2011年11月11日(金)



2011年11月11日(金)日本経済新聞
商社、大型投資を積極化 三菱商事、チリ銅鉱山に4200億円 欧州危機で売却案件増加
(記事)






 


【コメント】
(弔辞)


 

 

彼の中学時代の周りからの評価は完璧でした。
彼のことを悪く言う人は本当に一人もいませんでした。


高校2年時、1度だけ彼に会いました。私が彼の家にお邪魔しました。
その時の口ぶりでは、何となく、高校の教育方針や周囲のクラスメートが何か自分と合わない面があるのかな、
というふうに感じまして、その点だけが気にはなりました。


大学以降の彼については何も知りません。
ただ何となく、まじめな性格が逆に災いするようなことも人生の中であったのかもな、と推測しています。
まさに昔の私がそうであったように。

高校2年のころ彼の家で会った時、私は彼に「官僚になるのか」と聞きました。
その時彼はきっぱりと「いや、官僚にはならない」と即答しました。
彼の中で官僚に対して何か思うところがあるのかな、とその時思いました。
彼のまじめな性格を考えると、彼は官僚になるべきだったのでは、と今でも思っています。

彼はビジネスに向いていないような気がします。
私と同じで性格ががつがつしていないでしょう。

総合商社で働くのなら、ある程度金と女が好きでないと勤まらないと思いますが、彼は全くそんなことないでしょう。
ひょっとしたら、職場の同僚と合わないなと感じることもあったのかもしれません。

 

 

 


自分や周囲を見てみますと、人間、15歳でその性格や人格は固まっているような気がします。
女に手を出してばっかりの男というのは、中学時代から女に手を出してばっかりなわけです。
中学時代から男女交際している人は、高校時代もその後も男女交際が激しい気がします。

中学時代におくての男は、大人になってからもおくてな気がします。
おくてか女をくどいてばっかりかは、中学時代に既に固まっている気がします。

彼は中学時代から誠実でした。
女生徒から告白されたこともあったようですが、県外の高校に進学すると決めていたのでふったようです。
私が知る限り、中学時代は彼は誰とも付き合っていないと思います(男子校でしたから高校時代もそうでしょう)。


中学時代の私のエピソードといえば、このようなことがありました。
私がある女生徒と仲良く話をしていた後で、あるクラスメートから
「あいつ、お前のこと絶対好きなんだと思う。告白して付き合ったら」
といわれました。私は
「県外の高校に行くし、あいつと結婚するわけじゃないから」
と答えました。するとそのクラスメートは
「お前先のことまで考えすぎだよ」
と言って笑っていました。
私の中では遠距離恋愛になれば必ず別れることになるだろうなと思いましたし、
何より高校受験そして大学受験を控えていましたから、誰かと付き合うことなど考えもしませんでした。

 

 

 



また、ある時など、他のクラスメートから「女も男と付き合いたいと思っているんだよ」とわざわざ言われたこともあります。
恋愛沙汰が全くない私を見て、
「ひょっとしたらこいつ、女は男と違って、恋人が欲しいと思っていないんじゃないか、
だからこいつ告白できずにいるんじゃないか」
と心配してくれたのでしょう。
彼が言ったことは確かに私が漠然と考えていたことをずばり突いていたようにも思いますが、
どちらにせよ、中学時代に誰かと付き合うことなど考えもしませんでした。
そのことは周りのクラスメートも何となく分かっていたのではないでしょうか
(それとも、他に既に彼女がいると勘違いされていたのでしょうか)。


県外の高校に進学する、だから彼女は作らない、この考えは彼も同じだったと思います。
お互い彼女作るのはなしにしようぜ、などと語り合ったわけではありません。
ただ、私と彼とは価値観や生きる方針が非常によく似ていたと思います。

彼は女性に対しても非常に誠実だったと思います。
しかし、人間、生きていく上で誠実さがあだとなることも多いのです。
人が生きていく上で必要なことは、人一倍のまじめさや誠実さではなく、
「周り人達と同じだけのまじめさや誠実さ」なのです。
彼は人の何倍もまじめであり誠実でした。
そしてそのことが人生の中で彼を悩ませたことは想像に難くないと私は思います。
私もかつては同じ悩みを抱えていました。

彼はまじめでした。
しかし、そのまじめさは総合商社ではいかせないでしょう。


最後に、誰もが知っているように、彼は非常に頭が良かった。
だから、私の意図に彼は気付くのではないかと私は思っていました。
価値観や生きる方針が非常によく似ていた者同士のみが可能な心理の読み合いに私は期待していました。
しかし彼は私の意図を読み取れませんでしたし、思いもよらぬ結果になってしまいました。
いつの日にか、商社ビジネスについて語り合える日が来ると信じていただけに、残念でなりません。