2012年8月30日(木)
【コメント】
東京都内や大都市部の大学の学生さんであれば教科書等が豊富に取り揃えてある大型書店がたくさんあるので実店舗で買うのもいいと思いますが、
地方の大学の学生さんですと大学の教科書は生協でくらいしか販売していなかったりするでしょうから、
品ぞろえ豊富なアマゾンで低価格で買い物ができるのはメリットは大きいと思います。
勉強は大学受験の日で終わりという学生さんも多いかと思いますが、大学に入ってからも資格の勉強等しっかり頑張って欲しいと思います。
新日鉄と住金、4─9月期業績予想を下方修正
[東京 30日 ロイター] 10月に合併予定の新日本製鉄と住友金属工業は30日、4─9月期の連結業績予想をともに下方修正した。
固定資産の減損損失約1200億円をそれぞれ特別損失に計上するため。
また、新日鉄が保有する約4億5000万株の住金株を9月25日までに住金に売却し、住金はその自己株式を9月28日に消却すると発表した。
新日鉄の4─9月期最終赤字は従来予想の850億円から1550億円に膨らみ、住金の最終赤字は従来の80億円から1280億円に拡大する。
売上高と経常利益の予想は据え置いた。
新日鉄は、円高や鋼材市況の低迷により継続的に赤字を計上している広畑製鉄所と堺製鉄所の事業用資産を減損処理し、
7─9月期の特別損失に約1200億円を計上する。ただ、この減損と住金株の売却に伴う損失確定により
税効果会計の恩恵が合計500億円程度発生するため、4─9月期の最終赤字予想は700億円の悪化にとどまる。
一方、住金は連結子会社の住金鋼鉄和歌山(和歌山県)が所有する資産を減損処理し、7─9月期に約1200億円を特別損失に計上する。
住金鋼鉄和歌山は中間製品のスラブを外部顧客に販売しているが、東アジアの鋼材市況低迷のあおりを受け、
12年3月期に3期連続の営業赤字を計上していた。
両社とも、減損対象となった資産について、将来は継続してキャッシュフローを確保する見通しで生産拠点として事業を継続する方針を示した。
住金株の売却理由について新日鉄の宮本勝弘執行役員は「10月の経営統合が確定しており、事業提携の深化という目的を果たしたと判断した」ほか、
売却することで300億円程度の税効果会計の恩恵を受けられるためと説明した。
同社は株式を持ち合う住金や神戸製鋼所などの株価下落を受け、4─6月期決算で有価証券評価損963億円を特別損失に計上していた。
住金は、東証の自己株式立会外買付取引ToSTNETを利用して8月31日─9月25日のいずれかの日に、
新日鉄保有分を含め上限5億株(上限750億円)の自己株式を取得する。取得資金は「借り入れで調達する」(住金の加藤聖二経理部長)。
(ロイター 2012年
08月 30日 20:08
JST)
ttp://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE87T05120120830
2012年8月30日
新日本製鐵株式會社
事業用資産の減損損失の計上及び業績予想の修正に関するお知らせ
ttp://www.nsc.co.jp/news/data/20120830160018_1.pdf
2012年8月30日
住友金属工業株式会社
固定資産の減損損失の計上及び業績予想の修正に関するお知らせ
ttp://www.sumitomometals.co.jp/press/2012/_pdf/news2012-08-30-j-1.pdf
2012年8月30日
住友金属工業株式会社
自己株式取得に係る事項の決定及び自己株式の消却に関するお知らせ
ttp://www.sumitomometals.co.jp/press/2012/_pdf/news2012-08-30-j-2.pdf
新日鉄のプレスリリースには、住友金属工業滑博ョを売却する理由として、
>事業提携の深化という所期の目的を果たした
と書いてありますが、
これから合併して名実共に一つ(一つの会社、一つの法人)になろうというのに、この台詞は意味が分かりませんが。
合併は中止するのでしょうか。
両社とも正式に株主総会の(特別)決議は経ているかと思いますが、仮に極端な話、10月1日になっても合併しなかったらどうなるのでしょうか?
仮に今になって合併を白紙撤回するとなるとそれは自然人で例えれば婚約の解消のようなものですから、
新日本製鐵株式會社、住友金属工業株式会社共に納得の上での白紙撤回であれば何か法律上の事件というようなことにはならないかと思いますが。
まあせいぜい何か「両社の今後の経営は大丈夫なのか」、といった評判が立つくらいでしょうか。
自然人で例えれば「あの二人別れたらしいよ」、と噂話が流れて酒の肴になるくらいでしょうか。
株主から合併契約の不履行を理由に株主代表訴訟が提起される、といったことはないかと思いますが。
私は法律は専門ではないのでこれ以上のことは分かりません。
途中経過は省きますが、新日本製鐵株式會社の仕訳はこうなると思います↓。
(固定資産減損損失) 1200億円 / (固定資産)1200億円
(繰延税金資産) 480億円 (法人税等調整額) 480億円
(現金預金) 750億円 (住友金属株式) 800億円
(住友金属株式売却損) 50億円
(繰延税金資産) 20億円 (法人税等調整額) 20億円
計算過程を知りたい人は、大学の会計学の教授またはお近くの商業高校の簿記の先生までお尋ね下さい。
「参謀さんに聞けと言われました」と言えば、「これはこれはあの参謀さんのご紹介ですか」と言って懇切丁寧に優しく教えてくれると思います。
では、固定資産の減損損失に関して税効果会計を適用するか否かはどちらが正しいのかと言いますと、
一言ではどちらが正しいとは結論は出せないかと思いますが、私個人としてはここではやはり「税効果会計は適用すべきでない」、と思います。
税効果会計を適用するのは企業会計と税務会計の差異をなくすことが目的になるかと思いますが、
税務上の処理からは敢えて離れわざわざ企業会計特有の「固定資産の減損損失」を計上するくらいですから、
ここで税効果会計を適用すると、なぜ今更税務との整合性を重視する必要があるのか、という話になると思います。
固定資産の減損処理を行うというのは、税務上の処理とは敢えて異なる処理を行うということです。
税務上の処理からは離れることになっても敢えて企業会計上正しい貸借対照表価額を表示し正しい減損損失額を計上したいという意思があるわけです。
それなのに、今になって税効果会計を適用し企業会計と税務会計の差異をなくそうとするのは、ある意味矛盾なのではないでしょうか。
税務会計よりも企業会計を重視した、これは企業会計処理に関する企業の意思です。
そこまで税務会計との整合性を重視するならはじめから固定資産の減損処理などするな、という話になろうかと思います。
もちろん、多額の固定資産の減損処理を行うと、税務上の減価償却費とのズレだけでなく、
来期以降企業会計上の減価償却費が極端に小さくなり「費用収益対応の原則」が崩れてしまう、という問題は生じます。
そのことは分かりますが、そのズレを税効果会計によって縮小しようとするのは会計上筋が違うと思います。
減価償却の減少分を法人税等調整額の増加で相殺しようとするのは、
「費用費用対応の原則」(私の勝手な造語ですが)が守られていないと言えるのではないでしょうか。
そこまでして税務会計との整合性や費用収益対応の原則を重視するのなら、はじめから固定資産の減損処理はすべきではないと思います。
固定資産の減損処理を行わなければ最初から税務とは整合性が取れていますし費用収益対応の原則も守られているかと思います。
結論:「固定資産の減損損失に関しては税効果会計は適用すべきではない。」
一般的な話をしますと、つい最近も似たような事例がありましたが、
合併相手先の株式を合併前に取得してしまいますと、合併に伴い相手先企業株式は自己株式になりますので、
合併後自己資本の直接の減少要因になります。
敵対的な合併(合併には株主総会の特別決議が必要ですから事実上そのような合併はあり得ませんが)をこれから行おうとする場合を除き、
合併することが友好的に既に決まっているなら、合併相手先の株式を合併前に取得してはいけません。
合併後自己資本と手許現金の減少を招くだけです。
合併することが事実上決まっているのに合併相手先の株式を合併前に取得すれば「とんでもないバカ」と言われてしまいます。
しかるに、このたびの新日鉄と住友金属の事例はと言いますと、
取得する住友金属から見ると、合併相手先から自社株式を合併前に現金で取得する、という取引になります。
これは新日鉄から見ると、合併相手先株式を合併前に合併相手自身に現金で売却する、という取引になります。
この事例は株式と現金の流れを逆にして考えることができ、
合併前に合併相手先に対して第三者割当増資をする、と考えても奇妙さ加減は同じです。
何が言いたいかと言えば、「合併相手先と自社株式の売買(増資や自社株買い)を行っても何の意味もない」ということです。
合併相手の株式は合併後自己株式になりますし、
自社株式の売買によって合併相手との間で現金が移動してもそれは合併後全て自社の現金勘定になります。
このたびの自社株買いは自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)を利用する予定とのことですが(一応市場取引ですが事実上相対取引と同じかと)、
自社株買いを行う現金は、記事によりますと「借り入れで調達する」とのことです。
取引実態を踏まえた上でこの借り入れを行っての自社株買いはどういう結果になるかと言いますと、合併後新会社は、
「単なる銀行借り入れ」
を行ったことと同じになります。
合併後の自己資本減少の減少にもつながることはない、全く意味のない自社株買い・合併相手自身への合併相手株式の売却、となります。
この取引は、合併してしまうと何の意味のない「単なる銀行借り入れ」に過ぎないことを示すために仕訳を書きます↓。
理解の助けにして下さい。
住友金属工業株式会社の仕訳(平成24年8月31日から平成24年9月25日まで)
(現金預金) 750億円 / (借入金) 750億円
(住友金属株式) 750億円 (現金預金) 750億円
新日本製鐵株式會社(平成24年8月31日から平成24年9月25日まで)
(現金預金) 750億円 / (住友金属株式) 750億円
↓ 合併後 上の仕訳をまとめますと・・・
(現金預金) 750億円 / (借入金) 750億円
↑ただの銀行借り入れと同じですね。
*住友金属工業株式会社の借入金は合併後新日本製鐵株式會社の借入金になります。
そして、現金預金勘定も全て合併後新日本製鐵株式會社の現金預金勘定になります。
また、簡単のためにここでは住友金属株式売却損は無視しました。
仮に住友金属株式売却損を考慮しますと、合併後の新・新日本製鐵株式會社においてもそのまま「住友金属株式売却損」が計上される
ことになると思います。この取引は連結会計における内部取引とは異なりますので連結修正消去仕訳などはここでは切らないと思います。
損益計算書は基本的には四半期末毎に勘定が締め切られますので、合併後、損益計算書上の勘定科目名が「新日鉄株式売却損」になる、
もしくは、合併したのだから合併後これは自己株式の取得となる(資本取引と見なされる)、ということはないと思います。