2012年1月6日(金)



2012年1月6日(金)日本経済新聞
株で資金調達3割減 世界企業の昨年 社債発行は底堅く 投資家 安全志向強く
(記事)




2012年1月6日(金)日本経済新聞
東証・大証 統合まで1年 市場活性化へ詰め 公取委の審査が焦点
(記事)





2012年1月6日(金)日本経済新聞
JVCケンウッド株売却 パナソニック 資本提携も解消 今期最終赤字 資産圧縮急ぐ
(記事)





2012年1月6日(金)日本経済新聞
アサヒ、営業益1090億円に 前期増益幅14%に拡大 国内の合理化が奏功
(記事)





2012年1月6日(金)日本経済新聞
エルピーダ再建案大詰め 台湾大手との提携 迫る借り入れ返済 産活法の再認定カギ
(記事)

 

 

 



2012年1月6日(金)日本経済新聞
中国の建機市場失速 昨年1ケタ成長 住宅・鉄道投資減る
(記事)



 

2011年12月31日(土)日本経済新聞
コマツ、国内で増産投資 最大150億円、鉱山機械向け
(記事)





2012年1月1日(日)日本経済新聞
日産・ゴーン社長 ブランド力に寄与 商品力 現地化 EV
(記事)








【コメント】
記事のグラフが正しいかどうかは分かりませんが、建設機械の販売がやや落ち込み気味というのは本当なのでしょう。
建設機械の販売も景気動向の一つの判断材料といえます。
現在中国は経済成長が緩やかに減速しているのでしょう。

記事には、2010年の建機販売は前年比で70%超の伸びとありますが、いくらなんでもそこまではないかと思います。
2008年夏が北京オリンピックだったので、2006年から2008年初めまでが建機販売のピークだったのは間違いないでしょう。
2008年の9月以降にリーマンショックですから、2009年に前年比で大幅に落ち込んだのは間違いないと思います。
その2009年に比べると、2010年は販売が伸びるのは確かだとしても、70%超の伸びということはないかと思います。

 

 

 


2012年1月6日(金)日本経済新聞
リクルート、持ち株会社に 10月移行
(記事)





2012年1月5日
株式会社リクルート
執行役員の異動等に関するお知らせ
ttp://www.recruit.jp/news_data/old/2012/01/20120105_12578/

 


2012年1月5日
株式会社リクルート
グループガバナンス体制変更についてのお知らせ
ttp://www.recruit.jp/news_data/old/2012/01/20120105_12577/

 

 

【コメント】
持株会社制への移行をグループガバナンス体制変更と表現していることは目新しいなと思いました。
ただ、組織形態は戦略に沿って変更していくべき話であって、コーポレートガバナンスの強化のために行うことではない、とも思います。
コーポレートガバナンスは経営の一側面に過ぎない(あくまでルールを守っているという意味合いしかない)のであって、
コーポレートガバナンスを主目的に経営を行っている企業は1つもない、ということです。
それと、新執行役員の出木場久征氏はまだ36歳です。これはリクルートの実力主義を反映した人事ということでしょうか。 

 


 


2012年1月1日(日)日本経済新聞
ラオックス 中国1号店開業 日本の家電売り込み
(記事)

 



 

【コメント】
なぜ中国でラオックスを開店する必要があるのか全く分かりません。
中国で家電量販店を開店するならそのまま蘇寧電器の店名でよいと思うのですが。
中国でラオックスを開店してしまうと蘇寧電器とカニバリゼーションを起こすだけでしょう。
日本メーカーの家電製品の品ぞろえを増やしたといっても、電気規格が異なるわけですから、
日本でしか製造販売されていないという製品は1つも売れません。
中国の電気規格に合わせた製品の品ぞろえを強化したということなら、蘇寧電器でもできるわけです。
ラオックスを中国でも開店することは、ブランド認知が分散するだけあり何のメリットもありません。


 

 


2012年1月3日(火)日本経済新聞 人ひと
日本航空 大西社長
株式再上場へ決意新たに
(記事)




 

【コメント】
何が言いたいか分かるよな。

 


 


2011年12月29日(金)日本経済新聞
大崎電気がTOB シンガポールの電力量計大手 127億円
(記事)


 




2011年12月28日
大崎電気工業株式会社
シンガポール企業 SMB United Limited の株式公開買付け実施について  
ttp://www.osaki.co.jp/Files/Billeder/IR/tanshin/2011.12.28_SMB(jisshi).pdf

 

 

 


2011年12月29日(木)日本経済新聞
国内初2段階TOB ユニゾン・キャピタル
(記事)

 


 


2012年1月6日(金)日本経済新聞 公告
公開買付開始公告についてのお知らせ
ATCホールディングス2号株式会社
(記事)




 

2012年1月6日
公開買付届出書
ATCホールディングス2号株式会社
(EDINETと同一ファイル)


 

 


2011年12月28日
ユニゾン・キャピタル株式会社
旭テック株式会社優先株式の取得及び普通株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
ttps://www.unisoncap.com/jp/news/imgjs30000001196-att/PressRelease_111228.pdf

 

 

 


2011年12月28日
旭テック株式会社
ATCホールディングス2号株式会社による当社株券に対する公開買付けに関する賛同意見表明のお知らせ
ttp://www.asahitec.co.jp/jp/documents/Dec_28_2011_ikenhyoumei_J.pdf

 

 

2011年12月30日
旭テック株式会社
12月28日の発表について補足資料
ttp://www.asahitec.co.jp/jp/documents/Final_Supplemental_for_1228_000.pdf

 

 

 



訂正:UPDATE1: ユニゾン・キャピタルのファンドが旭テック<5606.T>にTOB 完全子会社化目指す
訂正:本文1段落目の「320億円強」を「239億円」に訂正します。


 [東京 28日 ロイター] ユニゾン・キャピタルの投資ファンドは28日、旭テック株を公開買い付け(TOB)すると発表した。
大株主のRHJIと東京海上日動が保有する旭テックの優先株を取得後、2回に分けて普通株のTOBを実施する。
1回目はRHJIと東京海上日動から1株27円で、2回目はその他の一般株主から1株33円でそれぞれ買い付ける。
買収総額は239億円(訂正)になる見通し。
 旭テックはユニゾン・キャピタルの投資ファンドに完全子会社化され、7月末にも上場廃止になる予定。
旭テックの経営陣はTOBに賛同している。
 1回目の買い付け価格である27円は、12月27日終値と同額。同日までの過去1カ月間の終値平均25円に対して8.00%、
過去3カ月間の終値平均23円に対して17.39%、過去6カ月の終値平均24円に対して12.50%のプレミアムを加えた額に相当する。
買い付け期間は2012年1月6日から同2月3日まで。
 また、2回目の買い付け価格である33円は、12月27日終値27円に対して22.22%、
同日までの過去1カ月間の終値平均25円に対して32.00%、過去3カ月間の終値平均23円に対して43.48%、
過去6カ月の終値平均24円に対して37.50%のプレミアムを加えた額に相当する。
買い付け期間は12年2月13日から同3月26日の予定。
(ロイター 2011年 12月 28日 20:31 JST)
ttp://jp.reuters.com/article/companyNews/idJPTK069600420111228

 

 

 



【コメント】
日本経済新聞の「国内初2段階TOB」という見出しは意味がよく分かりませんが。
2段階TOBという名称(買収方法)はないかと思いますが。

記事やプレスリリースを読みますと、株式公開買付を買付価格を変えて続けて2回行うようです。
国内初と言われると、確かに買付価格を変えて株式公開買付を続けて2回行うというのはほとんど例はないと思います。

基本的には、株式公開買付は1回のみでしょう。
仮に買付価格を変えて2回公開買付を行うとします。
2回目は買付価格を上げた場合は、1回目の公開買付に応じた株主から不平が出るでしょう。
また逆に、2回目は買付価格を下げた場合は、誰も公開買付に応じない、もしくは、
その価格での買い取りに応じざるを得なかった株主から不平が出るでしょう。
株主に平等に株式売却の機械を与えるという意味において、株式公開買付は「同一の価格で一回のみ」が基本になると思います。


一般的な話をしますと、二段階で企業を買収する、といった時には、
まず株式公開買付で過半数なり3分の2超なりの株式を取得した後、
改めて株式交換やキャッシュアウトマージャーで残りの株式を取得して完全子会社化する場合のことを言います。

@まず株式公開買付
A次に株式交換やキャッシュアウトマージャー

これで二段階です。


見出しのみを見たときは、ユニゾン・キャピタルの公開買付も同じような流れなのかなと思ったのですが、
このたびのユニゾン・キャピタルの場合は、株式公開買付自体を2回行うということで、確かに非常に珍しいケースだと思います。

 

 



このたびのスキームについては、旭テック株式会社から2011年12月30日に発表されたプレスリリースの図が一番分かりやすいと思います。


12月28日の発表について補足資料
ttp://www.asahitec.co.jp/jp/documents/Final_Supplemental_for_1228_000.pdf


(本日発表のポイント)


(本取引の概要)



これらの図を見ると分かるように、株式公開買付自体は確かに「2回」行いますが、
何段階という言い方をするのなら、これは全部で「4段階買収」です。
図にも@〜Cとあります。
まとめますと、

@優先株式の100%取得 (A種優先株式、B種優先株式について発行済みの全てを取得)
A第1回目の普通株式公開買付 (事実上応じるのはリップルウッドと東京海上日動のみ。1株27円。)
B第2回目の普通株式公開買付 (一般株主が応じる。1株33円。)
C普通株式の100%取得 (公開買付で取得できなかった残り全ての普通株式を取得。スクイーズアウト)

となります。
優先株式の100%取得、株式公開買付、残りの普通株式を100%取得、という流れは、
パナソニックの三洋電機に対する完全子会社化の際にもありました。
これは上場していてなおかつ優先株式を発行している企業を完全子会社化する際にはよくある流れだと思います。
というより、優先株式や普通株式の取得の対価が現金か自社株式かといった支払対価のバリエーションの違いを除けば、
このスキーム以外には考えられないと思います(正確にはスキームというほどのこともなく、順番に淡々と買っていっているだけ)。
このスキーム自体は何ら珍しいことではありません。わざわざ「4段階買収」などと呼ぶ必要はないと思います。
パナソニックが三洋電機を完全子会社化する際も、「3段階買収」とは呼んでいなかったと思います。

 

 



それでも、このたびのスキームで一番気になるのは、やはり株式公開買付を2回行う、という点だと思います。
価格を変えて株式公開買付を2回行うというのはほとんど例がないと思います。
株式公開買付という制度の趣旨や低い買付価格で応じた株主へのその後の対応を考えると、
実務上「株式公開買付は1つの価格で1回のみ」、というのはある意味自明だからです。


この点について、ユニゾン・キャピタル株式会社から2011年12月28日に発表のプレスリリースを見てみましょう。

旭テック株式会社優先株式の取得及び普通株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
ttps://www.unisoncap.com/jp/news/imgjs30000001196-att/PressRelease_111228.pdf

 

第二回公開買付けに関する事項


(15/50ページ)


(16/50ページ)


(17/50ページ)




 



株式公開買付を2回行う理由は、一般株主に対してはプレミアムを付けた価格で買い取りを行いたいから、となります。
リップルウッドや東京海上日動は1株27円での買い取りに同意しているが、これでは事実上プレミアムは全く付いていない、
そこで、改めて一般株主を対象に1株33円で株式公開買付を行うことにしたわけです。
法律的には、一度に全ての株主を対象に1株27円で株式公開買付を行っても何の問題もないわけですが、
一般株主への配慮という意味を込めて敢えてプレミアムを付けた形で2回目の株式公開買付を行うのでしょう。



ユニゾン・キャピタルからの同プレスリリースより

買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等本公開買付けの公正性を担保するための措置
対象者における特別委員会による検討
本公開買付けを含む本取引は公正な手続を通じて少数株主への十分な配慮がなされているか


(22/55ページ)


(23/55ページ)



 


最後に、2回目の公開買付けの後は、全部取得条項付種類株式を用いて、残りの普通株式の全部取得手続を行うとのことです。
この場合の買い取りは、「現金」による買い取り(価格は2回目の株式公開買付と同じ)となる予定です。
ユニゾン・キャピタルからのプレスリリースには文言は出てきませんが、旭テックのプレスリリースにありますように、
このように株式公開買付に応じなかった株主から残りの株式を取得することを「スクイーズアウト」といいます。
「スクイーズアウト」の手法は大きく分けて2つあります。
1つ目は株式交換。
2つ目はキャッシュ・アウト・マージャー

1つ目の株式交換は、残りの株式の取得の対価として自社株式(買収側企業株式)を支払う方法です。
2つ目のキャッシュ・アウト・マージャーは、残りの株式の取得の対価として「現金」を支払う方法です。

正確に言えば、会社法上は、残りの株式の取得の対価は何でもよいのです。犬でも猫でもよいのです。
旧商法では、残りの株式の取得の対価としては自社株式(買収側企業株式)しか認められていませんでした。
つまり、旧商法では「スクイーズアウト」は「株式交換」によってしか行えませんでした。
しかし、現会社法では、残りの株式の取得の対価は何でもよくなったのです。
対価は何でもよくなった、その一環として、「現金」でも認められるのです。
旧商法では、残りの株式の取得の対価として「現金」は認められなかったのです。意外ですよね。
「スクイーズアウト」の対価は自社株式でなくてもよくなった、そこで、外国企業の株式を対価とした株式交換が可能になりました。
これを「三角合併」といいます。「三角合併」は正確には自社株式以外を対価とした株式交換の総称です(外国企業というのは関係ない)。
話を戻しますと、「スクイーズアウト」の対価が「現金」の場合を「キャッシュ・アウト・マージャー」と呼びます。
このたび、ユニゾン・キャピタルは「4段階目」として、「キャッシュ・アウト・マージャー」を行うのです。

 

「日本のコーポレートファイナンス」 小堀一英/中島健二/大野薫 著 (社団法人金融財政事情研究会)

第7章 日本のM&Aの現状
7.5 わが国M&A市場の今後の展望
「キャッシュ・アウト・マージャーの解禁」
(291ページ)