2012年1月7日(土)



2012年1月7日(土)日本経済新聞 登場
内閣府次官 松元 崇氏(59)
主計畑、異能の学究肌
(記事) 

 

 


2012年1月7日(土)日本経済新聞
ネット証券 苦戦続く 大手5社、昨年の売買4%減 顧客獲得競争が激化
(記事)



 


2012年1月7日(土)日本経済新聞
コクヨ、前期特損64億円 のれん代一括償却などで
(記事)




 

2012年1月7日(土)日本経済新聞
日産が新制度 社内外から研究職公募 成果出せば高額報酬
(記事)

 

 

 


2012年1月7日(土)日本経済新聞
サイバーのアプリ開発会社 新社長は新卒内定者
(記事)



 

 

2012年1月 5日
株式会社サイバーエージェント
スマートフォン向けアプリ開発子会社 株式会社シロクの設立とiPhone向けカメラSNSアプリ「My365」のサービス譲受について
ttp://www.cyberagent.co.jp/news/press/2012/0105_1.html

 

 

 


【コメント】
記事は少しミスリーディングだと思います。
新卒内定者が社長といっても、社長になる飯塚氏は元々iPhoneアプリを開発するベンチャー企業を
自分たちで立ち上げた人物です。
サイバーエージェントに内定・入社する前からある意味社長だったわけです。
サイバーエージェントが飯塚氏のベンチャー企業を買収・子会社化しただけなのではないでしょうか。
就職活動が先か内定が先かサイバーエージェントが買収・子会社化を決定したのが先か、
どれが先なのかは分かりませんが、こういうのは就職とか内定というのでしょうか・・・。
飯塚氏のベンチャー企業は今後株式会社サイバーエージェントの子会社株式会社シロクとして事業運営していくのですが、
飯塚氏は株式会社シロクの取締役(肩書きを全部書けば代表取締役社長)です。
株式会社サイバーエージェントの従業員ですらないわけです(雇用されるわけではない)。
つまり、株式会社サイバーエージェントに就職するわけではありません。

就職活動の最中に飯塚氏を知ったのか飯塚氏が開発したiPhoneアプリで知ったのかは分かりませんが、
新卒内定者が社長というのはおかしいと思います。
詳しいことは知りませんが、株式会社サイバーエージェントは飯塚氏に雇用契約を結ぶ内定は出していないのではないでしょうか。
これは推測ですが、そもそも飯塚氏は就職活動のため株式会社サイバーエージェントにエントリーすらしていないと思います。
今でもそして来春からでも、飯塚氏は株式会社シロクや株式会社サイバーエージェントと雇用契約を結ぶわけではないと思います。
株式会社サイバーエージェントからのプレスリリースを見ますと、現時点で飯塚氏は株式会社シロクの取締役です。
株式会社サイバーエージェントに内定をもらっているわけでもなけば就職するわけでもない、
たまたま大学4生だから3月に卒業する、というだけだと思います。

 

 

 


2012年1月7日(土)日本経済新聞
印タタ製鉄 ネルールカール社長
国内粗鋼生産 15年度に2倍強 内需、強気の見通し
(記事)





(関連記事)


2012年1月7日(土)日本経済新聞
新日鉄住金、まず融和優先 会長に新日鉄・宗岡氏 社長は住金・友野氏 実力主義への移行カギ
(記事)

 

 

 


【コメント】
>2015年度までに国内生産能力を10年度の2.3倍に当たる年間1600万円トンに引き上げ、


ちょっと待ってください。
現在の製鉄所の稼働率がどの程度か知りませんが、
わざわざ生産能力を増強するということですのでそのことを踏まえて仮に製鉄所の現在の稼働率を100%だとしますと、
生産能力を2.3倍にするということはイコール製鉄所自体を今の2.3倍に増加・拡大するということですが。

仮に現在5つ製鉄所で生産を行っているとしますと、
2015年度までにインド国内に製鉄所を後5箇所以上建設しなければならないということです。
今2012年1月です。
仮に2015年1月の時点で5箇所以上の製鉄所の建設が完了している状態を仮定し、
用地取得も含めて製鉄所の建設に計1年間かかると仮定しますと、
1年に1製鉄所を建設するだけでは間に合わなくなります。
2012年に2製鉄所、2013年に2製鉄所、2014年に1製鉄所、これだけ建設してやっと2倍です。
これだけの短期間にこれほどの製鉄所を建設することは本当に可能なのでしょうか。

それに、本当に、2015年には需要量が2.3倍になるのでしょうか。
いくらBricsの一角だとはいえ、需要量が4年で2.3倍になるというのは考えづらいと思います。
念のためエクセルで計算しますと、4年で2.3倍になるためには、毎年毎年前年比で23パーセントずつ増加し続けなくてはいけません。
(計算式: =(2.3)^(1/4))=1.231493...)

4年連続で生産量・需要量が前年比23パーセント増、というのはあり得ないと思います。


生産能力をそこまでの短期間にそこまで一気に高めることは難しいと思います。
それ以上に、需要量がそこまでの短期間にそこまで一気に高まることは考えづらいと思います。

 

 


社長のネルールカール氏のプロフィールをタタ製鉄のサイトから見てみましょう。

 

Mr. H. M. Nerurkar
Managing Director
ttp://www.tatasteel.com/about-us/management/key-management-personnel.asp


>Mr. Nerurkar has attended several management courses in India and overseas, including CEDEP in France.

 


インドや海外の大学で経営管理学の講座をいくつか受講したことがあるようです。
その中には、フランスのCEDEPが含まれるようです。
CEDEPのサイトはこちらです↓。


European Centre for Executive Development
ttp://www.cedep.fr/


"Executive Development" とありますように、いわゆるエグゼクティブMBAのようです。
エグゼクティブMBAとは、幹部候補生が受講するのではなく、経営幹部が受講するコースです。
ネルールカール氏はこの中のいくつかのコースを受講したのでしょう。

 

 



ネルールカール氏本人ではありませんが、なんと、タタ製鉄の副会長のMuthuraman氏がCEDEPのサイトに載っています。
タタ製鉄からCEDEPへ多くの人材を送り出している、という内容です。

 

Member Companies
ttp://www.cedep.fr/AboutCedep/MemberCompanies/tabid/1631/Default.aspx


(キャプチャー)

インタビュー内容を引用し訳してみます。

 

 


Businesses are constantly experiencing new environments and new cultures...
There is an urgent need to create new leaders at all levels.

Tata Steel's involvement with CEDEP has been extremely useful and productive.
Till now over 100 of our executives have been participated in the CEDEP programmes
and these executives have been primarily responsible for transforming Tata Steel into a vibrant, high energy,
enthusiastic and ambitious organizasion.
As we intetnationalise Tata Steel more and deal with more and more different environments and cultures,
CEDEP will have even more meaning to us.


B. Muthuraman -
Vice Chairman - Tata Steel

 

 


事業運営を行っていると常に新しい環境や文化に遭遇します。
早急にあらゆる経営管理層において新しいリーダーを生み出す必要があります。

タタ製鉄におけるCEDEPとの取り組みは極めて有益であり生産性の高いものになってします。
現在までに100人を超える我が社の経営幹部がCEDEPプログラムに参加しており、
これら幹部は主に、タタ製鉄を躍動感にあふれ、元気一杯で、熱狂的で、野心的な組織へと変革することに責任を負っています。
タタ製鉄をさらに国際化し、困難な環境や文化に対応を取るようになればなるほど、
CEDEPは我が社にとってますます意義深いものになることでしょう。


ムスラマン
副会長 タタ製鉄

 

 



>these executives have been primarily responsible for transforming Tata Steel into a vibrant, high energy,
>enthusiastic and ambitious organizasion.

>これら幹部は主に、タタ製鉄を躍動感にあふれ、元気一杯で、熱狂的で、野心的な組織へと変革することに責任を負っています。


この経営幹部の一人がまさに社長であるネルールカール氏というわけです。

 

Muthuraman氏についてはこちらにプロフィールが載っています↓。


Board of Directors
ttp://www.tatasteel.com/about-us/management/board-of-directors.asp

 

 

上で紹介しましたプロフィール(ttp://www.tatasteel.com/about-us/management/key-management-personnel.asp)に、
ネルールカール氏についてこう書いてあります。


>He has a natural flair for nurturing and cultivating innovation and out of box thinking.


訳が難しいのですが、私はこう訳したいと思います。

 

彼にはイノベーションを促進して深めていく天賦の才能があり、型破りな発想をする天才です。

 

 



最後に、世界最高の経営戦略の教科書から、生産能力を拡充する際の留意点をスキャンして紹介します。
1980年出版(日本語訳は1982年)ですが、30年以上経っても全く色褪せない、古典にして最高峰の教科書です。

 

 

「競争の戦略」 M.E.ポーター 著 土岐 坤・中辻 万治・服部 照夫 訳 (ダイヤモンド社)


第15章 キャパシティ拡大戦略

キャパシティ過剰になる原因
(424〜425ページ)





章の一番始めにこう書いてあります。

>キャパシティの拡大は、企業にとって最も重大な戦略上の決定事項である。

 

そして設備投資を行う際の留意点としてこうも書いてあります。

>業界全体の生産能力が需要量に満たない場合は、一時的に不つごうはあっても、まず問題にならない。
>その場合は、たいてい新規投資が行われるからである。
>しかし、いったん設備投資がなされると、それを減らすことはむずかしくなる。
>したがって、いったん設備過剰になると、その状態は長期にわたって存続することになる。

 

 



製鉄所の建設は、製鉄能力を一気に高めることになります。数トン分のみ建設、ということができません。
そして、その製鉄所は建設後10年間も20年間も製鉄能力を保持し続けることになります。

 

第1章 業界の構造分析法


競争を激化させる競争要因

既存競争業者間の敵対関係の強さ―要因U
(36〜37ページ)




景気は循環します。
しかし、生産能力は景気循環の期間に比べると、はるかに柔軟性がありません。

景気は繰り返します。
しかしそれ以上に、企業は過剰設備投資と稼働率の低下を繰り返しているのかもしれません。

 


設備投資を行い、生産能力を拡大することは簡単です。
しかし、その逆は極めて難しいのです。


このことは、今後市場が縮小していく日本においては全ての企業が肝に銘じておかねばならない現実だと思います。