2012年7月4日(水)



2012年7月4日(水)日本経済新聞
オリックス、個人向け106億円 初の豪ドル建て社債
(記事) 

 

 

 

2012年7月4日(水)日本経済新聞 公告
第26期決算公告
フィデリティ投信株式会社
発行価格等の決定に関するお知らせ
フロンティア不動産投資法人
第13期決算公告
イーストスプリング・インベストメンツ株式会社
(記事)

 

 

 



【コメント】
オリックスが発行するオーストラリアドル建て社債の利率は4.3%前後とのことですので、非常に高い利率だと思います。
気になるのは為替レートですが、今後3年間大きな為替レートの変動がなければ魅力的な債券だと言えるでしょう。
もし円安オーストラリアドル高に振れるのなら円換算ではさらに大きなリターンを得られます。
デフォルトの心配もほとんどないと思いますので非常に魅力的な債券ではないでしょうか(もちろん投資は自己責任ですが)。
ただ、私が気になるのは、オリックスはこの社債発行で得た現金をどう運用するつもりなのだろうか、という点です。
記事にはオーストラリアでの自動車リース事業などに使うと書いてありますが、オリックスはオーストラリアでもそんなに強いのでしょうか。

何が言いたいかといえば、高い利率で社債を発行してしまうと、それに見合うだけの高いリターンを得られる事業に投資しないと
いわゆる逆ザヤになってしまう、ということです。
今回の社債で言えば、少なくとも4.3%以上のリターンを得られる事業で運用しないとオリックス自身が損をしてしまう、ということです。
オリックスは日本企業であり日本でのリース事業が中心です。
オーストラリアでよほど大きなリターンを得られる見込みがない限り、
わざわざ利率の高いオーストラリアドル建ての社債を発行する意味が全くありません。
金利の低さを考えても、(為替レートの変動はもちろん考慮しなければなりませんが)日本で低金利で現金を調達しオーストラリアまで
持って行って運用したが利息負担は小さくて済むと思います。

このたびのオリックス発行のオーストラリアドル建て社債は投資家に大人気であり需要も極めて活発ですぐに売り切れると思います。
しかしそれはオリックスにとっては利息負担が大きいことの裏返しでもあるのです。

IFRSはデタラメ会計基準ですからここでは置いておくとして、
今後資金調達の場所(国)もグローバル化してくるかもしれません。
これは日本企業が海外で資金調達することが増えるというより、新興国その他の国の企業が低金利で現金供給量も豊富な先進国で
資金調達をすることが増える、という意味です。
海外の企業が日本で上場するということも今後増えるかと思いますが、ここでは借り入れや社債発行といった負債による資金調達を考えますと、
そのようなグローバルな資金調達を検討する際は「金利が一番低い国」で資金調達を行うことが基本的な財務戦略になります。
そうでなければわざわざ海外で資金調達をする意味がないのです。
そういったことを考えますと、このたびのオリックスのオーストラリアドル建て社債は社債発行の常道からは外れた資金調達だと思います。


ところで、海外企業がオーストラリアで社債を発行する場合、その債券のことは何と呼ぶのでしょうか。
「コアラ債」とでも呼ぶのでしょうか。
まあ、私には「カンガルー」(現地先住民の言葉で”分からない”という意味とのことです)ですが。
「カンガルー」が現地先住民の言葉で”分からない”という意味であるというのが本当かどうかも私にはカンガルーですが。

 

 

 



2012年7月4日(水)日本経済新聞
全日空、2100億円の公募増資 アジアの空 攻防 新型機投入、M&Aも
日航 路線拡充
格安航空 東南ア席巻
日航再上場に先手 全日空、個人株主取り込みカギ
(記事)



 

 


【コメント】
川崎汽船に続き、全日空も株主総会直後に大型増資ですか。
航空会社による株主総会直後の増資と言えば、もう言わずと知れたあの「空飛ぶ粉飾決算」ですが。
再上場だなどと国民を騙す気満々です。

そういえば、日本航空は今年も株主総会を行っていませんね。
会社更生手続き中の株主総会はどうなるのでしたでしょうか。
債務超過かつ会社更生手続きですと必然的に100%減資となるわけですが、
100%減資を実行するまではまだ株式は存在していますし株主も従来通りの株主のままという扱いなのかな、と思っておりますが。
まあ会社更生法の詳しい規定は存じ上げませんが(それよりも株式会社が株主総会を行わなかった時の会社法の規定を知りたいと思います)。


まあそのことは置いておくとして。
この分だと日本航空も増資間違いなしですね。
大幅債務超過状態で増資を行っても債務超過の額が減少するだけで、株主資本はマイナスのままです。
つまり、大幅債務超過状態で増資を引き受けても、新たに株式を引き受けた株主の持ち分はプラスどころか始めからずっとゼロのままだということです。
そのような増資を引き受ける株主など宇宙中探しても絶対いるわけがありませんし、もしいたら宇宙を創造した神も「ビックリ」です。