2012年7月14日(土)
株式会社サマンサタバサジャパンリミテッド
四半期報告書 ‐ 第19期 第1四半期(平成24年3月1日 ‐ 平成24年5月31日)
ttp://contents.xj-storage.jp/xcontents/78290/84cad570/8caf/4a86/b764/d9277669bc68/S000BGQJ.pdf
サマンサはスタイライフ株式を簿価より低い価格で売却したということなのだと思いますが、売却に伴い売却損が発生しています。
連結損益計算書には「関係会社整理損」が計上されています(「整理」の意味にもよりますが、「子会社株式売却損」でいいのではと思います)。
この「子会社株式売却損」は単体で出てきた「子会社株式売却損」がそのまま連結でも出てきているだけです。
まず、個別損益計算書では、スタイライフが連結子会社のままであろうと連結子会社から外れる場合であろうと子会社株式売却損が計上されます。
では、連結損益計算書ではどうなるかと言えば、やはりどちらの場合でも個別損益計算書と同じ額の子会社株式売却損が計上されます。
これはグループ外への株式の売却であり、内部取引ではありませんので、相殺消去はされないのです。
仮に子会社自身への子会社株式売却(子会社からみれば自社株買い)であれば、
個別損益計算書では子会社売却損益が計上され、連結損益計算書では何も計上されないことになります。
このコメントを書くのにサマンサの四半期報告書を読みました。
四半期報告書では連結財務諸表しか記載する義務がなく、個別財務諸表は記載されていません。
しかし、個別財務諸表と連結財務諸表とでその重要性に差は一切ありません。
連結財務諸表が重要なら、個別財務諸表も同じだけ重要です。
せめて「経理の状況」だけでも四半期報告書と有価証券報告書とは記載内容は同一(もちろん個別・連結両方記載という意味です)
にすべきだと思いました。
経営上の重要な契約等
(3/18ページ)
この点については以前も何回か書きました。
仮に最低15%保有していれば持ち分法適用上の親会社になれるのだとすれば、
最大6社が持ち分法適用上の親会社となり得る計算になります。
しかし、あくまで私個人の意見ですが、持ち分法適用上の親会社は一社のみではないだろうか、と思います。
確かに、会計基準には持ち分法適用上の親会社は一社のみであるとは書かれていませんが、
では、会計基準に連結子会社の親会社は一社のみであると書かれているかと言えば、そうは書かれていないわけです。
しかし、連結子会社の親会社は一社のみであると聞くと誰もが納得するわけです。
それはなぜかと言えば、子会社の意思決定を支配しているのは一社のみに決まっているよな、と漠然と思うからなわけです。
持ち分法を適用する際も同じではないでしょうか。
持ち分法の場合は、確かに持分法適用関連会社の意思決定を支配しているとまでは言いませんが、
「持分法適用関連会社の意思決定に重要な影響を及ぼすことができる」という考えが背景にあると思います。
会計基準の文言をそのまま引用すれば、
>出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外の他の企業の
>財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合
となります。
持ち分法も立派な連結会計(企業連結に関する会計処理方法)の一つなわけです(持ち分法のことを「一行連結」と呼びますよね)。
持分法適用関連会社は連結子会社でこそありませんが、意思決定の方向を同じくするグループの一員であるわけです。
準子会社や子会社補などと呼んでもいいグループ企業なわけです(両方とも私の造語ですが)。
そうであるならば、持ち分法適用上の親会社は一社のみではないだろうか、と私は思うわけです。
とにかく20%所有している、だから持ち分法を適用する、というのは
持ち分法と呼ばれる連結会計の考え方の背景を考えれば間違いではないだろうかと思います。
今回のケースで言えば、スタイライフ株式会社は楽天のみの持ち分法適用関連会社になるべきであり、
サマンサの連結子会社からも持ち分的適用会社からも外れる、という考え方が正しいと思います。