2011年10月4日(火)



MUFG Affirms Commitment To Morgan Stanley


Mitsubishi UFJ Financial Group Inc., in an unusual statement, said it remains committed to its
"long-term strategic alliance with Morgan Stanley" despite the securities firm's sliding share price.
The Japanese bank, which owns about a 22% stake in Morgan Stanley (MS), made its statement
before dawn Tuesday in Tokyo and six minutes after the close of regular trading Monday in New York.

(This story and related background material will be available on The Wall Street Journal website, WSJ.com.)

Morgan Stanley shares fell $1.04, or 7.7%, to $12.47 in 4 p.m. New York Stock Exchange composite trading on Monday;
shares ticked up 0.5% to $12.53 in after-hours trading. The New York company's stock is down 54% so far this year.
The statement shows the lengths to which Morgan Stanley executives are going to help calm investors,
who are worried about the bank's health if the debt situation in Europe deteriorates. Morgan Stanley executives
believed that the statement would show that MUFG isn't worried about Morgan Stanley's credit or derivatives exposure.
MUFG declined to comment further.
After Morgan Stanley shares tumbled Friday, the two Morgan Stanley directors from MUFG
asked what they could do to help the situation, according a person familiar with the situation.
Over the weekend, Morgan Stanley Chief Executive James Gorman spoke with his counterpart in Tokyo,
Nobuo Kuroyanagi, and the two men agreed that the Japanese bank would issue a news release expressing its support,
the person said.
In 2008, Morgan Stanley survived a panicked exodus by investors and customers with help from the U.S. government
and a $9 billion investment from MUFG, which became the securities firm's largest shareholder.
The stake recently was restructured into common shares, which are easier to sell but don't carry the big dividend
that the Japanese bank got after its initial investment.

 


 



In the statement, MUFG said it will "continue to work to leverage Morgan Stanley's superior franchise strengths
in institutional securities and wealth management with our substantial deposit base and
global corporate banking business to add value to both franchises over the decades to come."
Matthew Burnell, an analyst at Wells Fargo Securities, told clients in a research note that Morgan Stanley shares
have been "overly discounted." The company's net credit exposure to derivatives was far lower than peers
at the end of the second quarter, he said, while its exposure to French banks is "quite manageable" assuming that
certain hedges were put in place.
Still, "until they release new figures, presumably with their next quarterly earnings, the market is going to remain
very fearful," said Steve Sosnick, an equity risk manager at Timber Hill/Interactive Brokers Group.
In the credit-default swaps market, insurance to protect against a possible Morgan Stanley default increased
to $518,000 per $10 million in protection.
(WallStreetJournal OCTOBER 3, 2011, 6:31 P.M. ET.)
ttp://online.wsj.com/article/BT-CO-20111003-714111.html

 

 


 



米モルガン・スタンレーへのコミットを強調−MUFGが異例の声明

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、金融大手の米モルガン・スタンレーの株価急落を受けて
異例の声明を出し、「モルガン・スタンレーとの長期的な戦略的提携を続ける」ことを改めて強調した。
   声明を出したのは日本時間4日早朝で、ニューヨーク証券取引所の3日の通常取引終了から6分後に出された。
同社はモルガン・スタンレー普通株約22%を保有している筆頭株主だ。
 3日のモルガン・スタンレー株は前週末比1.04ドル(7.7%)安の12.47ドルで通常の取引を終えた。
ただし時間外取引で12.53ドルと0.5%反発した。同社株は年初来54%下落している。
  この声明は、同社幹部が投資家心理を落ち着かせるためにあらゆる手を講じていることを物語っている。投資家たちは欧州の
債務状況が悪化した場合の同社の健全性を懸念している。同社幹部は、MUFGがこの声明を発表したことで、同社の信用や
デリバティブ(金融派生商品)へのエクスポージャー(リスク含み債権)をMUFGが懸念していないことを示すと考えている。
また、2008年の金融危機のときには存在しなかった戦略的投資家が同社の味方になっていることを鮮明にしている、とも考えている。
 MUFGは声明以上のコメントを控えた。
 関係筋によると、モルガン・スタンレー株が先週末30日に急落したことを受けて、MUFG幹部は状況改善のために
自分たちにできることはないかとモルガンに尋ねた。そこでモルガンのジェームズ・ゴーマン最高経営責任者(CEO)は週末、
三菱東京UFJ銀行の畔柳信雄会長と話し合い、MUFGがモルガンへのサポートを表明する声明を出すことで合意したという。 
 モルガンは2008年、米国政府からの支援とMUFGからの90億ドルの出資を受けて、投資家と顧客の大量流出による危機を乗り切った。
MUFGはモルガンの筆頭株主になった。同社が保有していた転換型優先株は最近、普通株に転換された。
これにより、MUFGにとって株式の売却はより容易になったが、出資当初ほど大きな配当は生まなくなった。 
 ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのアナリスト、マシュー・バーネル氏は調査リポートの中で、モルガン株が
「割安になりすぎている」と指摘した。同氏は2011年第2四半期末時点の同社のデリバティブのネット・エクスポージャーが
同業他社よりもずっと小さいとし、フランスの銀行へのエクスポージャーもある程度のヘッジが行われていることを考慮すれば
「かなり管理可能なレベル」とした。
 ティンバー・ヒル/インタラクティブ・ブローカーズ・グループの株式リスクマネジャー、スティーブ・ソスニック氏は、
それでも「新たな数字、恐らく次の決算が発表されるまで、市場では非常に神経質な状態が続くだろう」と述べた。
(ウォール・ストリート・ジャーナル 2011年 10月 4日  11:23 JST)
ttp://jp.wsj.com/Finance-Markets/Finance/node_318664

 

 


 


Oct. 4, 2011
Mitsubishi UFJ Financial Group, Inc.
MUFG ISSUES STATEMENT REGARDING STRATEGIC ALLIANCE WITH MORGAN STANLEY
ttp://www.mufg.jp/english/pressrelease/2011/pressrelease-20111004-001.html

 

>"In response to recent market volatility MUFG wishes to reiterate that we are firmly committed to
>our long-term strategic alliance with Morgan Stanley. The special relationship we have formed
>remains core to our global business strategy. We will continue to work to leverage
>Morgan Stanley's superior franchise strengths in institutional securities and wealth management
>with our substantial deposit base and global corporate banking business
>to add value to both franchises over the decades to come."

 

 

 


【日本語意訳】
モルガン・スタンレーの株価は、回復する見込みがあると認められる。
モルガン・スタンレーの株価は取得原価まで回復しないのではないか、という主張に対する合理的な反証がある。
モルガン・スタンレーの株価の下落はあくまで一時的なものであり、第2四半期末日後おおむね1年以内に株価が
取得原価にほぼ近い水準にまで回復する見込みのあることを、我々三菱UFJフィナンシャル・グループは
合理的な根拠をもって予測できている。
この場合の合理的な根拠は、モルガン・スタンレー株式の取得時点、期末日、期末日後における株価の推移
及び市場環境の動向、最高値・最安値と購入価格との乖離状況、モルガン・スタンレーの業況等の推移等、
株価下落の内的・外的要因を総合的に勘案して検討した結果である。

 

 

 



【分かりやすい解説】
まあ簡単に言えば、これでこの9月末、モルガン・スタンレー株式を減損処理しなくてすんだわけです。
もしモルガン・スタンレー株式を減損処理していれば、株価下落に加え円高になっていることまで計算すれば、
5000億円以上の特別損失だったわけです。
この度の三菱UFJフィナンシャル・グループの何の説得力もない悲痛な叫び声が意味することは、
モルガン・スタンレー株式の減損処理を避けるための予防線を張った、
というただそれだけのことです。

 

 


 


(参考資料)

 

2008年10月13日
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ
Morgan Stanley
三菱UFJ フィナンシャル・グループによるモルガン・スタンレーへの出資実行について
−グローバル・アライアンス戦略の展開を目指して−
ttp://www.mufg.jp/data/current/pressrelease-20081013-001.pdf

(キャプチャー)



 

モルガン・スタンレー株式 9月30日の終値

(キャプチャー)


(・・・ドルベースでは帳簿価額に比べ一応50%未満の下落だが、円ベースでは・・・。)

 

 


モルガン・スタンレー株式のここ5年間の値動き

(キャプチャー)

 



 



「金融商品会計に関する実務指針」の文言について一言

 


金融商品会計に関する実務指針
ttp://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/post_576.html

 

有価証券の減損処理
市場価格又は合理的に算定された価額のある有価証券の減損処理
(21/102ページ)



赤線を引いている部分が気になりました。改めて書き出します。


>その他有価証券については、減損処理の基礎となった時価により帳簿価額を付け替えて取得原価を修正し、
>以後、当該修正後の取得原価と毎期末の時価とを比較して評価差額を算定することになる。

帳簿価額を付け替えて取得原価を修正
当該修正後の取得原価と毎期末の時価とを比較


とあります。”取得原価を修正する”、というのは考え方としてはどうなのでしょうか。
「帳簿価額を修正する」なら分かるのですが、取得原価というものは修正できないものなのではないでしょうか。
100円で取得したものはあくまで100円で取得したものでしょう。
取得時の価格、すなわち取得原価は変えようがないのではないでしょうか。
100円で取得したものが現在は49円だ、だから時価評価を行い帳簿価額を49円に減額する、ということでしょう。
この場合、取得原価が49円とはならないと思います。
取得原価はあくまで100円のはずでしょう。

 


 



この実務指針の中には他には例えば、

「帳簿価額を前期末の時価にまで減額し、当該時価を新たに取得原価とみなす」

といったことが書かれています。
あくまで、取得原価が変わる、という考え方のようです。

これも結局は言葉の定義の話になってしまうのかもしれませんが。
正式な実務指針にそう書いてるじゃないかと言われればそれまでなのですが、
帳簿価額が変わる、取得原価は変わらない、という考え方が正しいような気がします。
帳簿価額は確かに変わりますが、「いくらで買ったのか」という過去の事実は変わらないのではないでしょうか。
帳簿価額は変わるが、取得原価そのものは変わらない、という考え方が一番自然な気がしますがどうでしょうか。


日本公認会計士協会発表の正式文書にけちを付けるのもなんですが。

 

 

 



投資有価証券評価損に関する他の例

 

 


2011年10月3日
JFEホールディングス株式会社
平成24 年3月期第2四半期 投資有価証券評価損に関するお知らせ(連結)
ttp://www.jfe-holdings.co.jp/investor/zaimu/g-data/jfe/24/24-setumei111003.pdf

 

 

【コメント】
「1. 平成24 年3月期第2四半期における投資有価証券評価損」に


>※四半期における有価証券の評価方法は、洗替え方式を採用しております。


と書いてありますが、これは間違いです。
「投資有価証券評価損」は、投資有価証券の「減損処理」を行った結果です。
「減損処理」には”洗替”の概念はありません。
帳簿価額が前期首時点の価額に戻ることはありません。
期末に切り下げた価額が新しい帳簿価額です。
敢えて言いますが、「減損処理」には”切放”しかあり得ないのです。


(キャプチャー)