2011年8月15日(月)
8月14日付けの日本経済新聞によれば、官民出資の投資会社産業革新機構は10月をめどに全額出資の
海外向けコンテンツ企画開発会社オール・ニッポン・エンターテイメント・ワークスを設立する。
同社は日本のマンガや小説などの映画化権を買い取り、米国の映画化会社と共同で映画開発を進めるとしている。
また、新会社には国内のコンテンツ・メディア関連企業も参加する。日本経済新聞では、パートナー企業として日活、
タカラトミー、東宝東和、TBS、フジテレビの名前を挙げている。
産業革新機構は、2009年7月に「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」により設立された
国策投資ファンド会社である。日本の新しい技術、ベンチャー企業、企業の海外展開を振興、支援する。
政府が920億円出資、民間が約100億円を出資、さらに政府保証による8000億円の資金調達枠を持つ。
最大で9000億円の出資が可能となっている。これまでに東芝と共同で海外のスマートメーター大手企業を買収したほか、
全日空が主導して設立する格安航空会社の出資、知財ファンドLSIPへの投資なども行っている。
国が関与するコンテンツファンドの必要性は、かねてより知的財産戦略本部の議論の中で言及されてきた。
今年6月に取りまとめられた知的財産推進計画2011においても、短期的にとるべき施策として、国内コンテンツを核として
海外事業展開するために資金供給するファンド立ち上げが盛り込まれている。
知的財産戦略本部の議論では、当初のコンテンツ製作における単純な投資でなく、企画に対する支援、
海外流通の確保が指摘されていた。今回の産業革新機構をの新会社には、そうした考えが反映されている。
また、先に公表された産業構造審議会情報経済分科会の中間とりまとめ「「融合新産業」の創出に向けて」でも
このファンドに言及されている。そこでは「コンテンツ海外展開ファンド(仮称)」の役割を、
投資案件のグローバル展開サポートとする。さらに投資案件のイメージとして、マンガ・小説などの海外市場向け企画開発、
権利を集約したうえで企画開発段階からグローバル流通網を持つハリウッドなどのプレイヤー共にする事業展開を挙げている。
【参考情報】
東宝株式会社
有価証券報告書(第122期)平成22年3月1日から平成23年2月28日まで
ttp://www.toho.co.jp/4less/cgi-bin/cs4view_obj.php/ir_securities/102/2302有価証券報告書110526.pdf
大株主の状況
(30/136ページ)
株式の保有銘柄
保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式のうち、当事業年度における貸借対照表計上額が資本金額の100分の1を超える銘柄
(41/136ページ)
個別財務諸表
営業原価明細書
(95/136ページ)
個別財務諸表
附属明細表 有価証券明細表 株式
(111/136ページ)
個別財務諸表
附属明細表 有価証券明細表 債券
(112/136ページ)
個別財務諸表
売掛金
(117/136ページ)
個別財務諸表
買掛金
(120/136ページ)
【コメント】
東宝は、テレビ局各社や広告代理店とは株式の持ち合いを行っています。
また、保有有価証券の中に「商船三井円貨建新株予約権付社債」があります(112/136ページ)。
ここに記載されている債券の分類がよく分からないのですが、この社債は「その他有価証券」に分類されるようです。
「売買目的有価証券」なのに「その他有価証券」なのでしょうか。よく分かりません。
社債は満期保有目的債券に分類されることが多いと思いますが、この記載ではそのあたりの分類がはっきりとしません。
それにしても東宝が商船三井の社債を保有しているとは驚きました。
東宝は子会社も含めますと非常に幅広い事業を手がけていますので、ここでは敢えて個別ベースて見てみました。
個別ベースの営業原価明細書が載っています。
これを見ていると東宝はまるで製造業のようです。
映画会社といえば映像コンテンツをはじめとするソフトウェアの会社であり、DVDや映画館といた物理的な物を制作している
わけではないのですが、映画制作もコスト管理が大切ということでしょう。
映画制作にかかった費用以上の売上高をいかに達成していくのか、
経営の基本はどの業種業態も変わらないということでしょう。
売掛金の内訳を見ますと、
東宝は、映画館やレンタルビデオ店に対し映画・ビデオ・DVD等の商品の販売を行っていることが分かります。
これは東宝が制作した映像コンテンツ類が映画館やレンタルビデオ店に並んでいることを考えれば当たり前ですね。
買掛金の内訳を見ますと、
東宝は、テレビ局や広告代理店や映像制作会社から映画やビデオ等の映像コンテンツの供給を受けていることが分かります。
東宝が販売している映像コンテンツ類は東宝自身が制作しているものばかりというわけではないということでしょう。
竹中工務店に対して買掛金があるのはなぜか分かりません。
竹中工務店から何を仕入れたのでしょうか。まるで想像がつきません。
これは買掛金ですから、営業上の仕入れ債務です。営業外の債務は含まれません。
建築物(例えば映画館)の施工を竹中工務店に依頼したとしても買掛金という勘定科目にはならないはずです。
東宝が竹中工務店から営業活動で使う何か映像コンテンツ等を仕入れているとはとても思えないのですが・・・。
竹中工務店は1.52%の所有割合とは言え第10位の大株主です。この辺に何かあるのでしょうか。
【オール・ニッポン・エンターテイメント・ワークスについて】
よし。初代社長には俺がなる。
俺のじっちゃんは元映画会社の社長だったからな。
まあ嘘ですけど。
参考資料
70年前のオール・ニッポン・エンターテイメント・ワークス1
社長就任の暁には、現代の山口淑子を当社にスカウトしたいと思います。