2011年11月18日(金)



2011年11月18日(金)日本経済新聞 公告(広告?)
開発事業資金借入先公募
財団法人日本航空機エンジン協会
目的:次世代中小型民間輸送機用エンジン共同開発事業の平成23年度資金借入
借入先:航空機工業振興法(昭和33年法律第150号)第5条第2号の金融機関
(記事) 

 

 

 


財団法人日本航空機エンジン協会
ttp://www.jaec.or.jp/


>(目的)
>民間航空機エンジンの開発に関する調査研究等を通じて民間航空機エンジンの開発を促進し、
>もって航空機工業の向上発展を図り、産業経済の健全な繁栄に寄与すること
>
>
>(事業)
>(1)民間航空機エンジンの開発に関する調査及び研究
>(2)前号の調査研究に伴う試験
>(3)前各号の調査、研究及び試験の成果の分析
>(4)民間航空機エンジンの製造及び販売の促進
>(5)前各号に付帯する事業
>(6)前各号に掲げるもののほか、本協会の目的を達成するために必要な事業

 

 

 


航空機工業振興法(昭和33年5月10日法律第150号)

>(指定開発促進機関に対する交付金の交付)
>第5条  政府は、開発指針に即して国際共同開発を促進するため、開発事業者等(開発事業者及びその承継人をいう。以下同じ。)
>に対して次に掲げる助成金(以下『開発助成金』という。)の交付の事業を行う者として
>経済産業大臣が指定した者(以下『指定開発促進機関』という。)が当該事業を行うときは、その指定開発促進機関に対し、
>予算の範囲内において、その事業に必要な資金の全部又は一部に充てるため交付金を交付することができる。
>(1)  国際共同開発(開発指針を勘案して経済産業大臣が定める国際共同開発の助成に関する基準に適合するものに限る。
>次号において同じ。)に必要な資金であつて、経済産業省令で定める用途に係るものの一部に充てられる助成金
>(2)  国際共同開発に必要な資金(前号の助成金に係るものを除く。)に係る経済産業大臣が定める金融機関からの借入れによる
>債務に係る利子の額に経済産業省令で定める割合を乗じて得た金額の支払いに充てられる助成金

 

 

 

平成21年8月27日
経済産業省
航空機工業振興法第5条第2号の金融機関について
航空機工業振興法(昭和33年法律第150号)第5条第2号の金融機関を次のように定める。
一 銀行
二 信用金庫及び信用金庫連合会
三 労働金庫及び労働金庫連合会
四 信用協同組合及び信用協同組合連合会
五 農業協同組合及び農業協同組合連合会
六 漁業協同組合及び漁業協同組合連合会
七 農林中央金庫
八 株式会社商工組合中央金庫
九 株式会社日本政策投資銀行
ttp://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/downloadfiles/090827kokukihou_kinyukikan.pdf

 

 

 



【コメント】
これは公告を装ったゴルゴ13への仕事のリクエストです。

 

 


というのは冗談ですが。

よく分からなかったので航空機工業振興法について検索してみました。
条文もすぐに見つかり、「第5条第2号の金融機関」というのもすぐに見つかりました。
「第5条第2号の金融機関」とは、ほとんど全ての銀行という感じですが。


おそらくこの公告は、企業が行う研究開発に対して融資を行ってくれる銀行等を公募しているのだと思いますが、
一般的な融資とは異なり、一旦現金を受け取る(形式上銀行等からの融資)のは企業であり、
その借入金を実際に銀行に返済するのは交付金という形で経済産業省が行うのだと思います。
経済産業省から企業へ直接交付金を交付するのではなく、
まず銀行等が企業へ現金を融資し、形式上の元本と利子に相当する額を銀行等は経済産業省から交付金という形で
借入金の返済を受けるのだと思います。
経済産業省から企業へ直接交付金を交付しない理由は分かりません。
悪く言えば銀行を迂回路として使っているような感じですが、借入という形を取っているのは何か理由でもあるのでしょうか。

 

 

 



さて、この公告では企業に融資を行う銀行等を公募しているわけですが、
複数の銀行等から応募があった場合はどうなるのでしょうか。
「協調融資」の形を取って均等割りで融資を行うのでしょうか。
それとも、競争入札になるのでしょうか。

仮に競争入札となりますと、銀行等が勝負できるのは「金利」しかありません。
いかに他行よりも低い金利で融資を行うかが勝負になります。

融資額は最大910百万円と決まっています。
しかし、金利は決まっていません。
最も低い金利を提示した銀行等が受注(融資)するのかもしれません。


この融資を受注できれば、融資先企業が今後新たな顧客となってくれる可能性もあるわけです。
そう考えますと、非常に低い金利を提示しても長い目で見ればプラスになる、という考え方はあると思います。
この融資だけで儲ける気はないとすれば、金利はゼロでもよいという考え方もあるかもしれません。
いえ、もっと言えば、極端な話、「マイナスの金利」で貸し出しを行ってもよいかもしれません。
金利がマイナスの分は新規顧客開拓のための広告宣伝費と割り切るという考え方もあるでしょう。


銀行は煎じ詰めれば金利でしか勝負できません。
頭の体操かもしれませんが、「マイナスの金利での貸し出し」という「マーケティング融資」といった考え方も
今後の銀行経営では大切な考え方になってくると思います。

 

 

 



「第5条第2号の金融機関」には「ゆうちょ銀行」ももちろん入っています。
ゆうちょ銀行(日本郵政グループ)と競争入札に関連した記事がありましたので紹介します↓。
日本郵政グループとイーベイが業務提携するという記事です。

 


2011年11月8日(火)日本経済新聞
日本郵政 米ネット競売と提携
(記事)



 


インターネットを通じた競売は英語で「net auction」ということもあると思います。
このたびの航空機エンジン開発への融資は「debt auction」と表現できるかもしれません。


一番低い金利を提示した銀行等が融資を行う場合は「競争融資」と言えるでしょう。
しかし、そうではなく均等割りで融資を行う場合は「協調融資」になりますが。