2012年7月15日(日)



問い

 戦前の地方税(府県税)の中には、ある電化製品に対して課税しているものがありました。
基本的には1台ごとに毎年度課税するものですが、課税額は府県によって違いがあり、
一部の県では、銭湯や理髪店には一般とは違う課税額を適用していました。
 現在でもあるこの電化製品は何でしょうか?

 

 

 

 

 

答え

 扇風機

 扇風機には、国税として物品税(昭和12年〜平成元年、主に贅沢品、嗜好品などを課税対象としていた間接税)が課されていましたが、
府県税でも扇風機税が課されていました。
 昭和13年(1938)に内務省地方局が作成した『地方税総覧』によると、昭和11年度の段階で
北海道、青森、東京、京都、大阪、宮崎以外の県で、扇風機税が課されていました。
 これによると、ほとんどの県では扇風機1台につき一律に課税、もしくは扇風機の大きさ(16インチを基準としている県が多い)に応じて
課税をしていたようです。しかし、富山県、愛媛県、福岡県では、「湯屋、理髪、営業用」とそれ以外とで税額を変えていました。
銭湯や理髪店等の営業用の扇風機は一般家庭用よりも税額を安く設定していたのです。
エアコンが無かった時代、一般家庭では扇風機は贅沢品だったといえるでしょう。
 なお、このほかにも現在は見られなくなりましたが、蓄音機に課税をしている県もいくつかありました。

 


 


【コメント】
国税庁
家電の税
ttp://www.nta.go.jp/ntc/sozei/quiz/1012/index.htm

 

 

↑こちらに「税の歴史クイズ」がありまして、この暑い季節、戦前は扇風機に課税されていたとは面白いなと思いましたので紹介しました。

 


検索をしていて国税庁のサイトにたどり着いたわけですが、それは地方税のあり方についていろいろと考えていたからです。
私は財政や徴税は専門ではありませんが、一国民として言わせてもらえば、
究極的には「地方税は廃止し全ての税は国税に一本化する」のが一番良いのではないかと思います。
同じ様な税を国と地方で重複して徴税しているような気がします。
これって分かれている理由ってあるのかなあと感じます。
まだまだ私も勉強不足ですが、地方税の税体系は戦前の地方税がシンプルだったのかなあという印象です。
戦前は今よりもはるかに国税が中心だった、そしてその方がはるかに効率的だった、そういう思いを持っています。

 

 


基本的には全ての税は国税一本、これが分かりやすく財政再建も進むと思います。
現在発行している地方債は国債に置き換えるようなイメージになるかと思います。
新規の地方債の発行はしません(本来は国債もですが)。
地方分権や地方自治の正反対の方向(中央集権)に向かうことになりますので、意見や議論は多く出てくるとは思いますが、
では現在地方税収のみでやっていける地方自治体がどれだけあるというのでしょうか。
都道府県で言えば、東京都以外は地方交付税交付金なしでは財政が成り立っていない状態でしょう。
今のまま地方交付税交付金を受け取りながら地方分権や地方自治と言っても何か違うのではないかと思います。
税は国税に一本化し、地方自治体の収入は全て地方交付税交付金に一本化する、これが一番透明性があるように思います。
都道府県が発行している地方債も将来の地方交付税交付金で返済していくことを前提としているようなものでしょう。
地方地方で様々なことに使っているからいつまでたっても無駄遣いがなくならないのではないでしょうか。
税の入りもシンプルに分かりやすく透明性を持って、税の出もシンプルに分かりやすく透明性を持って、
財政規律はそこからではないでしょうか。

 

それにもっと根源的なことを言えば、そもそも地方分権や地方自治を追求する必要はあるのか、という意見もあると思います。
日本は国土も狭くそして人口も減少しています。
税収が減少していくのは明らかです。
地方分権や地方自治は実は戦後アメリカからの輸入のようなところがあります。
しかしアメリカは州ごとに法律が異なりますが、日本は日本中で同じ法律です。
そもそも日本には地方分権や地方自治はそぐわないのではないか、という意見を私は持っています。
アメリカは国土も広く国の発展の経緯上地方分権や地方自治を行う必要があった、
しかし、日本には地方分権や地方自治を行う必然性も理由もない、
戦後、形だけの地方分権や地方自治が行われてきたのではないか、
そしてその矛盾の最たる例が、始めから地方税だけでは地方の財政など成り立つはずがないのに、
国税と同じ様な地方税を設定し地方の財源としていることではないでしょうか。
地方税だけでは地方の財源は足りない、そのことは始めから分かりきっていたことでしょう。
それなら始めから地方税などは設定せず、全ての税は国税とし、国から地方へと使途・金額を十分吟味の上配分していく、
こちらの方がはるかに分かりやすく透明性があり財政規律にも資すると思います。
「税の入り口も一つ、出口も一つ」、むしろこれこそが国全体の税のあるべき姿だと思います。

 

 



私も勉強中ですが、他国の例も参考になると思います。
例えばフランスは税の全てが国税のようです。フランスには地方税はないようです。
地方へはフランス中央政府(国)が適切に配分しているのでしょう。
ドイツには地方税があるようですが国税がやはり中心のようです。
ここで大切なのは、アメリカのように地方地方が大きく州の形で分かれているのなら地方税ということを考えていかねばなりませんが、
日本のように地方同士が分かれておらず便宜上の都道府県区分けしかない国では
国税のみの方が効率的である、ということです。
煎じ詰めれば、ある税が国税か地方税かは、ただの「設定」の違いに過ぎないのです。
この税は地方税と決めた、だから地方税、というだけなのです。
国税と地方税に税としての本質に違いがあるわけではないのです。
税法の立法時の裁量で決まる話なのです。
であるならば、日本の場合、全て国税とする方が効率的であるのは間違いないと思います。
この点については、「フランスは税の全てが国税である」ということが参考になると思います。


以上、税や財政には素人の国民からの一提言でした。

 


 


そういえば、家電の税で思い出したのですが。
あのエコポイントというのは家電を買えば税を受け取れるわけですから、「負の税金」と言えるかと思います。
そしてそのせいで電機各社は大きな赤字を出す結果になったのです。


「マイナスの家電の税」が日本のテレビ製造事業をダメにした

改めてそう思いました。

 


 



(関連記事)


2012年7月14日(土)日本経済新聞
エコノ探偵団 財務省ってそんなに強いの?
予算配分、政策の調整役 与党と綱引き、膨らむ借金
これも調べました 「大蔵省」 律令時代にも 金融行政を分離、名称変更
(記事)



 

 


【問い】
財務省ってそんなに強いの?

 

 

 

 

【答え】
強かったら財政赤字も気が遠くなるほどの国債もありません。
弱いから日本中、ダムだらけ、高速道路だらけ、空港だらけ、新幹線だらけなのです。