2011年11月2日(水)
2011年11月2日(水)日本経済新聞 きょうのことば
高級車戦略
(記事)
【コメント】
この記事はでたらめです。
なぜ分かるかというと、私が立案した戦略では、香港ではなく上海に集約することになっているからです。
というのは冗談ですが。
ただこの記事が全体的にでたらめであるのは間違いないと思います。
この記事がでたらめである理由を漫画で端的に説明しましょう。
日産に限らず、日欧の自動車各社がそれぞれの国内で高級車を生産し、中国に輸出(中国から見れば輸入)する場合はこうです↓。
一方、高級車を中国で生産する場合はこうです↓。
高級車を販売するディーラー網の整備拡充はもちろん必要ですが、
現地消費者のニーズを汲み取るマーケティング拠点は高級車に限っては必要ありません。
高級車は高級車であることに意味があるのです。
もっと言えば、高級車を購入した消費者は、
「高級車を購入したことそのもの」に意味を見出しているのです。
極端な話、乗り心地が悪かったり中国では運転しづらいといったようなことがあっても購入者は気にしません。
購入者は「私はあの高級車を買ったのだ」と言えればそれで十分なのです。
日産に限らず、日欧の自動車各社は、高級車は中国では生産せずに、それぞれの国内で生産し中国へ輸出という形を取るでしょう。
費用が高くついても構わないのです。
むしろ、高い購入価格になればなるほど、購入者は喜びます。
この高級車は中国で生産したものではない、このことに購入者は意味を見出しているのです。
中国で生産されたり販売価格が安いといったことは高級車にとって何の意味もありません。
高級車を中国で生産することは、自動車各社にとって高級車のメリットを殺すことになります。
2011年11月01日
株式会社セブン-イレブン・ジャパン
未来形コミック「月刊ヒーローズ」新創刊!付録はAKB48コスプレ生写真♪
ttp://www.sej.co.jp/products/heros1110.html
月刊ヒーローズ公式サイト
ttp://www.heros-web.com/
未来形コミック 月刊ヒーローズ 創刊号
(表紙)
私の第一印象は、「高校の文化祭のパンフレットの表紙みたいだな」でした。
何と言いますか、すごく安直な感じがしませんか。
凝っていないといいますか、漫画雑誌っぽくないといいますか。
悪く言えば、フリーペーパーの表紙のような感じがします。
一般の書店や他のコンビニでは販売しておらず、セブンイレブンのみの販売ということで、完全に新しい試みではあると思います。
セブンプレミアムのマークはついてませんが、プライベートブランドの漫画雑誌、といったところでしょうか。
セブンイレブンのみで販売ということですが、漫画の編集や出版までの過程は小学館が行っているようです。
小学館からすると、販売チャネルをセブンイレブンのみに絞った漫画雑誌といえるかもしれません。
私も詳しくはないのですが、漫画家は小学館の他の雑誌に漫画を描いている人が多いのかもしれません。
この雑誌に載っている漫画を面白いと思うかどうかは人によると思いますので、
漫画の内容についてはコメントはありません。
ただ、やはり、表紙がすごく簡単な作りになっているな、というのが率直な感想ですね。
創刊号といいますと、やはり一番力を入れることが多いかと思うのですが、
創刊号でこれだと来月号以降が心配になってきます。
その理由は、読者層を絞り込めていないからです。
確かに、セブンイレブンのみ(コンビニのみ、でも同じことです)で販売するというアイデアはいいと思います。
しかし、この雑誌は結局誰をターゲットにしているのか不明なのです。
小学館といえば、「小学一年生」〜「小学六年生」シリーズが有名です。
これなどまさに、各学年の児童をピンポイントで狙っているわけです。
「小学一年生」を買う小学六年生や中学生高校生はいませんし、
「小学六年生」を買う小学一年生や中学生高校生はいません。
対象読者を完全に絞っていますから、発行側は雑誌の内容を決めやすいのです。
読者はこのような内容を望んでいる、そしてこのような内容は人気がない、学習に役立つ内容はこれだ、といったことが把握できます。
しかし、月刊ヒーローズは、誰を対象にした漫画なのか分からないのです。
高校生向けか、大学生向けか、社会人向けか、それとも普段あまり漫画を読まない高齢者も狙った雑誌なのか。
内容も、ギャグ漫画を中心にするべきなのか、スポーツ感動物を中心にすべきなのか、恋愛物を中心にしべきなのか、
シリアスな例えば何か人生について考えさせるような漫画も掲載すべきなのか、
まるで分かりません。
要するに、対象読者層や掲載していく漫画の内容がまるで絞り込めていないのです。
マーケティング用語で言えば、セグメンテーションができていないのです。
マーケティングでは、「誰に、何を、どのように」を考えることが大切です。
この月刊ヒーローズの場合は、「どのように」だけは明確にできています。
「セブンイレブンでのみ販売する」です。
しかし、「誰に、何を」の部分がすっぽり抜けているのです。
誰を読者層にしているのか、そして、どのような内容の漫画を掲載するのか、全く明確にできていません。
一言で言えば、雑誌のコンセプトが明確ではないのです。
これでは読者もこの雑誌を買っていいのか分かりませんし、発行している小学館もどう雑誌を作っていけばいいか分からないと思います。
全読者層を対象にした全ジャンルの漫画を網羅した雑誌、
これでは必ず失敗します。
雑誌というのは必ず対象とする読者層を明確にしないといけないのです。
少女向け雑誌はいかにも少女が買うような表紙をしていますし、内容もそれに沿った漫画になっています。
レディース向けも同じですね。男が買うのはかなり恥ずかしい表紙ですよね。もちろん内容もレディース向けです。
小学生向け雑誌(例えばコロコロコミック)は小学生が買うような表紙や内容になっています。
高校生以上向けの雑誌ですと、グラビアが表紙と最初に載っていたりしますね。
社会人向けの雑誌(例えばモーニング)ですと、少し大人向けの表紙になっていますし、
内容もギャグ漫画は割合的に少なくなり、シリアスな内容の漫画も多いでしょう。
漫画雑誌以外でも、ファッション詩はファッション誌ですし、自動車関連雑誌は自動車関連雑誌です。
それにふさわしい表紙と内容になっています。
ところが、この月刊ヒーローズは、誰を対象にしているか分かりませんし、したがって内容も明確ではありません。
月刊ヒーローズ創刊号の表紙が何か変だな、と感じるのは結局雑誌のコンセプトが固まっていないからでしょう。
対象読者層も決まっていない、掲載する漫画の内容も決まっていない、
したがって、表紙をどうすればよいか分からなかった、
これが小学館編集部の率直な気持ちではないでしょうか。
漫画雑誌というものは、対象読者層というものがそれぞれの雑誌で分かれているものです。
小学生向けの雑誌に水着のグラビアを載せても売れませんし、
社会人向けの雑誌に「中間試験にはこれが出る」とやっても売れません。
対象読者層、掲載する漫画、これらを明確にして初めて雑誌は出来上がります。
ところが、この月刊ヒーローズには雑誌を作っていくうえで欠かせない雑誌のコンセプトがありません。
セブンイレブンのみで販売する、という販売チャネルのみが一人歩きした格好です。
セブンイレブン(コンビニでも同じです)にはあらゆる年齢層の消費者が来店します。
性別も年齢も職業も関係ありません。あえて言うなら、全国民が来店するわけです。
全国民を対象にした漫画雑誌、そんなものは作れないでしょう。
この月刊ヒーローズは売れません。
それは販売チャネルが狭いからではありません。
販売チャネルを他のコンビニや全国の一般の書店にまで広げても売れません。
売れない理由はただ一つ、
誰を対象にしているか明確ではないからです。