2011年10月23日(日)
2011年10月23日(日)日本経済新聞 そこが知りたい
三井物産社長 飯島
彰己氏
「プーチン大統領」再び、どうみる? 近代化路線、日本勢に商機
(記事)
鉄鉱石の価格が下がっていることは、製鉄会社からすると、原材料の価格が下がっていることそのものを意味するわけですから、
単純に考えると喜ばしいことであるように感じるかもしれません。
しかし、現在鉄鉱石の価格が下がっている理由は、製鉄各社が必要としている鉄鉱石の量が減っているからなのです。
製鉄会社が鉄鉱石を必要としなくなっている、だから鉄鉱石の価格が下がっているわけです。
製鉄会社が鉄鉱石を必要としなくなっているとはどういうことかと言いますと、
製鉄会社が生産する鉄鋼の量が減っているということなのです。
自動車や工場などの建物で必要とされる鋼材の需要量が減っていることが原因です。
製鉄会社が鉄鋼の生産量を減らすというのはどういうことかと言いますと、鉄鋼の販売量が減るということです。
すなわち売上高が減ることを意味します。
鉄鉱石の価格が目下下がっているということは、製鉄会社の売上高が目下下がっているということを意味します。
もちろん鉄鉱石の価格ほど急激には製鉄会社の売上高が減っているというわけではないのでしょうが、
例えば、現在緩やかに日々の生産・販売量が減少しているとか、最近の営業活動で受注を獲得するのが少しずつ難しくなってきたとか、
来期以降の生産の受注残高が緩やかに減っている、という状態が製鉄会社内で見られると思います。
製鉄会社にとっては、鉄鉱石の価格が下がっているという点だけを見ると歓迎すべき状況なのでしょうが、
それは自社の生産・販売量が減少傾向にあることの結果だと考えないといけません。
自社の生産・販売量はそのままなのに鉄鉱石の価格のみが下がるのであれば手放しで喜べるのですが、
鉄鉱石の価格が下がるのにはそれなりの理由があるということです。
鉄鉱石の価格が下がっていることは製鉄会社の売上高も減少に向かっていることの別の表象だと言えます。
鉄鉱石の価格が下がっているというのは表に出ている現象です。
この表に出ている現象から、製鉄会社の生産・販売量が減少していて、製鉄会社の売上高も減少するだろう、
と読めるようになることが、経営管理学を学ぶことの一つの意義だと思います。
【事務局からのお知らせ】
宿題の答えは明日。
そこまで遡って考えるのなら人生とは所詮99%運で決まるのかもしれません。
しかしそこはもう神の領域です。
神が決めることを人間があれこれ考えてどうなるというのでしょうか。
人間ができることは、与えられた素質や環境の中で精一杯努力することではないでしょうか。
日本経営コンサルティング協会出版刊『実務あらずして理論なし −真理探究の果てには何があるのか−』より