2012年4月26日(木)



2012年4月26日(木)日本経済新聞
JX会長に木村氏 社長に松下氏
(記事) 

 

 


2012年4月26日(木)日本経済新聞
JX、意思決定迅速に 統合2年で経営体制一新
(記事)

 

 




【コメント】
悪く言えば、いわゆる旧2社の「たすきがけ人事」といった言い方になるのでしょうか。
当研究所流に言えば、「日本版ゴールデンパラシュート(ゴールデンリザーブシート)」の一形態といったところでしょうか。
まあでもこれで円滑に経営ができるのであればそちらの方がよいというのことなのだと思います。

 

 



2012年4月26日(木)日本経済新聞
日航再上場手続き着手 7月に正式申請
(記事)

 



 

【コメント】
日本航空に対しては、勝手なことするな、の一言ですが。

 

日本航空にはしなければならないことをちゃんとしてもらうとして(もちろん100%減資のことです)、
この記事についてまじめにコメントすると、
上場申請に関して「予備申請」というものがあるというのは初めて知りました。
公正取引委員会(独占禁止法のことですが)関係では聞いたことがありますが(事前審査)、
証券取引所にも予備申請というのがあるとは初めて聞きました。

証券取引所での予備申請というのはどういう手続きかは東京証券取引所のサイトを見てもよく分かりませんでした。

 

検索すると次のようなサイトはヒットしました。


予備申請とは
ttp://dvl.daiwa.co.jp/qa/member_free/dai04/4_05.html

株式公開用語ノ基礎知識 「予備申請」
ttp://www.jyoujyou.com/word/word03.html

 

これらのサイトを見てもよく分かりません。
予備申請を行っている企業というのはほとんどないのではないでしょうか。
ほとんど全ての企業はいきなり通常の「上場申請」に入っていると思います。

 


 


2012年4月26日(木)日本経済新聞
仙台・きらやか銀統合 社長に粟野氏 三井氏は会長
(記事)


 

 

2012年4月26日(木)日本経済新聞
日本製紙本社 持ち株会社制を廃止 日本製紙と来春合併
(記事)



 

2012年4月25日
株式会社日本製紙グループ本社
当社連結子会社日本製紙との合併契約の締結、ならびに日本製紙と
当社連結子会社日本大昭和板紙、日本紙パックおよび日本製紙ケミカルとの合併契約の締結に関するお知らせ(日本製紙グループ本社)
ttp://www.np-g.com/contents/200166129.pdf

 


2012年4月25日
株式会社日本製紙グループ本社
本社移転に関するお知らせ(日本製紙グループ本社)
ttp://www.np-g.com/contents/200166131.pdf

 

 



【コメント】
日本製紙グループの経営統合については後日時間があれば書きたいと思います。
持株会社である完全親会社が消滅会社、事業会社である完全子会社の方が存続会社になるという、極めてアクロバティックな合併です。
現在上場しているグループ持株会社は消滅しますので、当株式は形式上一旦上場廃止、
そして存続会社である日本製紙の株式が、東京証券取引所に「テクニカル上場」する予定になっています。
一旦上場廃止とは言っても、現株主には事実上ほとんど影響はありません。


>なお、当社と日本製紙の合併に際し、存続会社を日本製紙といたしましたのは、
>事業会社である日本製紙の各種許認可等を継続させることなど事業活動に関する様々な影響を最小限にするためです。

と書いてありますが、これは全く理由になっていません。
合併の場合は消滅会社の各種許認可等は全て包括的に存続会社の方に継続(継承)されるはずですので、
事業活動に関する影響はその点では全くないはずです。


合併比率は、日本製紙対日本製紙グループ本社=1対1となっていますが、この合併比率には意味はありません。
私はよく、対等の精神だというのなら、1対1ではなく、合併比率や株式移転比率は株価の比で機械的に決めろ、と言っていますが、
この場合の合併比率は株価の違いなどは一切関係なく、極端に言えば、何対何であってもよいのです。
1対1ではない場合は、現株主からすると、ただ単に「株式分割」もしくは「株式併合」が行われることと同じです。
「株式分割」や「株式併合」には何ら意味はなく、単純に株式数が増加したり減少したりするというだけであり、
企業の側にとっては事実上何もしていないことと同じ、
株主の側にとっては表面上の持ち株数が増減するだけで、議決権割合や配当を受け取る権利等の持分は一切変化しません。
このたびの合併に際し、例えば、現日本製紙グループ本社株式1株に対し日本製紙株式を2株割り当てるとしますと、
現日本製紙グループ本社株主にとっては事実上1株が2株に増加する「株式分割」が行われたことと同じであり、
現日本製紙グループ本社株式1株に対し日本製紙株式を0.5株割り当てるとしますと、
現日本製紙グループ本社株主にとっては事実上2株が1株に減少する「株式併合」が行われたことと同じです。
これらの場合、テクニカル上場に際し、当「株式分割」が行われた場合は株価がちょうど半分になりますし、
当「株式併合」が行われた場合は株価がちょうど2倍になります。
実際にはこのたびの合併比率は1対1であり発行済株式総数は一切増減せず「株式分割」も「株式併合」も行われないわけですから、
このたびのテクニカル上場の際は株価は一切変化しません。


 

 



実はここから先が自信がないのですが。
「企業結合に関する会計基準」が非常に難解ですので胸を張ってこうであると言えないのですが。
お前もこの分野の人間なら正確に説明しろと言われそうですが、合っているという自信がないままに書きます。

 

 

>B 当社が保有する日本製紙株式
>当社が保有する日本製紙株式は、合併効力発生日において日本製紙が保有する自己株式となりますが、
>当社は本合併により、当該株式の全てを新株発行に代えて
>全て日本製紙グループ本社の株主(ただし、日本製紙グループ本社を除く)に割当て交付いたします。

 

とありますが、多分これは違うのだと思います。
ある2社が合併する際に、一方が保有していた合併相手先株式は合併後自己株式となります。
例えば合併前に両社でお互いの株式の持ち合いをしていた場合は合併後自己株式が二重に載ってくることになります。
ところがこのたびの合併は完全親会社が消滅会社、完全子会社が存続会社というアクロバティックな合併です。

 


 


間違っているかもしれませんし上手く言えませんが、
子会社を存続会社とした合併と言ってもそれは法律上や形式上(法人格や株式の取り扱い等)の話であって、
会計上は結局は親会社が子会社を吸収合併した、というだけだと思います。
会計上の処理と法律上の処理がずれている(今後もずっとずれ続ける)ということだと思います。
ずれているといっても何か不正なことをしているといったことでは全くありませんが。
つまり、このたびの合併はいわゆる「逆さ合併」ということになると思います。

ですので、親会社が所有していた子会社株式を自己株式として受け入れるとか
何かその自己株式を処分して合併対価として日本製紙グループ本社の株主に交付するといったことはしないと思います。
このたびの合併に際し、もし本当に完全親会社が消滅してしまったら、
完全子会社にとってはこの世から株主が一人もいなくなってしまいます。
株式会社なのに株主が一人もいないということはあり得ません。
また、「完全子会社の株主」と「完全親会社の株主」とは全く関係ありません。
完全親会社が本当に消滅した場合、「旧完全親会社の株主」が新たに旧完全子会社の株主になる、という話にはなりません。

さらに言えば、子会社を存続会社とした親子会社間の合併で親会社が本当に消滅してしまえば、
子会社の少数株主がいきなり大株主になったり、子会社の少数株主会社がいきなり新たな親会社になってしまう、という事態になります。
それはもはやグループ再編でも何でもないでしょう。

 

上手く書ききれているか分かりませんが、
持株会社である完全親会社が消滅するとか事業会社である完全子会社が存続する、というのは
あくまで法律上や形式上(法人格や株式の取り扱い等)の話であって、
会計上は完全親会社が完全子会社を吸収合併する、と考えて会計処理を行うのだと思います。
合併後の貸借対照表は、子会社を吸収合併した親会社の貸借対照表である、ということです。
いわゆる「逆さ合併」とはそういうものだというふうに理解すればよいでしょう。

 


 


最後に昨日のコメントの訂正を行います。
昨日紹介した記事のコメントが間違っています。

 

 

2012年4月25日(水)日本経済新聞
決算の過年度修正 相次ぐ 12年3月期、会計方針変更で 前の期と比較しやすく
(記事) 
 



>過年度の決算の修正についてですが、記事は間違っていると思います。
>過年度修正とはただ単に過年度の決算に間違いがあった場合に過去に遡って財務諸表を訂正することをいいます。
>「誤謬の訂正」といいます。
>記事に書いてあるような「会計上の変更」ではありません。

 


と書きましたが、このコメントは間違いです。
この記事はまさに「会計上の変更」です。
「誤謬の訂正」ではありません。
正反対のことを書いてしまい、申し訳ありませんでした。


 

 



適用する会計基準の違いにより、経営実態は同じなのに利益が大きく見えたり小さく見えたりします。
例えば、仕入れ値が上昇傾向にある材料等の場合、棚卸資産の評価額が会計基準により大きく変わります。
棚卸資産の数量は同じでも、先入先出法か先入後出法かで棚卸資産の価額は大きく変わります。
仕入れ値が上昇傾向にある材料等の場合、先入先出法なら棚卸資産の価額は大きくなります。
ところが、棚卸資産の数量は同じでも、先入後出法なら棚卸資産の価額は相対的に小さくなります。
棚卸資産の額が変わると、売上高が同じでも売上原価が変わりますので、売上総利益が変わります。
経営実態は同じなのに利益が大きく見えたり小さく見えたりするというのはそういうことです。

こういったことを踏まえますと、会計基準というのはみだりに変更してはならないのです。
これを企業会計原則では「継続性の原則」といいます。

このたびの「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」とは、
「会計処理方法を定めた基準」そのものというより、
適用する会計基準を変更した場合は過去の財務諸表にも変更後の会計基準を適用したものとみなして過去の財務諸表を修正しなさい、
という考え方を示したただの「指針」と考えるべきでしょう。
いわゆる通常の意味での「会計基準」とは少し趣が異なると思います。
まあこれも会計基準と呼ぶのかもしれませんが。


 

 


どの会計基準の場合でも同じなのですが、
このたびの「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」は特にどの用語がどのような意味なのか分からないことが多いと思います。
用語の意味が紛らわしいというか、どう違うのか分かりづらいと思います。
「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」ではまず、
「用語の定義」から説明に入っています。

 

昨日の記事で重要なことは、
「会計上の変更」の中の「会計方針の変更」であるという点、
そしてそれは「誤謬の訂正」とは異なるという点、
また、(誤謬の訂正の場合も同じですが)会計上の変更では「遡及適用」するという点、
になります。

さらに言えば、何より大切なことは、やはり、そもそもの話として、
「会計方針は、正当な理由により変更を行う場合を除き、毎期継続して適用する」ということです。

 

 「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」 1


 「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」 2

 



会計基準の全文を読みたければ、

 「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」

で ggrks すれば一番上に出てきます。

 


 

どうでもいいことですが、中学一年生の頃、
訂正という文字を間違えて「提正」とデカデカと教室の黒板に書いてしまったことを思い出しました。
朝礼の際に担任の先生に訂正という文字を訂正されてしまいました。
昨日間違えたおかげで思い出話をすることになりました、というのは冗談ですが。