2011年6月11日(土)
メビオファーム株式会社 「特定証券情報」
ttp://www.tokyo-aim.com/japanese/wp-content/uploads/2011/06/110610_ssi1.pdf
【コメント】
昨日紹介しました東京証券取引所のプロ向け市場に関する記事について
メビオファーム株式会社が提出した「特定証券情報」をキャプチャーしながら少しコメントします。
まあプロ向けとはどんな意味なのだろうかとは思いますが。
既存の証券取引所にもプロはいるわけでして、別個にプロ向け市場を開設しましたと言われても、
プロがそちらに移動するわけでもなく、市場の上場企業も株式売買者も少ないままだと思います。
個人的には証券取引所にプロ向けも素人向けもないと思いますが。
主な経営指標等の推移
(8/106ページ)
メビオファーム株式会社が提出した「特定証券情報」を1ページ目からざっと読んでいったのですが、
まずこの財務指標の推移が目に止まりました。
平成23年3月期に当期純損失を計上していますが、資本の部は増加しています。
これは平成23年3月期に増資を行ったということです。
配当金の支払いなどの現金の社外流出はなかったので、大雑把に言うと、
200,980-153,086-(-262,254)=310,148千円
増資を行ったと分かります。
この時点で増資を行ったことは明らかですが、他の箇所にも増資を行った旨記述してあります。
キャッシュフローの状況
(20/103ページ)
財政状態の分析
(31/106ページ)
発行済株式総数、資本金等の推移
(47/106ページ)
増資を行ったことは8ページ目で分かりましたが、問題は、増資を引き受けたのは誰かということです。
47ページまで読み進めて初めて分かりました。
第三者割当増資の引受先は中国企業でした。
損益計算書
(62/106ページ)
メビオファーム株式会社の業績の推移は8ページ目にありましたが、はっきり言ってしまうと大赤字続きです。
創薬会社はどうしても研究開発費が先行するのは分かりますが、今後黒字化する見込みは本当にあるのでしょうか。
研究開発費その他の費用に比べると、売上高は毎年ほとんどゼロと言っていいわけですが・・・。
前期中に増資を行っていなければ、間違いなく前期中に資金はショートしていました。
下手すると前期中に倒産してしまい、メビオファーム株式会社は現在存在していないかもしれなかったわけです。
「特定証券情報」には上場後は12ヶ月間は運転資金に困ることはない、
と書かれていますが、本当なのでしょうか。
また、損益計算書を読みますと、営業外収益の欄に「補助金収入」とあります。
ベンチャー製薬企業に補助金収入があること自体はそれほど大きな問題だとは思いませんが、
営業外収益ということは今後も毎年毎年経常的に補助金を受け取っていくということです。
今後も経常的に補助金を受け取っていくということと上場することとは相容れない気もします。
これはあくまで私個人の意見ですが、上場後は補助金は受け取らない、また、
補助金収入は営業外収益ではなく「特別利益」に計上することが筋ではないかという思いがあります。
なぜなら、補助金の元となっている税金を負担しているのは国民全体であるのに対し、
補助金を受け取ることによる恩恵は企業や株主のみが受け取ることになるからです。
取得者の概況
(101/106ページ)
第三者割当増資を引き受けた中国企業は「医薬品会社」のようです。
ファンドではないようです。
上場日のすぐ前に第三者割当増資を引き受けた場合は上場後も一定期間継続保有の義務があるようです。
一般的に言うと保有株式を上場後一定期間は売却できないロックアップ条項という名称だと思います。
平成23年3月期中に第三者割当増資を引き受けた中国企業は、上場日にはメビオファーム株式を売却できないようです。
ファンドではありませんから、仮に売却できるとしても売却しないかもしれませんが。
一応株式を売却する計画だとして、売却できるのは第三者割当増資を引き受けた平成22年8月11日から1年が経過した
平成23年8月11日だと思われます。
(私の日本語力に問題があるのかもしれませんが、
”割当又は交付を受けた日から上場日以後6か月を経過する日”
の意味がよく分かりません)
日本語の読解力にも自信がなくなってきましたので今日はこの辺で終わります。