2011年7月30日(土)



グーグル、IBMの特許を買収

 インターネット検索大手の米グーグルは29日、米IBMから技術特許を買収したことを発表した。訴訟対策のため、
知的財産を蓄積することが狙いとみられる。
   グーグルの広報担当者は声明で「多くのハイテク企業同様、当社も事業に関連する特許を時に応じて買収する」と述べた。
 先にこの買収を報じたブログサイトのSEOバイ・ザ・シーによると、グーグルは7月半ば、米国特許商標庁に、
1000件を超える特許買収を登録した。
 これら特許には、「メモリおよびマイクロプロセッサの製造と設計」、サーバーやルーターを含むコンピューター・アーキテクチャー、
オンライン検索エンジンなどが含まれる。「SEO」とは検索エンジン最適化の略で、グーグルなどの検索エンジンで検索結果の
順位を上げるようにウェブサイトやコンテンツを構築することを意味する。
 グーグル広報担当者は買収価格についてはコメントを控えた。訴訟の防御策としてどの特許がグーグルにとって有益かは
まだ明らかではない。
 グーグルでは、そのサービスの多くが特許侵害訴訟の対象となっている。特に携帯端末向けの
基本ソフト(OS)「アンドロイド」は世界中で人気が高まっており、標的にされやすくなっている。
ただ、現在係争中の訴訟がグーグルの新技術が生み出す将来の収益を損なうかどうかは不明だ。
 グーグルの法律顧問を務めるケント・ウォーカー氏は最近、特許侵害訴訟は技術革新の障害となっており、
「競合製品やライバル会社の新技術の成功を阻止しようとする」企業によって悪用されていると主張していた。
ウォーカー氏は、グーグルはまだ歴史が浅く、ライバル会社に比べて特許数が少ないため、唯一の防衛手段は自社のために
多くの特許を買収することだと述べていた。
 グーグルは手元資金が400億ドル(約3兆800億円)近くあり、買収資金は豊富だ。しかし今月、グーグルは
ノーテルネットワークスの特許買収をめぐり、他社連合に敗れている。アップルやマイクロソフトなど、アンドロイドと競合する
IT企業連合は、ノーテルの所有する約6000件の特許を、グーグルが当初提示していた9億ドルの5倍に相当する
45億ドルで買収することで合意した。
 関係筋によると、グーグルは米インターデジタルの買収交渉を進めている。インターデジタルは数千件の特許やライセンスを
所有するが製品は製造していない。買収コストは数十億ドルとみられる。
(ウォール・ストリート・ジャーナル 2011年 7月 30日  8:33 JST)
ttp://jp.wsj.com/IT/node_281953

 

 

 


 



【コメント】
グーグルが米IBMから技術特許を買収した、とのことです。
記事には”買収”という言葉が使われていますが、企業の株式を購入する場合などを買収と呼ぶことが多いような気がします。
特許権を他社から買う場合は、「特許権を取得する」とか「特許権を購入する」といった言い方になるかと思います。
記事の原文は読んでいませんが、ここで”特許を買う”と言っている時の”買う”の英語は「acquire」という単語だと思います。
acquireという単語が使われていたとすると、確かに”買収”と誤訳してもおかしくないと思います。
しかし、特許権を買う場合は正しくは「取得する」や「購入する」だと思います。
(手元にある会計処理に関する本を読みますと、”特許を買収する”という表現が確かに使われていますが、
これはやはり間違いではないかと思います。)



 

>これら特許には、「メモリおよびマイクロプロセッサの製造と設計」、サーバーやルーターを含む
>コンピューター・アーキテクチャー、オンライン検索エンジンなどが含まれる。


グーグルは特許などはあまり得意ではないような気がします。
グーグルは検索アルゴリズムでは勝負していますが、一般的な意味での科学技術で勝負している企業ではありません。
グーグルの技術力は低いとはもちろん言いませんが、あくまで検索アルゴリズムが優れているのです。
何か今までにない新しい技術を開発している企業ではないのです
(エンドユーザー向けの新しいウェブサービスは次々に提供していますが、それは特許とは関係ありません。)。
グーグルが特許を他社から購入したと聞いても、何かよく分からないな、という印象です。
訴訟の防御策のため、と記事には書かれていますが、グーグルが他社の特許権を侵害しているということはないかと思いますが。
もしそのようなことがあれば、特許権を購入するというより、相手にロイヤルティを支払って使用許諾を得るべきでしょう。
グーグルが米IBMからどんな特許を買ったのかは知りませんが、
「メモリおよびマイクロプロセッサの製造と設計」に関する特許権であるとか、
サーバーやルーターを含むコンピューター・アーキテクチャーに関する特許権を購入したと聞いても、
そんなことは考えづらいという思いがあります。そのような特許権など必要ないでしょう。本当かな?という気がします。
検索アルゴリズム関連技術がどれほど特許権になるのかは私には分かりませんが。
意外に思うかもしれませんが、グーグルは特許権とはあまり縁がない企業です。