2012年9月4日(火)
帝国データバンクによると、居酒屋経営、飲食店経営コンサルティングフーディーズは、
7月に債権者より東京地裁へ破産を申し立てられていたが、8月31日に同地裁より破産手続き開始決定を受けた。
負債は2012年3月末時点で約80億2800万円。
2004年3月に設立、2005年6月にストアーオペレーションから現商号となった。
都心部を中心とした居抜き物件を活用した飲食店(時の居酒屋
刻(KIZAMI)、和風ダイニング きざみ、個室焼肉
牛の刻)経営のほか、
黒字ネットの名称で飲食店の開業・運営サポートを展開して事業を拡大。
年収入高は、約2億8300万円(2005年3月期)から約30億5600万円(2010年3月期)に伸長していた。
その一方、日本振興銀行から資金を調達したことで、借入残高は約11億5100万円(2009年3月末)から約75億3400万円(2010年3月末)に急増した。
この間、2008年には中小企業振興ネットワークの中核企業である中小企業保証機構(大阪市)などが大株主となるほか、
2010年1月にはグループで経営コンサルティングなどを手がけるジー・コミュニケーション(名古屋市)の持株比率を50.97%として子会社化。
黒字ネットでの取扱い店舗数はピーク時で約166店舗に達していた。
しかし、日本振興銀行が2010年9月に、中小企業保証機構が2010年10月にそれぞれ民事再生法を申請したことなどから経営に行き詰まり、
黒字ネットの出店は見合わせる一方、契約を移譲するケースが増加し、2011年6月末には22店舗にまで減少。
事業の大半は2011年3月に設立された別会社に引き継がれ、一部店舗の運営を行っていた。
(流通ニュース 2012年09月04日)
ttp://ryutsuu.biz/strategy/e090403.html
株式会社フーディーズ
ttp://www.foodys.co.jp/company/index.html
公告日:平成24年 7月17日 平成24年3月期決算公告(貸借対照表)
ttp://www.foodys.co.jp/pdf/notification2012071701.pdf
【コメント】
損益計算書も見てみたい気がしますが、貸借対照表を見ただけでフーディーズは長年大赤字続きであり無茶苦茶な融資が行われてきた
ということがはっきりと分かります。
営業活動での大赤字(現金の流出)を借入金で賄って資金をつないでいたことが分かります。
通常では絶対に考えられない融資です。
フーディーズの大株主とメインバンクが事実上同じ企業(グループ)だったのでこのような融資が行われ続けてきたのでしょう。
率直に言えば、裏に何かいろいろとよからぬことがありそうだな、という気がします。
記事には、7月に債権者より東京地裁へ破産を申し立てられていたと書かれていますが、それは多分嘘だと思います。
フーディーズの債権者は事実上メインバンク=大株主のみであり、通常の営業活動上の債権者はいないと思います。
実際には8月下旬もしくは8月31日同日に、(メインバンク=大株主でもありますので)自己破産を申し立てたのではないでしょうか。
2011年3月に会社分割を行ったようでして、それ以降ずっとそして現在も株式会社フーディーズは事実上抜け殻のような形だと思います。
フーディーズと大株主=メインバンク間でどのようなことが行われていたのかは知りませんが、
率直に言えばあまりまっとうなビジネスは行われていなかったのではないかという気がします。
ある意味計画倒産と言ってもいいのかもしれませんが、2011年3月に会社分割を行った時からこの度の破産は計画にあったと思います。
債権者の数は事実上メインバンク=大株主一者のみだと思いますので、法的整理(破産法適用申請)ではなく、
会社法上の特別清算(私的整理)でもよかったのではないかと思います。
参考までに申し上げますと、事実上弁済に充てる資産は全くはありませんので
メインバンクの株式会社フーディーズに対する貸出金は全額不良債権になります。
一方メインバンクは2010年9月に経営破綻しており預金保険機構の管理下に入っていたわけですが、
貸出金が不良債権となっていますので、預金の保護のことを考えますと、この件に関しては預金保険機構の負担も大きかったのかなと思います。
ちなみに、流動比率=2.3%です。
業種業態により差はあるとはいえ、流動比率は最低でも100%以上は必要であることを考えると、フーディーズがいかに異常か分かります。
総資産5,477,518,000円に対し純資産の部合計△2,550,741,762円、つまり大幅な債務超過。長年にわたり大赤字続きだったのでしょう。
資本金・資本剰余金合計203,250,000円に対し、負債の部合計は8,028,259,762円、返済しないことを前提にした融資ということでしょう。
利益剰余金(=繰越利益剰余金)が△2,753,991,762となっていますが、実際には利益剰余金は7,000,000,000円以上のマイナスだと思います。
なぜなら、関係会社株式5,091,993,900円あるからです。この関係会社株式の評価額は実際はゼロだと思います(本来は全額評価損計上の必要有)。
この関係会社株式の評価額はゼロであると判断した理由は、もしこの株式が何らかの価値があるのなら、
2011年3月に会社分割を行った時に、この株式も分割して相手会社に承継しているはずだからです。