2012年8月20日(月)



宏達国際電子、米ゲーム会社で4000万ドルの持分法投資損失計上へ

 台湾のスマートフォン(多機能携帯電話)メーカー、宏達国際電子(HTC)は20日、
現金が枯渇した米ゲーム・オン・デマンド(GOD)サービス会社オンライブについて
4000万ドルの持分法投資損失を計上するとの見通しを明らかにした。
(ウォール・ストリート・ジャーナル 2012年 8月 20日  21:54 JST)
ttp://jp.wsj.com/Business-Companies/node_497582

 

 

 



【コメント】
これだけでは何とも判断できませんが、持分法投資損失を計上するというのは連結決算上の話なのだと思います。
オンライブの現金が枯渇したというだけでは詳しくはその内容がよく分かりませんが、
オンライブは経営破綻する見込み(まだ債務不履行は起こしていないが近い将来債務不履行を起こすことが確実)という意味なのでしょうか。
もしそうだとすると、まず宏達国際電子は単体でオンライブ株式を全額評価損することになると思います。
そして単体で出てきたオンライブ株式評価損がそのまま連結でも出てくることになると思います。
またこの場合、持分法適用上、投資差額が一度に大きく変動することになるかと思います。
オンライブ株式を全額償却となりますと、持分法適用上投資勘定は一気にゼロになります。
一方資本勘定はと言いますと、オンライブが例えば債務超過であれば投資差額はありません
(資本勘定にマイナスはあるが投資勘定にマイナスはない)ので何の問題もありませんが、
(債務不履行を起こすとは言え)オンライブが債務超過ではない場合は投資差額が発生することになります。
そうしますと持分法適用上逆に「持分法投資利益」を計上することになると思います。

このたびの持分法投資損失の具体的内容は分かりません。
前後の文脈から判断すると、「連結でも出てきたオンライブ株式評価損をここでは持分法適用上持分法投資損失として計上している」
という意味なのかもしれません。
ただ、オンライブが債務超過ではない場合は、連結決算上はオンライブ株式評価損を計上の上、持分法適用上持分法投資利益を計上することが
(同一の株式の評価に関し損失と利益の両方が計上されますので一見おかしな気がしますが)理屈の上では正しい表示ではないかと思います。


なお、オンライブが当期中に債務不履行を起こしてしまった場合(これから何らかの債務の整理を行っていく場合)は、
必然的にオンライブは当期から持分法適用会社から外れることになると思います
(基本的には100%減資が行われるから。また、会計上の全額株式評価損と会社法上の100%減資とは異なる点にも注意)。
したがって、その場合は持分法投資損益は一切計上されないことになります。
単体上及び連結上オンライブ株式評価損が計上されるだけです
(貸借対照表上は、単体上はオンライブ株式はありませんが、連結上は資本勘定の額だけオンライブ株式が計上されることになります)。