2012年7月9日(月)



2012年7月9日
株式会社タケエイ
「株式の売出し及び自己株式の処分に関するお知らせ」
ttp://ir.takeei.co.jp/html/pdf/prs20120709b.pdf

 

 

 



【コメント】
意味がよく分からない株式の売買です。
プレスリリースを読みますと、まず、


>1.株式売出し(引受人の買取引受けによる売出し)


とあります。
これは株式会社タケエイの大株主が東海東京証券株式会社を主幹事会社とする引受団に全株式を買取引受けさせた上で売出すことを指しています。
大株主としてはタケエイ株式を売却したいという意向を持っているようでして、
大株主はこのような売却方法により株式を売却することにしたようです
(言葉の定義次第ですが、新規上場時ではないのですから通常の株式の売却のことを「株式の売り出し」とはあまり言わないような気がします)。
そのこと自体は株主の都合の話ですから何の問題もないのですが、それと株式会社タケエイの取締役会決議と何の関係があるのでしょうか。
この株式の売買は間に証券会社が入っているとは言え、株主対株主の売買に過ぎません。
この株式売買に株式会社タケエイは関係がないのです。
タケエイ株式は上場株式ですから、タケエイ株主は自由に株式を売買できます。
株式会社タケエイの取締役会決議には何の意味もありません。
例えば譲渡制限株式であれば株主が保有する株式を他の誰かに売却するのに取締役会決議が必要となりますが、
タケエイ株式は上場株式ですから譲渡制限株式ではありません(譲渡制限株式は上場できません)。



 



>2.株式売出し(オーバーアロットメントによる売出し)
>(1) 売出株式の種類及び数 当社普通株式 120,000 株
>(2) 売出人 東海東京証券株式会社


>3.自己株式の処分(後記<ご参考>2.もご参照ください。)
>(1) 募集株式の種類及び数 当社普通株式 120,000 株
>(3) 割当先 東海東京証券株式会社

 


この2つもよく分かりません。
新規上場ではないのですから、需要状況等に応じたオーバーアロットメントによる売出しというのはあまり言わないと思います。
元々の意味を押し広げて解釈すれば、このような売り出しもオーバーアロットメントと呼ばないとは言い切れませんが。
ただ、そもそもこのたびの”株式の売出し”というのは、既存株主が株式を売却するというだけなのです。
もしタケエイ株式をもっと買いたいという株主がいるのなら、それはその株主が株式市場で買えばよいだけの話であって、
わざわざ証券会社が他の誰かから株式を借り受けて売却する話ではないわけです。
また、株式を借りた証券会社は後日株主に借りた株式を返却せねばならないわけですが、
その証券会社はどうやってタケエイ株式を調達するかと言うと、タケエイからの増資(タケエイの自己株式の処分)を引き受けて
タケエイ株式を調達するするのです。
タケエイ株式の引き受けの対価はオーバーアロットメントによる売出しで受け取った現金(株式の売買価格はいずれも同一です)を充てます。
これも、タケエイ株式をもっと買いたいという株主がいる、もしくはタケエイは自己株式を増資という形で処分したいと思っている、
ということであれば、単純にタケエイは株式市場で新株式を発行(自己株式の処分)して増資を行えばよい、というだけです。
タケエイ株式をもっと買いたいという株主がいるのであれば、引き受け手は大勢いるでしょう。
借り株をしてまで行うオーバーアロットメントによる売出しがわざわざ先に来る必要は全くないわけです。


というわけで、これら3つの一連の株式の売買は単純に、
「株式会社タケエイの大株主は株式市場で株式を売却すればよく、株式会社タケエイも株式市場で自己株式を処分する形で増資を行えばよい」
というだけだと思います。
もちろん大量の株式を一度に売却すると株価が下がってしまう恐れがあることには注意が必要ですが。