2012年5月27日(日)
2012年5月27日(日)日本経済新聞 そこが知りたい
マイクロソフトCEO
スティーブ・バルマー氏
「ウィンドウズ8」の狙いは? クラウドで携帯分野に力
(記事)
2012年5月27日(日)日本経済新聞 電子版セレクション
フェイスブックの長い一日 上場、その時本社は? 社員、徹夜イベント
(記事)
【コメント】
フェイスブックが上場した今、アメリカ人が日本人よりも上回っているのは英語の能力だけだということがはっきりしました。
2012年5月9日(水)日本経済新聞
年金積み立て不足 負債計上 14年3月期から 新会計基準
(記事)
2012年5月9日(水)日本経済新聞 Q&A
年金積み立て不足、新基準でどう変わる 自己資本で影響に差
(記事)
2012年5月18日(金)日本経済新聞
退職給付会計、14年3月期から新基準 年金資産配分を開示へ 積み立て不足、即時計上
(記事)
【会計基準に物申す】
もう多くは語りません。
会計を少しでも学んでいる人であれば「こんなバカげた会計基準があるか」と分かっているでしょう。
純資産の部の「評価・換算差額等」というのは何の差額かと言えば、「資産の差額」なのです。
唯一為替換算調整勘定のみが収益・費用に関する差額も含むことになりますが、他は全て「資産の差額」なのです。
為替換算調整勘定は異なる通貨でビジネスを行う以上は通貨換算上どうしても差額が出てきてしまうので仕方なく調整しているだけです。
評価差額といったときの評価差額とは全て資産の部の勘定科目の評価替えに伴い出てきた差額のことです。
それなのに、このたびのバカげた会計基準では、「費用を純資産直入」にしています。
費用を損益計算書を通さないと言っているのです。
こんな意味不明な会計処理はありません。
それこそ、費用とは何か、当期純利益とは何か、という議論から始めないといけません。
最初は引き当て不足分の遅延認識を認めないという程度の修正かと思っていたのですが、
読めば読むほど、全く理解できない会計基準に変更になるようです。
これは会計基準の改正というより、今までとは完全に異なる全く新しい会計基準を創設した、というレベルです。
引当金の定義すら異なっていますから引当金の金額の増減が何を意味するのか全く理解できません。
今までと同じ会計処理方法で遅延認識を認めないとなると巨額の特別損失が一度に計上され、
株主資本が一気に減少したり企業によっては一発債務超過というケースも出てくるのかもしれません。
実務との擦り合わせという意味ではいきなりの巨額の特別損失の計上は避けたいという思いがあるのは分かりますし、
投資家の投資判断を誤らせる原因にもなるのは分かります。
しかしそうであるなら、今まで通りの会計基準でよいのではないか、という意見はあると思います
(まあ遅延認識自体には理論的根拠はありませんが。保守主義の原則に従えば遅延認識は認めるべきではないとなるでしょう)。
あえて言うなら、会計基準は現行のままにし、改正は注記事項の拡充だけでよいのではないでしょうか。
他にも、この会計基準は連結財務諸表のみの適用であり個別財務諸表には適用しない、とのことです。
何度も言っていることですが、連単分離は絶対ダメです。
これはIFRS反対の議論にもつながる話になりますが。
個別財務諸表と連結財務諸表は絶対に同じ会計基準でないといけません。
そうでないと、個別と連結との比較分析ができません。
新会計基準の創設に伴い「用語」まで新たに作っているようですから勘定科目名ですら個別と連結で比較できなくなっています。
もう何もかもが理解できません。
勘定科目名も異なればその中身の定義も違う、となりますと、
個別貸借対照表と連結貸借対照表とで(足し算したからという意味ではなく)資産・負債の価額も大きく異なってきます。
このたびの新会計基準で言えば、従業員数はどうやっても「個別<連結」なのですから引当金の額も当然どうやっても「個別<連結」
になるわけですが、場合によっては引当金の額が「個別>連結」になり得ると思います。
また、連結財務諸表を作成している場合は、単体の注記は不要とのことですが、
個別と連結とでは会計基準の中身(資産・負債・オフバランス項目の中身・金額)が異なるわけですから、
個別では注記が不要というのはおかしな話です。
連結で開示された注記内容は個別では全く当てはまりません。
このたびの新会計基準の創設では(私の理解が正しいなら)連結貸借対照表の資産・負債が一気に小さくなるということはなさそうですが、
このデタラメ会計基準の発表を一つの試金石として、今後のこのような会計基準が策定されることがないよう、
ここは一つ皆がそもそも「会計基準とは何か」という原点に立ち返るべきではないでしょうか。
それと、このたびのデタラメ新会計基準の議論からは離れますが、現行の会計基準でも問題がないわけではありません。
上の方でも書きましたが、遅延認識には理論的根拠はありません。
遅延認識を行わない場合は一発債務超過、遅延認識を行えば利益剰余金が確保され配当を行うことができる、
という場合、その配当は本当に正しいと言えるのか、という議論はあると思います。
この場合、利益を計上し配当のための利益剰余金を確保できている理由というのは、ただ単に費用を先送りしているからに過ぎないわけです。
遅延認識のおかげで配当を行っているというのは理論上は正しい配当とは言えません。
会計処理方法に関しては会社法は企業会計基準に投げていますので、遅延認識のおかげによる配当の支払いというのは
会社法上の違法配当には当たらない(確かに合法な配当支払いには間違いない)のですが、
会計理論上は費用の先送りの結果に過ぎないという見方はあると思います(収益は遅く費用は早くという保守主義の原則にも反します)。
新会計基準及び同適用指針までわざわざ作成いただいて企業会計基準委員会の方々には申し訳ないのですが、
やはり一言言わせてください。
頼めば、
頼めばこの会計基準の適用を見送っていただけるのでしょうか。
企業の実務慣行に基づく倫理的な原理。人間の手による作為的・恣意的なIFRSと違い時と場所を超越した普遍的な原則と考えられている。
企業会計原則は(これ自体は文章の形に書かれてはいますが)、法の分野でいうところの「自然法」に相当するのかもしれません。
私は法律は専門外ですし法体系や法の成り立ちなどのことは分かりませんし、論者によってその主張内容は異なるのですが、
大まかに言えば、「自然法」とは、事物の本性に由来する考え方や義務のことを指すようです。
事物の本性に由来するとはどういう意味かと言うと、何か人の手によって明示的に定めるに先立って自然と存在する、という意味です。
では事物の本性とは何か。
事物の本性とは、企業で言えば「長年の実務慣行」のことです。
企業会計基準は本来は(企業会計原則はもちろんですが)「長年の実務慣行」に従い策定されるべきものなのです。
企業会計基準は実は法律で言えば慣習法(コモン・ロー)に相当するのです。
企業会計原則に関する金言
企業会計原則はIFRSや米国会計基準に優先しますし、
後から出てきたよく分からない会計処理に関する法律(例えば土地再評価法)にも優先します。
「企業会計原則の古典的理論によれば、企業には長年にわたるある一定の行動原則や実務慣行があり、
それは企業会計基準の策定の場おいて反映されるべきものであり、人定法はそれに従わないかぎり法的効力を持たないとされる」
「IFRSを採用できないという国は会計後進国にだけあてはまるという考え方、そしてそれゆえに、
会計後進国はそれを企業全体に『押しつける』ことはできないという考え方は、克服されなければなりません。
企業会計基準に『押しつける』という言い方は意味がないのです。
なぜなら企業会計基準は自然で神聖な企業会計原則を反映しそれを守らなければならないからです」
*要するに、日本はIFRSは採用できない、と言いたいわけです。
各国の会計基準というのは各国の長年の商習慣や実務慣行を反映していく形で整備されてきました。
日本でも企業会計原則は長年の日々の実務慣行の中から出てきた考え方であり日本の企業会計基準はその企業会計原則から出てきた会計基準です。
人工的で恣意的で各国の相違を無視している会計基準であるIFRSとは異なり、日本会計基準は日本の自然な実務慣行を反映したものなのです。
日本企業に他の何かの会計基準を『押しつける』ことは間違いです。
日本企業が日本会計基準を適用することは一番自然なことです。
Let me clarify this scheme [of the General hierachy of Accounting] by
comparing its parts to playing cards.
Enemies of the Bill of Rights do the
same sort of thing all the time, so why shouldn't we?
Accounting Priciple(of
course Japanese one), then, is an ace. Accounting Standard is a king.
IFRS
and US accounting standard are a joker, not as a meaning of a trump but as a
meaning of trash.
この体系図(一般に認められた会計の階層)について、各部分をトランプのカードになぞらえて説明しましょう。
保守党提出の法案に反対の連中はいつもこの種のことをする、だから我々もそうすることにしましょう。
そうしますと、企業会計原則(もちろん日本のです)はエースです。企業会計基準はキングです。
IFRSや米国会計基準はジョーカーです。ここでのジョーカーとは、最後の切り札という意味ではなく、ババという意味です。
「会計の階層(法と会計の関係)」