2011年8月20日(土)
【コメント】
あれは2001年の夏から秋にかけてのころだったでしょうか。今からちょうど10年前になりますか。
パソコンの製造販売を手がけているある大手メーカーの幹部が、
「パーソナルコンピューターはコモディティ(commodity)だ。」
と言っていたのを覚えています。
コモディティ(commmodity)とは、一般的な商品とか日用品という意味であり、少なくとも専門性の高い製品ではない、
という意味です。ここではコモディティ(commmodity)という言葉を悪い意味で使っています。
どこにでもあるありふれた商品であり、高い専門性もないため差別化が難しく価格競争に陥りやすい、という意味で使っています。
2001年ころですと、日本ではちょうどパソコンが大きく普及している真っ最中ではなかったかと思います。
パソコンの販売台数もどのメーカーも毎年大きく伸び続けていたころだったと思います。
そんな時期にこの言葉を聞きました。
その企業は2001年の時点でパソコン事業の将来性を悲観していたのです。
このままだとパソコンは必ず価格競争になる、収益性は低くなる一方だ、
その企業はパソコン事業の将来をそのように分析していたのでしょう。
その後しばらくたって、その企業はパソコン事業を売却しました。
ちょうど今、まさにヒューレット・パッカードがやろうとしているように。
NECがパソコン事業を売却したのはこの言葉の10年も後のことです。
この企業は本当に事業の先を読む能力に長けているな、と(後になって)思いました。
2011年8月20日(土)日本経済新聞 戦略分析
NTTデータ 海外事業を再編 地域会社を核に結束
(記事)
2011年8月20日(土)日本経済新聞
上場企業の連結子会社 2年ぶりに増加 昨年度、M&A相次ぐ
(記事)
まず、上場企業の連結子会社が2009年度は減少したという点についてです。
これは連結子会社の組織再編(子会社同士の合併や売却等)を行ったからなのでしょうが、
それは日本国内の連結子会社が主であった、ということだと思います。
次に、上場企業の連結子会社が2010年度は増加した、という点についてです。
これは上場企業が企業の買収を行ったからなのでしょうが、
それは海外での買収が主であった、ということだと思います。
要するに、連結子会社が2009年度に減少した理由は日本国内が原因、
連結子会社が2010年度に増加した理由は海外が原因、ということです。
ここでNTTデータの記事を見てもらいたいのですが、買収した海外の子会社は単なる子会社という位置付けはなく、
地域統括会社の意味合いを持った会社である、ということです。
法律上そして会計上はあくまで「子会社」という扱いなのでしょうが、
経営上はその地域の事業活動を担う「海外本社」かもしれないということです。
その地域で展開を行う上では日本の本社よりもはるかに重要な役割を担っているかもしれません。
統計上は、「ただの子会社」も1つの子会社とカウントされますし、「海外本社」も1つの子会社とカウントされます。
しかし、その本質的な意味は大きく異なります。
子会社の数だけでは何も分かったことになりません。
2009年は日本国内で子会社の組織再編を行ったため連結子会社数が減少しました。
2010年は海外で海外本社に相当する企業を買収したため連結子会社数が増加しました。
日本国内では連結子会社を適切に見直し、海外ではその地域の事業活動を担う「海外本社」を買収しました。
要するに、日本の上場企業のグローバル化が進んでいるということです。