2011年12月20日(火)
メキシコ企業が三菱東京UFJ銀行(正確には外資系銀行)からお金を借りることはあまりないと思います。
そして現地メキシコ人が三菱東京UFJ銀行(正確には外資系銀行)にお金を預けることはあまりないと思います。
地方銀行が県境を越えて営業活動を行っても、なかなか預金残高も融資残高も増えないように、
国境を越えると商業銀行は国内のようには営業活動がうまくいかなくなります。
商業銀行というビジネスモデルは、その国内その都道府県内でのみ営業活動が可能な業態なのだと思います。
資本金の額を増やすだけでは、メキシコでは三菱東京UFJ銀行に勝ち目はありません。
正確に言えば、商業銀行は、海外では現地商業銀行には勝てないということです。
これは商業銀行という業態が持つ宿命です。
それと、三菱東京UFJ銀行のメキシコ支店に誰もお金を預けなかったとしても、資本金を貸し出すことはもちろん可能です。
この場合、損益計算書上は、貸出金利息の額がそのまま粗利の額になります。
資本金に対する支払利息は全くないからです。
しかし、注意が必要なのは、キャッシュベースで見ると、このような貸し出しはいわゆる「逆ざや」になります。
一般的な話をすれば、貸出金に対する受取利息の利率よりも、資本金の金額に対する配当支払額の割合の方が大きいからです。
資本金には損益計算書には出てこない費用が常にかかっています。
株主資本コストと呼ばれる費用です。これはキャッシュフロー計算書で把握可能です。
資本金(正確にはもっと広く株主資本全体)は元手(コスト)がかからない資金だ、といったことがよく言われますが、それは間違いです。
株主資本にはコストがかからないのは損益計算書上のみの話であり、実際には配当の支払いという形でコストはかかっています。
損益計算書のみを見ると、資本金(株主資本)のみを貸し出すのが一番利益率が高いように思えるかもしれませんが、
配当の支払いまで考慮すると、その貸し出し方法はキャッシュベースで見ると実は一番マイナス額が大きい貸し出しなのです。