2011年8月16日(火)



2011年8月16日(火)日本経済新聞
米グーグルが買収 モトローラ携帯端末部門 9600億円 スマートフォン拡大
(記事) 

 

 


2011年8月16日(火)日本経済新聞
グーグル、特許に狙い モトローラ端末部門買収 ライバルの包囲網に対抗
モトローラ、改革に遅れ
(記事)

 

 

 


2011年8月16日(火)日本経済新聞 戦略分析
森精機 円高リスクを分散 提携軸に世界4極体制
(記事)

 

 

 


グーグル、モトローラ・モビリティを125億ドルで買収


 モバイル・コンピューティング市場での競争力強化を目指す米グーグルは15日、
米モトローラ・モビリティ・ホールディングスの買収で合意したと発表した。買収価格は約125億ドル(約9600億円)。
   グーグルは最近、経営破綻したカナダのノーテル・ネットワークスの特許ポートフォリオ入札で敗退しており、
買収によりモトローラ・モビリティの魅力的なポートフォリオを手中に収めることができる。
グーグルは成長著しい携帯端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」が数百万台に採用されているが、
無線・通信関連の特許については手薄だ。
 モトローラ・モビリティは1月に創業82年の無線機のパイオニア、モトローラが2社に分割されて誕生したばかりだ。
モトローラは最初に携帯電話の大量生産に乗り出した企業だが、2007年から09年まで計43億ドルの赤字を計上していた。
モビリティは携帯電話やセット・トップ・ボックス(STB)事業など同社の主要部門を承継した。 
 モトローラ・モビリティの株価は15日の寄り付き前の時間外取引で一時60%高の39.24ドルをつけ、
グーグルの買収提示額である1株40ドルに迫った。提示額は12日の終値に63%上乗せした額。
一方、グーグルの株価は3.2%安の546.50ドルとなった。
 グーグルはモトローラ・モビリティを別事業とし、モトローラ・モビリティは引き続きライセンスの被許諾者として
アンドロイドを使用する。また、アンドロイドは今後もオープンプラットフォームとする。買収完了は2012年初めごろの見込みで、
すでに両社取締役会の承認を得ている。この買収は、米司法省の独禁法上の承認が必要となる。

 

 

 



 同社のラリー・ページ最高経営責任者(CEO)はインタビューで、同社が今後もモトローラ以外の端末メーカーにもアンドロイドの
採用を求めていくと語った。「アンドロイドの強みはその多様性だ。われわれは39社にアンドロイドを提供している」と述べた。
 この買収は、ハイテク産業の老舗から革新的な技術スタンダードを設定していく力のある若い企業への世代交代を象徴している。
 スマートフォンと家庭用セットトップボックス(STB)を販売するモトローラ・モビリティは、モトローラが今年初め、
同社と法人向け事業・ネットワーク事業を進めるモトローラ・ソリューションズ(NYSE:MSI)に分割されたことによって誕生した。
分割によってモトローラ・モビリティは機動力を増し、中核事業に集中できるように なったものの、スマートフォン市場では
米アップル(Nasdaq:AAPL)の「iPhone(アイフォーン)」からの継続的脅威など、激しい競争に直面 している。
モトローラは最初に携帯電話の大量生産に乗り 出したが、2007年から09年まで計43億ドルの赤字を計上していた。
 モトローラ・モビリティは売上高の大半をスマートフォン(多機能携帯電話)に依存している。大口顧客である
ドイツテレコム(DTE.XE)傘下のTモバイルUSAとの取引が失われた場合に備え、顧客基盤多様化に努めてきた。
 同社のサンジェイ・ジャCEOは、グーグルのアンドロイドと、今年までアイフォーンを独占してきた通信会社AT&Tへの
対抗策を模索するベライゾン・ワイヤレスと組むことで携帯電話事業を活性化させた。
  ジャCEOはインタビューで、グーグル傘下で「過去3年間のやり方を継続する」と述べた。またグーグルとモトローラは
「異なる目標を持ち、異なる基準によって評価される企業として共存する」と述べた。ウォール・ストリート・ジャーナルと
コンサルタント会社ヘイズ・グループの試算によるとジャCEOは今後2年以内 に同社を去る場合、6200万ドル以上を手にする。

 

 

 



 事情筋によると、グーグルがモトローラ・モビリティの買収に乗り出したのは、特許を手に入れたかったことに加え、
アップルのように独自のソフトとハードを備えた端末を開発したかったためとみられている。
 グーグルはインターネット広告では巨人だ。これはパソコン上での同社の検索エンジンの利用の拡大を背景にしていた。
同社は消費者が移動中に電話などの携帯端末で使うレストランや買い物関連のサービスでは当初、アップルなどのライバルに
後れを取った。だが携帯端末でのインターネットの利用が増えるなかで、こうした分野の強化を進めた。
 この買収によって、同社はアンドロイドの1バージョンである「ジンジャーブレッド」を使った決済など
NFC(近距離無線通信)の導入などを積極化することが可能になる。
また電話、タブレット、テレビなどさまざまな端末をユーザーが一体的に使いやすくすることもできる。
 モトローラの特許を取得することによって、グーグルは、自社が訴えられたときに反訴を提起すること以外に、
アンドロイドをめぐりアップルから訴えられたHTCなどのパートナー企業を支援することができる。またモトローラは昨秋、
特許侵害でアップルを訴え、これに対しアップルは反訴を提起している。
 モトローラ・モビリティが7月に発表した4-6月期決算は、タブレット端末の好調を受けて28%の増収となったものの、
7-9月期に関しては、より高速の第4世代(4G)携帯端末の発売遅れを理由に弱気の見通しを示した。一方、グーグルの4-6月期は
売上高が過去最高を記録したのに伴い、36%増益となった。中核の検索エンジン事業が堅調だったほか、新規事業にも弾みがついた。
(ウォール・ストリート・ジャーナル 2011年 8月 16日  13:20 JST)
ttp://jp.wsj.com/IT/node_290078

 




 


モトローラ・モビリティ買収、グーグルが説明:「Androidエコシステム保護でよい位置につく」


 検索大手Googleは米国時間8月15日、Motorola Mobilityを125億ドルで買収することで合意したと発表した。
これによりGoogleは、貴重な知的財産を取得し、携帯端末事業に直接参入することになる。
 今回の買収は、「Android」の世界に安定性と不安をもたらす。Motorola Mobilityの買収により、Googleは、
ますます増大する法的な対立勢力から自社と自社のパートナーを防衛するための豊富な特許を手に入れる。
この数カ月間で、AppleやOracleといった主要な技術企業が、競合企業の牽制とライセンス料の徴収を目的として、
Googleまたはそのパートナー企業らを提訴した。
 Googleの最高法務責任者(CLO)を務めるDavid Drummond氏は15日の電話会議で、「われわれのすべてのパートナーのために
Androidのエコシステムを保護することにおいて、非常によい位置につくことになると信じている」と述べた。
同氏は、同社における今後の具体的な法的戦略を明らかにすることは避けた。
 同時に今回の買収により、Googleは自社のパートナーの多くと競合するという気まずい立場に置かれることにもなる。
Googleは初めて、これまでは距離を置いて育んできたモバイル事業に直接携わることになる。Googleは、膨大な数の
スマートフォンおよびタブレットの動作に必須のAndroid OSを開発しているが、HTCやサムスンなどの携帯端末パートナーとともに
数種類の試作モデルを開発した以外は、設計および製造事業そのものにはまだ参入していない。

 

 

 



 Googleの最高経営責任者(CEO)を務めるLarry Page氏は電話会議で、Motorolaは独立した部門として運営すると述べ、
Androidのオープン性を維持するというGoogleの意志を再度表明した。同氏は、Motorolaが、サムスン、HTC、LG Electronicsといった
他のAndroidベンダーに対してどのように競争するのかという具体的な勢力関係については語らなかった。
 Googleはそれよりも、この買収によって同社が得る防衛力に多大な関心を寄せている。
 MotorolaのCEOであるSanjay Jha氏は15日の電話会議で、同社に1万7000件の特許および7500件の出願中特許が存在することを
強調した。それらには、電話事業の中核的な要素ではないが、音声品質など機能の改善に利用することのできる、
多くの非本質的な特許が含まれている。Androidパートナーらにこれらの特許の利用が許されることになるのか、それとも、
Motorolaの特許ポートフォリオは単なる法的な防衛手段となるのかは明らかではない。
 Drummond氏は、今回の買収には規制当局の承認が必要になると思うと述べ、承認されると確信していると付け加えた。
 「Androidは明らかに、競争、革新、ユーザーの選択肢をもたらしている」と同氏は述べた。
「そのエコシステムの保護が競争を促進することは、定義上ほぼ当然である」(Drummond氏)
 その一方でGoogleは、今回の買収後もAndroidの世界における中立的な立場を維持するつもりである。
 Googleのモバイル担当シニアバイスプレジデントを務めるAndy Rubin氏は15日の声明で、
「Androidに対するわれわれのビジョンは変わらず、Googleは今後も、オープンプラットフォームとしてのAndroidと、
活気あふれるオープンソースコミュニティを強く推進していく」と述べた。「革新的なAndroid搭載端末を開発および提供するために、
われわれのすべての貴重なAndroidパートナーとともに協力し続けるつもりである」(Rubin氏)
 Rubin氏は電話会議で、他の主要なAndroidベンダーも今回の買収に対する「熱烈な支持」を表明していると付け加えた。
 Googleは、他のベンダーからのコメントを集めたウェブページを用意した。
 サムスンでモバイル部門を率いるJ.K. Shin氏は、「15日の発表を歓迎する。これは、Android、そのパートナー、
そしてエコシステムを防御しようとするGoogleの強い意志を示すものである」と同ページで述べている。
(CNET Japan 2011/08/16 07:48)
ttp://japan.cnet.com/news/business/35006185/

 

 

 



【コメント】
手放しで喜べる買収ではないでしょうね。
一歩譲ってマイクロソフトがモトローラを買うというのならまだ理解できますが、グーグルはないでしょう。
なぜなら、マイクロソフトはスマートフォンを現段階で製造していますが、グーグルは現段階では製造していないからです。
グーグルが開発しているのはOS部分のみですから、そう割り切ってOSに集中しているのかなと思っていました。
我々はハードウェアは得意ではない、そうグーグルは考えているとばかり思っていました。
まあ、ソフトウェア開発企業であるマイクロソフトがスマートフォンを製造してもあまり売れていないのを見て、
スマートフォン事業に参入するのなら0からの自社開発ではなく、他社を買収するしか道はないと思って
モトローラの買収に踏み切ったのかもしれませんが。
ただ、それを言うなら、そもそもグーグルがスマートフォン事業に参入する必要があるのか、という話になるのですが。
普段街で人々が持ち歩いているのを目にするのは携帯電話というハードウェアの形ですから、
内部で動いているソフトウェアよりもハードウェアを製造している方が目立ってかっこいいと思ってしまったのでしょう。
あまり目立たないウェブサービス開発やソフトウェア開発でなく、ハードウェアにも進出したくなったということでしょうか。
ハードウェアにはハードウェアの役割があり、ソフトウェアにはソフトウェアの役割があります。
どちらを手がけている企業が立派であるとかどちらの役割が素晴らしい役割であるということはありません。
グーグルにはウェブ関連サービス開発や最大でもソフトウェア開発までに留めて欲しかったなと思いました。

 

一人の男としてはおもしろい買収だと思いました。
しかし、経営コンサルタントとしてはよくない買収だと思いました。

 


 


成長するということは能力を修得するだけでなく人間として大きくなること


 「能力がなくては優れた仕事はありえず、自信もありえず、人としての成長もありえない」(『プロフェッショナルの条件』)

 ドラッカー自身、かかりつけの腕のよい歯科医に聞いたことがあるという。「あなたは、何によって憶えられたいか」。
 「ドラッカーさん、あなたが変な亡くなり方をする。すると司法解剖だ。そのとき解剖医が、
この人は一流の歯科医にかかっていたといってくれれば、私は満足だ」
 能力は十分にある。研鑽にも励んできた。自信は満々である。すでに、魅力ある人物である。
 この歯科医は、ドラッカーの唐突な問いにちょっと反発したのかもしれない。しかも、堂々たる答えである。
だから、ドラッカーはこういう。「この人と、食べていくだけの仕事しかしていない歯科医との差の何と大きなことか」。
 ドラッカーは、ペーパーワークと医師の要求に追われている看護師は、大勢の患者を見ながらこう言わなければならないという。
 「あの患者さんたちが、私たちの仕事だ。他のことは邪魔でしかない。この本来の仕事に集中するには、どうしたらよいか。
仕事のやり方に問題があるかもしれない。もっとよい看護ができるよう、仕事のやり方を変えられないか」
 これが、本当の継続学習である。自分たちの能力を自分たちで開発している。こういう看護師が大勢いる病院のことは誰も忘れない。
患者も忘れないし、医師も忘れない。不思議なことに、患者の回復も早い。もちろん自信もあれば、全員が輝いてもいる。
こうして、すべてが好循環を始める。
 ドラッカーは、自らを、成果を上げる存在にできるのは、自らだけだという。成功の鍵は責任にある。
自らに責任を持たせることにある。責任ある存在になるということは、自らの総力を発揮する決意をすることである。
 仕事が人間形成につながることを、これほどはっきり言ってくれるとは、さすがドラッカーである。

 「成長するということは、能力を修得するだけでなく、人間として大きくなることである。責任に重点を置くことによって、
より大きな自分を見るようになる。うぬぼれやプライドではない。誇りと自信である。
一度身につけてしまえば失うことのない何かである」(『プロフェッショナルの条件』)
(ダイヤモンドオンライン 2011年8月15日)
ttp://diamond.jp/articles/-/13554

 

 

 



【コメント】
これは少し精神論やきれい事っぽくなっていまいますが。


「あなたは、何によって憶えられたいか」。


結局、人間が生きている意味とはこういうことなのかな、と。
もちろん人里離れたところでひっそりと生きてそして死んでいくのも、本人がそう生きたいと思っているのならそれもいいと思います。
ただ、人は、田舎でもいいから、派手に取り上げられたり有名な賞を受賞しなくてもいいから、そして理解できる人は少しでもいいから、
とにかくこの世に何らかの業績(自分が成し遂げた何か)を残したいと思うのではないでしょうか。
分からない人から見るとただの自己満足に見えるかもしれませんが、何かしたい、という思いが人の中にはあるような気がします。
ライフワークというとかっこつけすぎですが、何か継続してやっていける何かを人は求めているのではないでしょうか。
そしてそれが”何によって憶えられたいか”につながるのではないでしょうか。
人は自分が生きている意味が欲しいのでしょう。それはつまり、人は「生きがい」を求めいているということでしょう。
そして、自分がずっと継続してやっていく何か、それが「生きがい」ということではないでしょうか。


ドラッカー氏の歯科医はこの質問にこう答えました。

>そのとき解剖医が、この人は一流の歯科医にかかっていたといってくれれば、私は満足だ


私は論理的思考能力や経営分析力で人から憶えられたいと思っています。
私の書いた文章を読んだ人が、「この人は一流の経営コンサルタントだ」と言ってくれれば私は満足です。

 

自分が生きている意味、人間の幸せとは?
(答え:生きがい)