2011年6月23日(木)
競争力とリスク対応 両立
緊急時の調達先確保 特注部材の仕様統合カギ
ポイント
○部品のカスタマイズ化が供給網混乱の背景
○日本に残る生産を海外に移せば競争力失う
○仮想的な「調達の二重化」へ平時から準備を
(記事)
確かに意味は分かるのですが、部品仕様の共通化は実際には非常に難しいでしょう。
難しいというより不可能と言ってもいいと思います。
物理的には可能ですがビジネス的に無理、と言えばいいでしょうか。
日産とルノーという資本面でも強く結びついた同一グループ内企業同士でも部品の共通化はなかなかできないでいます。
同一グループでもない企業同士となりますと、はっきり言って部品共通化は不可能でしょう。
実際の現場では製品の設計が先にできあがります。
それから部品の仕様に落とし込んでいくのです。
部品の仕様が先にあるのではないのです。
「このような設計にしたいからこのような仕様の部品がいる」という流れで部品の仕様も決まってきます。
ですから先に部品の仕様を決めてしまうと当然製品の設計にも縛りが出てきます。
製品の設計の幅や自由度が著しく狭くなります。
それはそれこそ競争力を殺ぐ結果になります。
どの企業も同じ製品を製造する、そんなことは誰も望んでいないでしょう。
率直に申し上げて、部品使用の共通化は不可能です。
部品の外部依存 修正を
加工以外のムダ省け トヨタ方式の原点に回帰
ポイント
○製造業で付加価値を生むのは加工時間だけ
○部品の内製化や垂直統合を再検討する必要
○「後工程引き取り」は不良在庫避ける仕組み
(記事)
【コメント】
製造業で付加価値を生むのは加工時間だけ、というのは随分乱暴な議論だなという気がします。
停滞時間(待ち時間)がムダなのは分かりますが、あのアップルを見ても分かるように、
「設計」も非常に大きな付加価値を生み出します。
また「研究開発」も縁の下の力持ち的存在であり、設計や生産を影で支えていると思います。
同様に出荷前の検査も、不良品や返品率を減らして顧客満足度を上げて更なる受注につなげていると考えれば、
これもまた隠れた大きな付加価値と呼べるでしょう。
また、トヨタが例に出されていますが、部品の内製化について書かれています。
物流の時間やコストを削減するために垂直統合を行え、とのことです。
例えば自動車メーカーで部品を内製化するとしますと、記事にありますように、確かに、
部品納入が完成車組み立てラインと同期化でき、部品在庫は必要なくなり、部品輸送コストも部品在庫切れの不安もなくなります。
確かにそれはそうなのですが、今度は部品生産のための原材料や素材の問題が出てくるでしょう。
自動車部品を生産するのにも何らかの原材料や素材が必要です。
それらを仕入れて部品生産ラインに乗せ部品を生産していくのです。
原材料や素材の仕入れには物流の時間やコストが当然かかります。
原材料・素材在庫切れの不安がありますから、当然一定量の原材料・素材在庫を保有する必要があります。
そしてそのための在庫管理費用がかかります。
貸借対照表でいえば、棚卸資産を削減したいがために部品を内製化せよ言っているのでしょうが、
もし部品を内製化すれば今度は原材料や素材の棚卸資産が必然的に貸借対照表に載ってくることになります。
棚卸資産の内訳が「部品」から「原材料」や「素材」に変わるだけなのです。
そして変わった後の棚卸資産が変わる前の棚卸資産よりも小さいとも限りません。
要するに、部品を内製化しようが外部から調達しようが同じことなのです。
内製化や垂直統合にあくまでこだわるというのなら、最後には、
工場敷地内に鉄鋼石の鉱山や製鉄所や油田や製油施設まで保有しなければならなくなるでしょう。
自動車メーカーが自動車部品を外注しているのにはそれなりに理由があるということです。
(鉄鋼石の鉱山や製鉄所や油田や製油施設まで保有する場合は棚卸資産だけではなく有形固定資産の額も莫大になるでしょう。
そちらの方がはるかに非効率です。)
中小企業、交流で相互支援
「遠くの同業者」が協力 災害時対応へ信頼関係を
ポイント
○被災企業からの要請に応え機材貸し出しも
○若手経営者の交流拡大が相互支援の背景に
○中小企業の供給責任と地域依存が明らかに
(記事)
【コメント】
正直スキャンして紹介したくもないレベルですが、上中下ときましたから一応紹介しておきます。
特にコメントはありません。
「信頼」や「つながり」など問わなくて構いません。
倫理や誠実などという言葉は社会では通用しません。
ドライな言い方かもしれませんが、規則やルールや契約といったことに重点を置いて日々経営を行っていくべきです。