2012年9月28日(金)



F&N株主、ハイネケンへのAPB株売却を承認

[シンガポール/ブリュッセル 28日 ロイター] シンガポールの複合企業フレーザー&ニーブ(F&N)は28日開催した株主総会で、
同社が保有するアジア・パシフィック・ブルワリーズ(APB)株40%をハイネケンに63億ドルで売却することを承認した。
すでにAPB株を56%程度保有するハイネケンは28日、APB株式を追加取得するのに
十分な現金と資金調達先を確保していると表明した。
F&NがAPB株の売却を決めたことで、タイガービールのメーカーであるAPB支配を目指したハイネケンと、
タイの富豪チャロエン・シリワタナパクディー氏傘下企業との争いは最終的に決着することになった。
保有株式を合わせればF&Nの最大株主となるタイ・ビバレッジなどチャロエン・シリワタナパクディー氏の傘下企業は、
これまでAPBに買収を提示していたが、先週になって、F&Nが保有するAPB株をハイネケンに売却することに賛意を示していた。
F&N株主総会では、取締役会が提案した減資に関する提案は否決された。F&Nの取締役会は、
ハイネケンへのAPB株売却で調達する資金を用いて40億シンガポールドル(33億米ドル)を株主に支払う内容で、
承認には75%の支持が必要だったのに対し、54.3%(訂正)の支持しか得られなかった。
F&Nの幹部は、APB株を売却した後も、他の事業拡大を目指す方針を表明した。
一方、関係筋によると、F&N株の15%近くを保有する第2位の株主である日本のキリンホールディングスは、
保有するF&N株の売却を検討している。
F&Nの食品および非アルコール飲料部門に関心を示していたとされるキリンは、タイ・ビバレッジへのF&N株売却や、
他の買い手により高い価格で売却する可能性など、いくつかの選択肢について検討している。
F&Nの第3位の株主は英国の保険会社プルーデンシャルで、持ち株比率は7.8%。
(ロイター 2012年 09月 28日 19:25 JST)
ttp://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE88R03620120928

 


 



キリンHDがF&N株売却視野に検討、タイ側と協議

[シンガポール/東京 28日 ロイター] キリンホールディングスは、
保有するシンガポールのフレーザー&ニーブ(F&N)株15%について、売却を視野に検討している。
売却するかどうかなど何ら決定はしていないが、タイの富豪チャロエン・シリワタナパクディー氏系のグループと協議をしている。
2人の関係筋が明らかにした。
関係筋のひとりは「(F&N株を)売却すると決定したわけではない」とした上で、タイ側と協議していると述べた。
チャロエン氏が経営権をもつタイ・ビバレッジと関連会社のTCCアセッツは、F&N株30.7%を保有しており、
未保有分の株式公開買い付け(TOB)を提示している。タイ側からは、キリンに株式売却に応じるようにとの話があったという。
キリンは、TOBに応じることやF&N株式保有に興味を示す他社が高い価格を提示する場合などは他社への売却も含めて、
いろいろな選択肢を検討している。
キリンHDは、2010年に約850億円を投じてF&N株の約15%を取得した。しかし、F&N株の30.7%を保有する、
筆頭株主のタイ・ビバレッジ側が1株8.88シンガポールドルでF&N株式のTOBを実施することを正式にオファー。
キリンは、TOB期限の10月29日までに、TOBに応募するか否かの決断を迫られる。
全株売却すれば約1200億円弱になるため、投資額を大きく上回る。
キリンはF&Nを東南アジアでの清涼飲料事業の拠点と考えていた。仮に売却すれば、東南アジアでの新たなパートナー探しなど、
今後展開するうえでの戦略を再考せざるを得なくなる。一方、15%の株式を保有し続けた場合、
85%を保有する可能性のあるタイ・ビバレッジとどのように協力できるかという、大きな課題が生まれる。
F&N株売却の検討に入ったとの一部報道について、キリンは「当社が発表したものではない」とのコメントを発表した。
F&Nは28日に株主総会を開き、保有するアジア・パシフィック・ブルワリーズAPPB.SI(APB)株式を
オランダのビール大手ハイネケンに売却することを承認した。
(ロイター 2012年 09月 28日 12:15 JST)
ttp://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE88R01R20120928


 

 


2012年9月28日(金)日本経済新聞
キリンが売却検討 アジア飲料大手F&N 1200億円
(記事)





 

「関係図」

 


 


【コメント】
キリンホールディングスのF&N株式取得の狙いはあくまで傘下のアジア・パシフィック・ブルワリー(APB)にあったわけです。
つまり、タイでのビール事業の強化が最大の目的でF&N株式を取得したわけです。
しかし、F&Nがその保有するアジア・パシフィック・ブルワリー(APB)株式を売却するとなりますと、
キリンホールディングスはアジア・パシフィック・ブルワリー(APB)と業務提携ができなくなるわけですから、
キリンホールディングスとしてはF&N株式を保有している理由がなくなるわけです。
F&Nに今後も有力なアルコール事業が残っていれば何らかの方策が今後も取れるかもしれないのですが、
アジア・パシフィック・ブルワリー(APB)株式売却後はF&Nにはアルコール事業は事実上存在せず、
F&Nには食品事業および非アルコール飲料事業しか残っていないと思います。
タイ・ビバレッジ、TCCアセッツ・グループがF&N株式を公開買付してくれるのはキリンにとって渡りに船、と言っては何ですが、
当初の目的を果たせる見込みが全くない以上、キリンホールディングスがF&N株式を売却するのは当然とも言えるでしょう。


それと、キリンホールディングスが株式を売却するから書くわけではないのですが、
ビールは各地域・国によって気候(気温、湿度、雨量等)が大きく異なりますから、国民の好みも大きく異なるのではないでしょうか。
このたびハイネケンがアジア・パシフィック・ブルワリー(APB)を完全子会社化しますが、
オランダのビールをそのまま持ってきてもタイで売れるわけではないと思います。
もしそうだとすると、気候(気温、湿度、雨量等)が大きく異なる国のビール会社を買収しても、
業績はただの足し算で終わるかもしれません。
ハイネケン(オランダ)をはじめ、アンハイザー・ブッシュ・インベヴ(ベルギー・ブラジル・アメリカ)等、
文字通り世界を股にかけた巨大グローバルビール製造・販売会社が世界にはありますが、それら巨大グループの多国籍化とは裏腹に、
ビール事業というのはそもそもローカル(国内完結)な事業なのかもしれません。

 

 


最後に、関係図には書きませんでしたが、

>F&Nの第3位の株主は英国の保険会社プルーデンシャルで、持ち株比率は7.8%。

とのことです。
これはプルーデンシャルがF&N株式をタイ・ビバレッジ、TCCアセッツ・グループに売却後こうなったのだと思います。
売却する前は、プルーデンシャルは38.5%を保有するF&N株式の大株主だったのだと思います。
しかし、保険会社が食品・アルコール飲料および非アルコール飲料会社の株式を大量に保有するというのはどうでしょうか。


銀行の借方は貸出を行うことが本業であるべきであり、株式や一般事業の保有は行うべきではありません。
それと同様に、保険会社の借方は有価証券の運用が本業であるべきであり、株式や一般事業の保有は行うべきではないと思います。