2011年10月2日(日)



2011年10月2日(日)日本経済新聞
ソニー銀行 他行への振り込み 毎月初回は無料
(記事)



 


2011年10月2日(日)日本経済新聞 そこが知りたい
ルミネ会長 花崎 淑夫氏
有楽町に大型店、どう挑む? 大人の装い、手ごろさ追求
(記事)

 


 


 



【コメント】
ソニー銀行の他行への振り込み手数料が無料というのは、これは現在は210円という点を見ますと、
ATMによる振り込み手数料なのでしょうね。
窓口での振り込み手数料ではないのでしょうね。
というより、ソニー銀行には一般の銀行の支店に当たるいわゆる「実店舗」がないようです↓。
全国の提携ATMのみが出入金の窓口のようです。

ソニー銀行の特長
ttp://moneykit.net/visitor/account/account01.html


なぜこんなことを書くのかというと、ATMによる出入金は1回当たり10万円までに制限されているからです。
記事に書いてあります金融商品の購入や住宅ローンの返済は1回当たり10万円を超えることがほとんどだと思いましたので。


ATMの振り込み限度額のことは置いておくとして、金融商品の購入や住宅ローンの返済は高額ですので、
振り込み手数料210円が(振り込み額に比べて割合的に)それほど大きな負担にはならないのですが、
通販などの代金を支払う場合、数千円程度の買い物ですと210円が大きな負担になります。
通販を頻繁に利用する人にとっては月一回は手数料無料というのはメリットとして大きいと思います。

銀行業は「規制産業」という見方もできます。
振り込み手数料を無料化することによって口座を開設し多くのお金を預ける預金者が増えてくれれば
ソニー銀行としては目的を果たしたことになるでしょう。
名づけて「損して得取れ作戦」。
それとも「海老で鯛を釣る作戦」の方がいいでしょうか。
もちろん、海老が「振り込み手数料を無料化」、鯛が「新規開設口座及び預金」です。

 


この事例は銀行というサービス業のマーケティング事例として興味深いと思いました。
マーケティングの教科書から銀行の事例について記述してある部分をスキャンして紹介します。

 


 


「マーケティング原理 第9版」 フィリップ・コトラー ゲイリー・アームストロング著 (ダイヤモンド社)

 

 

第T部 マーケティングとマーケティング・プロセス

 

第1章 変わりゆく世界におけるマーケティング


「顧客とのつながり」

38ページ

 

39ページ


40ページ

 

 



第U部 マーケティング機会とマーケティング戦略の展開

 

第6章 生産財市場と企業の購買行動


「インターネットでの生産財購買」

278ページ



 


第7章 競争優位のための市場細分化、ターゲティングおよびポジショニング


「競争優位のためのポジショニング」

322ページ

 

323ページ

 

324ページ

 

325ページ

 

 



第V部 マーケティング・ミックスの展開

 

第8章 製品およびサービスに関する戦略


「ブランド」

366ページ

 

367ページ

 

368ページ

 

369ページ

 

370ページ




 

「サービス企業のマーケティング戦略」

385ページ

 



 


「国際的な製品やサービス」

390ページ

 

391ページ

 

392ページ

 

393ページ

 

 

 



第12章 流通チャネルと物流戦略


「水平的マーケティング・システム」

522ページ




 

「チャネル組織の変更」

マーケティング・ハイライト 12-1 「仲介段階の排除 ―とりとめのない言葉だがメッセージは明白」

526ページ

 

527ページ

 

528ページ

 

 

 



第W部 マーケティングの管理

 

第18章 競争的戦略


「顧客価値」「顧客満足」「顧客ロイヤルティと顧客維持」「『顧客シェア』の拡大」

786ページ

 

787ページ

 

788ページ

 

789ページ

 

790ページ

 

791ページ

 

792ページ

 

793ページ

 

 

 



「顧客との長期的なリレーションシップの確立」

マーケティング・ハイライト 18-1 「利益をもたらす顧客のみ募集中」

798ページ

 

799ページ

 

800ページ

 




 


「ペンタックスリコーイメージング株式会社」が発足

 株式会社リコーは10月1日付けで、完全子会社「ペンタックスリコーイメージング株式会社」を発足させたと発表した。
一連の事業買収が予告通り完了し、新会社の社名が明らかになった。
 HOYA株式会社は、ペンタックスイメージング株式会社(会社分割で10月1日に設立)にPENTAXイメージング・システム事業を
いったん承継させ、新会社の全株式をリコーに譲渡。以上の取引が完了し、リコーは社名を変更した。
 ペンタックスリコーイメージング株式会社の社長は、リコー代表取締役 副社長執行役員の三浦善司氏。
本社所在地はペンタックスイメージング株式会社から引き続き、東京都板橋区前野町2-35-7。
 資本金は1億円。従業員数は約1,900名(子会社を含む)。事業内容はデジタルカメラ、双眼鏡、
セキュリティカメラ用レンズ等光学機器の製造販売。
 新会社の英語表記はPENTAX RICOH IMAGING COMPANY, LTD.。
 10月1日現在、ペンタックイメージング株式会社のホームページは、ttp://www.pentax.jp/になっている。
一見すると9月30日までのHOYAのPENTAXイメージング事業ホームページと同じであり、従来から変化がみられないように見える。
ただしよく見ると、本日からは「RICOHデジタルカメラ」ページへのリンクが設けられているのがわかる。
 また、「ペンタックスについて」によると、ペンタックスリコーイメージング株式会社には、
イメージング・システム事業部とセキュリティ統括部が設けられた。前者はデジタルカメラ、天体望遠鏡、
双眼鏡スポッティングスコープ、フィルムカメラといった、コンシューマー製品を中心に取り扱う。
一方後者は、セキュリティ用レンズ、マシンビジョン用レンズの開発を行なうという。
 なお、HOYA株式会社で存続するデジタルカメラ用レンズモジュールとライフケア事業は、
「ペンタックスリコーイメージング株式会社以外で取り扱いのPENTAXブランド事業」として紹介されている。
(デジカメWatch 2011/10/1 17:09)
ttp://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/20111001_481082.html


 



 


2011年10月1日

お客様各位

ペンタックスリコーイメージング株式会社

ペンタックスリコーイメージング株式会社設立のお知らせ

ペンタックスのイメージングシステム事業は、2011年10月1日より、ペンタックスリコーイメージング株式会社として業務を開始いたしました。
ペンタックスリコーイメージングは、レンズを含むカメラ事業の開発設計、生産、知的財産、国内外の販売チャネルを有しております。
今後は歴史あるPENTAXブランドのデジタルカメラ事業において、独自のリーダーシップポジションの確立を目指して参りますので、
より一層のご愛顧、お引き立てを賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
ttp://www.pentax.jp/japan/news/announce/20111001.html

 

 


 



2011年10月1日
株式会社リコー
ペンタックスリコーイメージング株式会社を発足
ttp://www.ricoh.co.jp/release/2011/pdf/1001.pdf


>株式会社リコー(社長執行役員:近藤史朗、以下「リコー」)は、10月1日付けで、
>ペンタックスリコーイメージング株式会社を完全子会社として発足させました。
>これに先立ち、HOYA株式会社(代表執行役:鈴木洋、以下「HOYA」)は、PENTAXイメージング・システム事業を、
>HOYAの新設子会社であるペンタックスイメージング株式会社に、吸収分割および事業譲渡によって承継しました。
>リコーは、本日同社の発行済株式100%を取得し、本件取引を完了。同時に、社名変更を行いました。

 

 

 



【コメント】
HOYA株式会社と株式会社リコーで同一の「ペンタックス」ブランドを共用します。
上で紹介しました「マーケティング原理 第9版」の366ページにあります
「共同ブランド(Co-branding)」の実例と言えるでしょう。
教科書によりますと、共同ブランドとは「異なる2企業の定評あるブランド名を同一製品に使用すること」とあります。
教科書には”同一製品に使用”、と書かれていますので、教科書の定義そのものとはやや異なるように感じるかもしれませんが、
基本となる考え方は、定評のあるブランド名を2社で共用することにあります。
まさに、HOYA株式会社と株式会社リコーで、「ペンタックス」という定評のあるブランド名を
デジカメその他の製品群において使用するわけです。
これも「共同ブランド」と言ってよいでしょう。

 


余計なことかもしれませんが、一応一言だけ。
多くのことを考えますと、「1ブランド名は1社のみで使用すること」が基本ではあると思います。
2社で1ブランド名を共用するとデメリットも実はたくさんあります。
自社の努力でブランド名が向上した場合は、他方を利する結果にもなりますし(他方は自社の努力にただ乗りできてしまう)、
他方が原因でブランド名の評判が悪くなりますと、自社の製品まで消費者から悪く思われてしまいます。
努力と結果の関係を明確にするためにも、そして、責任の所在を明確にするためにも、
「1ブランド名は1社のみで使用すること」が第一に考えるべきことだと思います
(HOYAやリコーの文句では決してありませんが)。

 

 

 



このたび新しく設立しました「ペンタックスリコーイメージング株式会社」では、
デジタルカメラ、天体望遠鏡、双眼鏡スポッティングスコープ、フィルムカメラ、各種レンズ類といった、
一般消費者向け製品を中心に取り扱うようです。
今後、一般消費者にとって「ペンタックス」と聞いて一番馴染みがあるデジカメ製品等を製造しているのは
「ペンタックスリコーイメージング株式会社」になります。

と同時に、今でも、「ペンタックス株式会社」という会社は別にあるのです。
別にあるというより、それが従来から存在する「ペンタックス株式会社」そのものなのですが。
今でも「ペンタックス株式会社」はHOYAの子会社です。
「ペンタックス株式会社」ではライフケア事業を手がけています。
ライフケア事業では直接的には一般消費者に対する製造販売は行っていないのでしょう。
ここでも「ペンタックス」ブランドは使用していますが、一般消費者に対する知名度を考慮して、
従来からのURL「ttp://www.pentax.jp」は「ペンタックスリコーイメージング株式会社」の方が継承しています。
今やドメイン名もどの企業が保有すべきかが問われている時代ですね。
従来からのドメイン名「ttp://www.pentax.jp」は「ペンタックス株式会社」ではなく「ペンタックスリコーイメージング株式会社」が
保有・使用すべき、という判断は間違いなく正しいと思います。


「ペンタックス」は、従来は「ペンタックス株式会社」のブランド名でした。
次に、HOYAのブランド名になりました(法人としては別ですが。HOYAグループのブランド名の1つ、という意味です)。
そして今、「ペンタックスリコーイメージング株式会社」のブランド名になりました。
やはり「ペンタックス」ブランドは強いということなのでしょう。

プレスリリースや報道によりますと、HOYAにおいても「ペンタックス」ブランドは今まで通り使用するとのことですが、
ひょっとすると、もうHOYAでは「ペンタックス」というブランド名は使用しないのではないだろうか、と私は思っています。
HOYAで手がけていますライフケア事業で「ペンタックス」ブランドを使用していますが、ここでの製品に付いていますブランド名は
何か別の新ブランド名に変わるのではないかと思っています。HOYAの子会社の「ペンタックス株式会社」も社名が変更になると思います。
HOYAから、「ペンタックス株式会社」の社名も「ペンタックス」のブランド名も消える日が来ると思います。
それくらい、一般消費者にとっては「ペンタックス」と言えばデジカメなのだと思います。
(カネボウ化粧品は花王の子会社になり、「カネボウ」ブランドは花王が使用することになりました。
と同時に、従来から存在していたカネボウは社名が変更になり、「カネボウ」ブランドは使用できなくなりました。
それと同じです。これと同じことがHOYAと新ペンタックスの間で起こると思います。)

 



 


それにしても、リコーからのプレスリリースの文言は無茶苦茶ですね。


>HOYA株式会社(代表執行役:鈴木洋、以下「HOYA」)は、PENTAXイメージング・システム事業を、
>HOYAの新設子会社であるペンタックスイメージング株式会社に、吸収分割および事業譲渡によって承継しました。


ペンタックスイメージング株式会社は新設会社ですから、吸収分割ではなく「新設分割」です。
また、「新設分割」という言葉に「事業を継承させる」という意味合いが含まれますから、


PENTAXイメージング・システム事業をペンタックスイメージング株式会社に新設分割によって継承しました


という文言でいいと思います。
ここで事業譲渡という言葉を使うのは危険です。
取引内容を誤解させる恐れがあります。
事業譲渡という取引は会社分割とは別に存在します。
事業譲渡と会社分割は全く別の行為なのです。
一般的な日本語では、会社分割の際に事業を譲渡した、と表現できるかもしれません。
しかし厳密には、HOYAは新設分割を行ったのです。
事業譲渡は行っていません。
事業を譲渡したのだから事業譲渡だ、というのは間違いです。

 

その言葉は、専門用語として使っているのか、それとも、一般的な意味の言葉として使っているのか、
中身を正確に理解したいなら、言葉の定義には常に気を付けたいものです。

 

 



 



会議での発表を通じて、事実を粉飾したり、重要な問題を回避したり、しらを切って押し通そうとしたりした者はだれでも、
私だけでなく会議の全参加者の前に、やがては自己を露呈せざるを得なかった。
他人を攻撃することで点を稼ごうとした者は、上席者の前に真の姿を暴露されてしまう。

―ハロルド・ジェニーン著『プロフェッショナルマネジャー』より