連記事)
豪、日本語などアジア言語の教育強化 「アジアの世紀」白書
【シドニー=柳迫勇人】オーストラリア政府は28日、アジアの発展を踏まえて豪州が取り組むべき課題をまとめた
「アジアの世紀の中の豪州」白書を公表した。2025年までの優先課題の一つに人材育成を掲げ、
学校で優先的に学ぶべき語学として日本と中国、インド、インドネシアの4カ国の言語を指定した。
語学教育を促進するため、豪州とアジアの学校をインターネットで結ぶ遠隔教育を普及させる。
白書では教育に加え、経済や貿易、地域安全保障、文化の多分野で合計25の提言を掲げた。
経済では資源・エネルギーに続く豪州経済のけん引役として農業や観光、ヘルスケアなどを挙げた。
豪政府は昨年10月に白書の作成に着手し、今年半ばの公表を目指していたが、遅れていた。
(日本経済新聞 2012/10/28
20:47)
ttp://www.nikkei.com/article/DGXNASGM28012_Y2A021C1FF2000/
【コメント】
少子化や高齢化はいかんともし難いと思っています。
無理やり子供を産むように義務付けるわけにも行きませんし、人口問題だけはどうしようもないと思います。
”経済発展の多くは、人口要因で説明できる”というのは決して大げさな表現ではないとは思いますが、手の打ちようがありません。
さて、記事の「アジアの世紀の中の豪州」白書はこちらにあります↓。
"Australia in the Asian Century White
Paper"
ttp://asiancentury.dpmc.gov.au/white-paper
他にも白書に関してプレスリリースその他がたくさん発表されているようです↓。
28 October 2012
The following briefing packs are available:
Media releases (1 MB
PDF)
ttp://asiancentury.dpmc.gov.au/sites/default/files/white-paper/media-releases.pdf
Fact sheets
ttp://asiancentury.dpmc.gov.au/fact-sheets
Slide show (1.6 MB
PDF)
ttp://asiancentury.dpmc.gov.au/sites/default/files/white-paper/slide-deck.pdf
Translated media
releases
ttp://asiancentury.dpmc.gov.au/white-paper/translations
内閣府(Cabint Office)
ttp://www.cao.go.jp/index-e.html
頭文字を取れば"CO"なのですが、短すぎますし、ドメイン名の ".co" と紛らわしいので敢えて "a" を入れたのでしょう。
他にもいろいろとリンクを辿っていますと、"Department of Prime Minister and Cabinet"
とは別に、
"Prime Minister of Australia"というサイトもありました↓。
Prime Minister of Australia
ttp://www.pm.gov.au/
日本で言えば「首相官邸」でしょうか↓。
首相官邸
ttp://www.kantei.go.jp/
非常に長大な白書です。日本語であっても全てを熟読する気力はないかもしれません。
白書のほんの一部だけ英語以外の言語に翻訳してあります↓。
Translations
ttp://asiancentury.dpmc.gov.au/white-paper/translations
総理大臣
ttp://asiancentury.dpmc.gov.au/sites/default/files/white-paper/translations/pm_press_release_aacwp_japanese.pdf
はじめに
ttp://asiancentury.dpmc.gov.au/sites/default/files/white-paper/translations/asian_century_white_paper_foreword_japanese.pdf
「白書」と呼ばれる政府刊行物というのはどの国でも政治的意図が含まれますのでいろいろと割り引いて読まねばなりません。
そういったこともあってとても全てを読む気にはなれないのですが、
そのことを逆手にとって、逆に海外からはこの白書はどう見えるのかは知りたいと思いました。
BRICsの一つであり、BRICsの中で唯一大きな経済成長を遂げているように思える中国はこの白書をどう伝えているでしょうか。
中国の新聞を見てみましょう。
英語で書かれていますが、 The Global Times という中国の新聞です↓。
中国について書かれてある部分を引用して訳してみます。
>Australian Prime Minister Julia Gillard has finally released the
"Australia in the Asian Century" White Paper here Sunday,
>placing China
at the center of Australia's Asian century.
>J.W. Neville Fellow and former Austrade Chief Economist Tim Harcourt
told Xinhua that Australia is entering
>its fourth wave of engagement with
Asia and the Chinese engine remains at the heart of Australia's economic
evolution.
>"In terms of trading partners, just as China superseded Japan which had
previously taken over from the UK
>so further realignment of the global
economic order will again alter Australia's trading patterns.
>The
emergence of several ASEAN states, in addition to the new Asian giants China and
India will take us
>through this new phase of engagement," he said.
>As Australia's leading trading partner and the first customer when it
comes to marketing Australia's massive natural resources,
>China and China
literacy is a key platform of the White Paper.
>The Australia China Business Council (ACBC), Australia's leading
organization committed to China engagement,
>described the paper as a
"wake-up call to both Australian political and business sectors that (Australia)
need to lift
>our game if the Asian Century is to amount to anything more
than rhetoric."
>Frank Tudor, ACBC chairman, quoted Chinese ambassador Chen Yuming that
the Chinese feel that there is a major gap
>in Australia's understanding
of China.
オーストラリアのジュリア・ギラード首相は「アジアの世紀の中の豪州白書」を本日日曜日、ついに発表した。
この白書の中で、中国はオーストラリアのアジアの世紀の中心に位置している。
J.W.
NevilleのフェローでかつてはAustradeのチーフ・エコノミストを務めていたティム・ハーコート氏は、弊社とのインタビューで、
オーストラリアはアジアと取り組みの第四の波に入りつつあり、中国という原動力はオーストラリアの経済発展の中心に居続けている、
と語った。
「貿易相手国という意味においてですが、かつては日本が英国に取って代わり、その後今度はまさに中国が日本に取って代わったように、
世界の経済秩序のさらなる大きな再編成が再びオーストラリアの貿易様式を変えることでしょう。
中国とインドという新たなアジアの経済大国に加え、ASEANのいくつかの国々の台頭が我が国をこのたびの取り組みの新たな局面へと
連れて行ってくれることでしょう」とティム・ハーコート氏は言う。
オーストラリアの主要な貿易相手国として、そして、オーストラリアの莫大な天然資源の輸出先という意味では第一位のお客様として、
中国と中国語に堪能であることは重要な素養であると白書の中に書かれている。
中国との取り組みに力を注いでいるオーストラリアにおける主要な公的機関であるオーストラリア・中国商業協議会は、この白書のことを、
”アジアの世紀という呼び方が単なるお題目以上の何かになるとしたら、
我が国の計画を高く掲げる必要があるオーストラリアの官民双方にとってのウェイクアップ・コールだ”
と表現している。
オーストラリア・中国商業協議会会長のフランク・ツド−ル氏は中国のチェン・ユミン大使の発言を引用して、
オーストラリアの中国に対する理解には大きな相違があると中国側は感じている、と語った。
ところで、私としては次の部分が気になりました。
オーストラリアの著名エコノミストであるケン・ヘンリー氏の発言です。
>"Australia needs to continue along the path of integrating
economically. I mean that we need to help reduce barriers,
>to allow
goods, services, workers and ideas to move throughout the region. We need to
foster the development of
>regional supply chains and free-flowing labor
and capital. That means better harmonized regulatory processes."
「オーストラリアは経済的に一つになっていく道を歩み続ける必要がある。つまり、我々は障壁を減らす手助けをし、
財やサービスや労働者やアイデアを国中に行き渡らせることを認めていく必要がある、という意味だ。
我々は国中のサプライ・チェーンと自由な労働市場と資本が発達していくことを後押ししていく必要がある。
それは、より良く調和の取れた調整的プロセスを意味する。」
私がなぜこの部分が気になったか分かりますか。
何のことはない、オーストラリア政府はこれから国を挙げて様々な分野において大規模な「規制緩和」を行おうとしているのです。
今日発表の「アジアの世紀の中の豪州」はアジアだ中国だと書いていますが、これは「規制緩和」のための口実作りなのではないでしょうか。
このたびの「アジアの世紀の中の豪州」の政治的意図は、オーストラリアはこれから規制緩和が必要ですよ、そして行っていきますよ、
その理由はこの白書を読めば分かりますよね、と言いたいだけなのではないでしょうか。
中国の新聞記事を読んでオーストラリアの意図が透けて見えたような気がしました。
私は今、オーストラリア政府に対しこう言いたいと思います。
"Deregulation means...?"