2011年5月23日(月)
みずほフィナンシャルグループは2012年度末をメドに、傘下のみずほ銀行、みずほコーポレート銀行、みずほ信託銀行の業務を
共通で担う基盤システムを構築する。15年度末までに預金、為替、融資、外為、信託のシステムも1つに統合する予定だ。
大規模なシステム障害の再発を防ぐ狙いがある。みずほは経営責任を明確にするため、6月分から役員報酬を10〜50%削減。
最長6カ月にわたって減額する。
みずほは統合前の旧第一勧業銀行、旧富士銀行、旧日本興業銀行のシステムが混在しており、これがシステム障害が長引いた
一因とされる。このため旧第一勧銀分を引き継いだみずほ銀、旧興銀分を使うみずほコーポ銀に加え、みずほ信託銀行についても
現在のシステムを廃棄。12年度末をめどに共通の基盤となる「土台」を作り上げる。
さらに預金など5つの業務の処理が1つのシステムで動くように体制を見直す。インターネットや携帯電話を使った金融取引を
一元化できるかも調べ、システムの完全統合を検討する。緊急時のシステム管理体制なども見直す。
大規模なシステム障害に絡んだ処分ではみずほ銀行の西堀利頭取が引責辞任するほか、システム担当役員も退任。
持ち株会社、みずほ銀、コーポ銀の3社合計で90人を超える役員は担当業務や責任に応じて、報酬を6月分から減額する。
(日本経済新聞 2011/5/23
22:32)
ttp://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819591E0E1E2E39F8DE0E1E2E7E0E2E3E39797E3E2E2E2
2行合併「2〜3年後メド」、CEOに佐藤氏 みずほ正式発表
みずほフィナンシャルグループは23日、傘下のみずほ銀行とみずほコーポレート銀行を2013年にも事実上合併すると
正式に発表した。同時に、持ち株会社の社長に佐藤康博コーポ銀頭取が就いてグループ最高経営責任者(CEO)を
務める人事も決めた。2000年のみずほ発足以来続いた旧3行のバランスを重視した人事と組織を抜本的に見直し、
収益強化を目指すが、遅すぎた出直しとの指摘もある。
記者会見した持ち株会社の塚本隆史社長は、みずほ銀・コーポ銀の合併について「今後2〜3年がめど」と述べた。
再編に先駆けて今年度から持ち株会社、みずほ銀とコーポ銀にそれぞれある人事部門を持ち株会社に一元化するほか、
情報システムも13年春までに刷新して統合する。みずほ信託銀行も企業再編に加わる可能性があるという。
傘下2行の再編方法は「合併等の統合」としており、今後詰めるが、個人・中小企業向けのみずほ銀、
大企業向けのみずほコーポ銀に分けた2バンク制をやめ、1バンク制に移行する。
首脳人事は6月に体制を刷新する。持ち株会社の社長をグループCEOと位置づけ、意思決定の最終権限と責任を
明確にするのが柱。6月21日付で佐藤コーポ銀頭取が現職と兼務する形で就任する。役員人事を議論する「指名委員会」の委員は
これまで旧3行出身のグループ首脳が務めてきたが、持ち株会社の社長と社外役員で構成する仕組みに変える。
システム障害の責任をとって6月20日に西堀利みずほ銀頭取が退任。後任には持ち株会社の塚本社長が就く。
塚本氏は持ち株会社の会長も兼務するが代表権は持たず、佐藤氏を側面から支える。
塚本社長は今回の改革を「創業的な出直し」と強調した。
(日本経済新聞 2011/5/23
21:46)
ttp://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819591E0E1E2E3838DE0E1E2E7E0E2E3E39C9CEAE2E2E2
[東京 23日 ロイター] みずほフィナンシャルグループ(FG)は23日、傘下のみずほ銀行とみずほコーポレート銀行、
みずほ信託銀行を統合させ、現在の3バンク体制から1バンク体制へ移行することを検討すると発表した。
まず業務インフラを一元化させ、2―3年後の実現を視野に検討する。みずほ銀が3月に起こしたシステム障害を受けて、
グループ一体運営に向けたガバナンスを強化する。同時に佐藤康博・みずほコーポ銀頭取が持ち株会社のFG社長を兼務する
トップ人事も発表した。
記者会見したFGの塚本隆史社長は1バンクへの移行について
「9月以降速やかに検討し、2─3年後に実現できればベストだ」と述べた。信託銀も合流の可能性があるとした。
塚本社長は「1バンクを念頭に置いて大きなパラダイム転換を図る。創業的出直しの覚悟だ」と強調した。
塚本社長は「しっかりと顧客を見据えた一つの有機体として機能していたかどうか。(行員の)全員が同じ方向を見て、
一体感をさらに強化していくことが、危機を乗り越えるために不可欠と判断した」と説明した。
当面は、実質的な1バンクに向けた機能強化を図る。
人事面では、持ち株会社社長を「グループCEO(最高経営責任者)」と位置付け、「1トップ体制」とするほか、
持ち株会社の担当役員がみずほ銀とみずほコーポ銀の担当役員を兼務することで一元化を図る。人事も持ち株会社に集約する。
業務面では、2012年度末までにみずほ銀、みずほコーポ銀、みずほ信託銀のバンキング業務の事務を共通化し、一元化する。
次期システムの構築にも乗り出し、12年度末までに傘下銀行の業務基盤の一元化を終えたうえで、その後、
15年度末をめどに預金や為替、融資などの業務別のシステムを構築する。その上で、勘定系、情報系を含めた
バンキング業務のシステム基盤の完全一元化を目指す。
必要なコストは従来計画に一部織り込んでおり「予算の多少の変更はあるかと思うが、大枠は吸収できる」(塚本社長)とした。
同日正式発表したグループトップ人事では、みずほ銀の西堀利頭取はシステム障害の責任を取って辞任し、
後任に塚本社長が就任する。塚本氏は持ち株会社の会長も兼務する。持ち株会社と傘下の2銀行トップを旧3行で分け合う
「3トップ体制」が初めて崩れることになった。システム障害の責任を取り、塚本社長は役員報酬を6カ月間5割カットするなど、
役員処分も発表した。
一方で、前田晃伸氏ら社長や頭取を経験した3人の特別顧問については、過去の経営トップとして責任があったと認めた。
ただ、今回のシステム障害は障害発生後の人的ミスが重なって影響が拡大したことが主因だとして、塚本社長は
「退任している特別顧問に直接的に引責辞任を結び付けるに至っていない」と述べ、特別顧問が当面は職に留まるとの見通しを示した。
特別顧問制度のあり方は、今後、見直す可能性があるとした。
みずほFGは2000年、日本興業銀行、第一勧業銀行、富士銀行が経営統合して発足した。
西堀氏は富士銀、佐藤氏は興銀、塚本氏は第一勧銀出身だった。
(ロイター 2011年
05月 23日 19:39
JST)
ttp://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-21243420110523
【コメント】
みずほフィナンシャルグループがみずほ銀行とみずほコーポレート銀行の合併を正式発表したようです。
前回の記事とは異なり、みずほ信託銀行も一緒に合併すること検討しているようです。
どうなのでしょうか、みずほ銀行とみずほコーポレート銀行の合併は非常に効果が大きいのは間違いないのですが、
みずほ信託銀行については合併の効果はみずほ銀行とみずほコーポレート銀行の合併に比べると若干小さいかもしれません。
その理由は、みずほ銀行とみずほコーポレート銀行は顧客層が異なるのみで本質的に同じ業務を行っていますが、
みずほ信託銀行の業務は二行の業務とは業務内容が本質的に異なるからです。
信託銀行は銀行とは名が付いていますが、どちらかといえば、証券会社に業務内容が似ているのです。
みずほ信託銀行はみずほ銀行とみずほコーポレート銀行とは行っている業務が相当程度異なります。
顧客層については重なっている場合もないとは言えませんが、
少なくとも顧客が銀行と信託銀行に求めているものは異なります。
信託銀行は商業銀行というよりはっきり言えば投資銀行(証券会社)に近いのです。
今まで何回も書いてきたことですが、銀行と証券の経営統合は非常に効果が小さいのです。
銀行と銀行は非常に効果が大きいのです。
みずほ銀行とみずほコーポレート銀行の合併は非常に効果が大きいのですが、
みずほ信託銀行も合併に加えるというのは、銀行と証券会社が合併するようなものであり、
率直に申し上げれば合併の効果は小さいのではないかと思います。
ITシステムの構築についてです。
みずほ銀行とみずほコーポレート銀行のシステムを完全に一元化することは(少なくとも技術的には)比較的容易でしょうが、
みずほ信託銀行は二行とは業務内容が異なりますから、システムの一元化は困難であったり、
もしくは可能だとしても一元化してもあまり効果がないのかもしれません。
みずほ銀行やみずほコーポレート銀行のシステムとみずほ信託銀行のシステムが別であっても、
非効率なシステム運用にはならないような気がします。
>必要なコストは従来計画に一部織り込んでおり「予算の多少の変更はあるかと思うが、大枠は吸収できる」(塚本社長)とした。
とあります。
”システム構築に必要なコストは従来計画に織り込んでいるから吸収できる”、
とはどういう意味でしょうか。
単純に考えると、システム構築に必要なコストの手当ては済んでいるとか十分である、といった意味にも取れるかと思います。
借入れになるのか社債を発行するのか増資をするのかそれとも内部留保になるのかはともかく、
システム構築に必要な現金は既に手元にあるとか必要なら今すぐにでも調達できる、
とにかくシステム構築のための現金が足りないことはない、といった意味にも取れるかと思います。
しかし、前後の文脈や発言も聞いてみないと正確なところは分かりませんが、
一般的には「費用を吸収できる」といった言い方ですと、
新システム構築の結果会計上の費用が生じるが、他の業務で稼いだ利益が十分大きいので赤字になることはない、
という意味だと思います。
まして、従来からの計画に織り込んでいるといった表現もありますから、なおのことこの意味だと思います。
システム構築のための現金の手当ては済んでいる、という意味ではないでしょう。
少し意地の悪い見方をしますと、これは少し頭をひねってしまう表現ではあります。
なぜなら、新システム構築のための費用を現時点で計上することはできないからです。
記事を読みますと、「システム構築のための費用の引き当ては既に済んでいる」、のような意味に取れますが、
会計上そんなことはありえません。
システム構築のための費用という表現がそもそもあいまいであり、システム構築のために現金を支出する場合は、
「資本的支出」になります。収益的支出ではありません。
固定資産への資本的支出は、現金支出後、減価償却費にて毎期費用計上していくのです。
固定資産への支出なのに、前もって費用計上していくことは企業会計上できません。
確かに、手許現金が少ない企業ですと、システム投資のための現金を別の口座にちゃんと取っておく、
といったことをしたりすると思います。
小学校中学校高校の修学旅行などでも、毎月積立金を積み立てていたと思います。
それと同じで企業でもある目的のために別にちゃんと現金を確保しておくということは行うのですが、
自社の口座に積み立ておく場合は仕訳は行いません。
まして、積み立てた分を費用計上するなどということはありません。
口座を経理部その他で適切に管理するというだけです。
”システム構築に必要なコストは従来計画に織り込んでいるから吸収できる”、
の意味が、システム構築への現金支出後、ITシステムの減価償却費が増加するが、
その分はちゃんと今後の経営計画に織り込んで計算した結果、赤字になることはない見通しである、
という意味であれば意味は通じますが、
システム構築のための費用の引き当ては既に済んでいるとか現在十分な費用の引き当てを行っていっているため、
今後赤字になる見通しはない、といった意味だとしますと会計上大きな誤りだということになります。
(繰越利益剰余金) XXX / (ITシステム構築積立金) XXX
ITシステム構築の費用を支払った時の仕訳
(ITシステム(有形固定資産)) XXX / (現金預金) XXX
(ITシステム構築積立金) XXX / (繰越利益剰余金) XXX
ITシステム構築後、期末日の仕訳
(ITシステム減価償却費) XXX / (ITシステム) XXX
詳しくは担当の会計士にお尋ね下さい。