2011年5月15日(日)



中国アリババのアリペイ所有権移転、事前通告なし=米ヤフー

 [ニューヨーク 12日 ロイター] 米ヤフーは、同社とソフトバンクが出資する中国アリババ傘下の
電子決済サービス、アリペイの所有権移転について、事前に通告を受けていなかったことを明らかにした。
 中国のオンライン取引サービス大手アリババグループは、傘下のアリペイの所有権を
アリババからジャック・マー最高経営責任者(CEO)に移転していた。
 ヤフーによると、移転は2010年8月と2011年第1・四半期に2段階で行われ、
3月31日にヤフーとソフトバンク側に通告した。ヤフーは10日、移転の事実を
証券取引委員会(SEC)提出書類で明らかにし、11日に株価は一時9.8%下落した。
 傘下にアリババ・ドット・コムをもつアリババグループへにヤフーは出資しており、非常に価値が高いとみられている。
(ロイター 2011年 05月 13日 08:42 JST)
ttp://jp.reuters.com/article/technologyNews/idJPJAPAN-21077020110512

 

 

 


ソフトバンクが7日続落、中国アリババの株主間に不協和音 

  ソフトバンク <9984> が7日続落。米ヤフーが日本時間の今朝6時過ぎに、「Alipay」の状況に関して、
3月31日にヤフーとソフトバンクは、中国のアリババから、株主によるボードミーティングなしに、2010年8月に、
「Alipay」の所有権が移転されたことと「Alipay」が米ヤフーの2011年第1四半期の連結対象から外れた
と通知されたと発表したことが売り材料となっている。
  ゴールドマン・サック証券では「このリリースは驚き」とした上で、
「アリババグループの株主の間の不協和は、Alipayのバリュエーションがどのような水準となるかだけでなく、
Taobaoも含めたアリババグループの将来に影響を及ぼす可能性があることを懸念させる」としている。
同証券ではまた、「しばらくはソフトバンクの株価にとって、本件は重石となりそう」としてレーティング「売り」、
目標株価3700円とした。
(サーチナ 2011/05/13(金) 11:14)
ttp://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0513&f=business_0513_076.shtml

 

 

 



中国アリババ、株主の同意なしに決済事業の所有権移転−米ヤフー

 5月12日(ブルームバーグ):中国の電子商取引運営会社アリババ・グループ・ホールディングは、
オンライン決済事業アリペイについて、アリババの取締役会や株主への通告や同意を得ることなく、
他社に所有権を移転した。アリババ株主である米ヤフーが12日に主張した。
  ヤフーの発表資料によると、アリババは昨年8月にアリペイの所有権を移転。
ヤフーおよび、同じくアリババ株主であるソフトバンクは、今年3月31日までその事実を知らされなかったと説明している。
  ヤフーが11日明らかにしたところによると、アリババは馬雲(ジャック・マ)最高経営責任者(CEO)が
経営権の大半を握る企業にアリペイの所有権を移した。決済サービスにおける外資所有を規制する中国のルールに従うためという。
  オンライン決済事業の所有権譲渡は、ヤフーが約40%出資するアリババの価値を損ねるとの懸念につながり、
ヤフー株は11日に大幅安となった。中国での検閲をめぐる意見の相違で既にぎくしゃくしている両社の関係を悪化させる恐れもある。
(ブルームバーグ 2011/05/13 12:34 JST)
ttp://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a.BaVlpIjmsc

 


 



ヤフーが大幅安−アリババ決済事業再編で企業価値低下との見方

5月11日(ブルームバーグ):11日の米株式市場で、米インターネット検索サービスのヤフーの株価がほぼ1年ぶりの大幅下落となった。
中国の電子商取引運営会社アリババ・グループ・ホールディングがオンライン決済事業の所有権を譲渡したことによって、
ヤフーが保有するアリババ株が価値を失うとの懸念が広がった。
  ヤフーが10日当局に提出した届け出によると、アリババ・グループの決済事業部門アリペイは
別会社が経営権を握る形に再編され、アリババ・グループの馬雲(ジャック・マ)最高経営責任者(CEO)が
ほぼ掌握する企業となった。ヤフーは、アリペイが早期に事業免許を取得するために再編が必要だったと説明した。
ヤフーはアリババ・グループに約40%出資している。
  ヤフーはアリババ・グループへの出資を中国のネット市場に参入する足掛かりとしている。
スタイフェル・ニコラウスのアナリスト、ジョーダン・ローハン氏(ニューヨーク在勤)はリポートで、
アリペイの経営権譲渡によって、ヤフーが保有するアリババ株の価値が低下するのではないかとの見方を示した。
  ローハン氏は「アリペイは貴重な資産だ」とした上で、
各部門の総体としてヤフーの企業価値を判断している投資家はアリペイを差し引かざるを得ないと指摘した。
  ヤフーの株価は前日比1.35ドル(7.3%)安の17.20ドルで終了した。年初来騰落率はプラス3.4%。
  ヤフーの広報担当が電子メールで回答したところでは、アリペイは中国人民銀行(中央銀行)から
事業免許を獲得する必要があり、早期取得のために中国の国内企業として再編された。
(ブルームバーグ 2011/05/12 11:49 JST)
ttp://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920010&sid=aatljRPfLOck



 




中国アリババ、株主の同意なしに決済事業の所有権移転−米ヤフー


 5月13日(ブルームバーグ):中国の電子商取引運営会社アリババ・グループ・ホールディングは、
オンライン決済事業アリペイについて、アリババの取締役会と株主への通告や同意なく、
他社に所有権を移転した。アリババ株主である米ヤフーが主張している。
  ヤフーの12日の発表資料によると、アリババは昨年8月にアリペイの所有権を移転。
ヤフーおよび、同じくアリババ株主であるソフトバンクは、今年3月31日までその事実を知らされなかったと説明している。
  ヤフーが11日に当局に届け出た資料によると、アリババは馬雲(ジャック・マ)最高経営責任者(CEO)が
経営権の大半を握る企業にアリペイの所有権を移した。
決済サービスにおける外資所有を規制する中国のルールに従うためという。
  ヤフーはアリババに約4割出資することで、中国のインターネット需要拡大の恩恵を受けている。
同国ではネット関連の制約が激しく、米企業単独での事業展開は難しい。アリペイの所有権移転は、
同事業抜きではアリババの価値が低下するとの懸念を引き起こし、ヤフー株への重しとなっている。
中国での検閲をめぐる意見の相違で既にぎくしゃくしている両社の関係を悪化させる恐れもある。

 


       フィデューシャリー・デューティー

  ロサンゼルスに本拠を置くウェドブッシュ・セキュリティーズのアナリスト、ケリー・ライス氏は
「既にアクションが起こされた後にその情報について知るのは、一般的に悪い前例だ」と指摘。
「馬CEOがヤフーに知らせずに行動したのは、間違いないだろう」と語った。
同氏はヤフー株の投資判断を「アンダーパフォーム」とし、保有はしていない。
  アリババの広報担当、ジョン・スペリッチ氏は13日、同社取締役会が所有権移転を事前に知らされていなかった
とのヤフーの主張について、すぐにコメントはできないと述べた。
  ヤフーは12日の発表資料で、「全ての利害関係者にとっての経済価値を守るため、当社は引き続きアリババそして
ソフトバンクと緊密な協力を続ける」と述べた。
  デラウェア大学ジョン・L・ワインバーグ・センター・フォー・コーポレートガバナンスのディレクター、
チャールズ・エルソン氏は、取締役会や株主の承認なしの所有権移転は
「あらゆる種類のフィデューシャリー・デューティー(信任関係にある者が受益者に対して負う義務)の問題を引き起こした」
と指摘している。
(ブルームバーグ 2011/05/13 15:29 JST)
ttp://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920010&sid=azKwvTfPwTzw

 

 

 

 



【コメント】
このニュースを読んで真っ先に思い出したのは、2004年のCSKとベルシステム24の第三者割当増資に関する出来事です。
CSKはベルシステム24の親会社でした(ベルシステム24はCSKの子会社)。
そのベルシステム24がCSK以外の第三者に突然割当増資を行い、第三者の子会社になろうとした、という出来事です。
この件についてはネット上にたくさんの記事がありますので詳しくは各自で検索して読んで下さい。
子会社が親会社の意思に反する行動を取れるというのはコーポレートガバナンス上何か違うのではないか、という気はします。
ベルシステム24が突然巨額の第三者割当増資を行ったのは適法か否か、また、
この第三者割当増資に反対するCSKの主張は裁判では退けられたが、裁判所のこの判断は正しかったのか、
といった問題については私は法律は専門外ですのでコメントはありません。

 

さて米ヤフーとアリババについての記事についてです。
CSKとベルシステム24は、直接的な親会社子会社の関係だったのに親会社が知らないうちに子会社が突然第三者の子会社になる、
というコーポレートガバナンス上は非常に印象的な事例だったのですが、
米ヤフーとアリババはこの出来事に比べるとだいぶマイルドです。
アリババは米ヤフーの子会社ではありません。あくまで持分法適用会社です。会社の意思決定を支配しているわけではありません。
それに、アリババが米ヤフーが知らない間に子会社のアリペイを別の会社に売却したといっても、
売却相手はアリババのCEO所有の会社です。
アリペイはアリババと直接的な資本関係はなくなったのかもしれませんが、すくなくとも業務面では今後もアリババと
深いかかわりを持って業務を行っていくでしょう。
アリペイはアリババにとっても欠かすことのできない会社ですから、アリババにとって何かが大きく変わるということはないでしょう。
米ヤフーは筆頭大株主としてアリババの経営に参画する権利はもちろんありますし、
知らないうちに持分法適用会社が重要な子会社を他社に売却したというのは快くないことである、というのは分かりますが、
アリペイの売却は極めて形式的ですし、実質的に米ヤフーとアリババとアリペイの関係には変化はないでしょう。
CSKとベルシステム24の出来事に比べると、コーポレートガバナンス上はそれほどの大問題ということはないと思います。

 


米ヤフーの10-Q(四半期報告書)からアリババについて記載してある部分を見ておきましょう。

 

 


05-10-2011
Yahoo!
10-Q quarterly report
ttp://files.shareholder.com/downloads/YHOO/1258097694x0xS1193125-11-134295/1011006/filing.pdf

 

 

 


 

「Investments in equity interests」 8/97ページ
(持分法適用株式)


米ヤフーはアリババ・グループとヤフー・ジャパンに株式投資しています。
いずれも持分法適用となっています。
米ヤフーのアリババ・グループに対する出資比率は43%です。
米ヤフーのヤフー・ジャパンに対する出資比率は35%です。

各株式について数値が記載されていますが、これは株式に持分法を適用した結果こうなるというだけです。
一般的な意味でのアリババ・グループやヤフー・ジャパンへの株式投資額、というわけではありません。
2011年度に新たにアリババ・グループやヤフー・ジャパンに投資を追加したわけではありません。
持分法を適用して価額が増加していますが、この数値増加自体にはあまり意味はないのです。
数値の増加により、アリババ・グループとヤフー・ジャパンの経営は2011年度も好調であった、ということは分かりますが。

 

 

 


「Equity investment in Alibaba Group.」 9/97ページ
(アリババグループへの株式投資)


連結財務諸表の注記ですが。
まず上半分はでたらめです。
持分法なのですから、アリババの有形の資産、認識可能な無形の資産、のれん等は
ヤフーの連結貸借対照表には載ってきません。当該株式の価額が持分法適用により増減するだけです。

また、持分法適用なのに"goodwill"(のれん)という言葉が出てきています。
2010年度の10-Kでも同じようなことがありましたが、やはり意味が分かりません。
この四半期報告書は素人が書いているのでしょうか。

 


 

 


下半分はアリババの経営状態について書いてあります。
このたび、記事になっている電子決済サービス会社「アリペイ」についても記載されています。
アリババグループ経営陣と大株主である米ヤフーとソフトバンクはオンライン決済事業に関して
現在協議中とのことです。

 

赤で下線を引いた部分の2〜3行目に英文法の間違いがあります。so that 以下を引用しますと、

100 percent of its outstanding shares are held by a Chinese domestic company which is majority owned by
Alibaba Group's chief executive officer.

(頭の中で文法を訂正した)参謀訳
アリペイの発行済株式の100パーセントはアリババグループのCEOにより過半数が所有された中国国内企業によって保有されている。


正しくは、

100 percent of its outstanding shares are held by a Chinese domestic company whose majority is owned by
Alibaba Group's chief executive officer.

でしょうか。もしくは、

100 percent of its outstanding shares are held by a Chinese domestic company which is in majority owned by
Alibaba Group's chief executive officer.

になると思います。
訂正前だと、majority が宙に浮いてしまいます。

米ヤフーは会計だけでなく、英語も素人レベルのようです。
ma, jorke ですが。

 

 


 


これ本当に四半期報告書ですよね?
監査法人の監査は財務諸表についてのみの監査を行うわけでして、有価証券報告書等の他の記載内容については
監査を行うわけではありませんが、これでよく監査が通ったなと思います。
有価証券報告書の作成自体は会社側の責任であり、監査法人は関係ないといえば関係ないのですが。
(例えば、財務諸表を見ると減収減益なのに、有価証券報告書内の他の記載は増収増益だなどと書いてある場合、
会社側や監査法人の責任はどうなるのでしょうか。投資家はどう判断すればよいのでしょうか。
幼子に言葉では「おいでおいで」と言いながら体では殴るようなそぶりを見せると幼子は逃げていくと言います。
バーバル・コミュニケーションとノンバーバル・コミュニケーションの差異についての考察です。
財務諸表と他の記載内容との差異もこれに似ているのかなと思いました。(ちょっと違うか。)
私なら財務諸表の方を信じます。監査は適切に行われているという大前提で、ですが。)

この四半期報告書の記載内容の信頼性はどの程度なのでしょうか。
はっきり言えば、この四半期報告書の記載内容は本当に信頼できますか?と聞いているわけです。
と思って四半期報告書の一番最後にこのような署名がありました。


Certification of Chief Financial Officer Pursuant to Securities Exchange Act Rules 13a-14(a)
and 15d-14(a) as Adopted Pursuant to Section 302 of the Sarbans-Oxley Act of 2002

(96/97ページ)




CEOとCFOがそれぞれ署名しています。
簡単に言えば、この四半期報告書の記載内容に間違いはございません、という署名です。

 

 


「私はこの四半期報告書をしっかりと読みました。」とはっきりと宣言してありますが、本当に読んだのでしょうか。
CFOがこれでは若干心もとないですね。もっと会計を勉強したまえティモシー君。
"Based on my knowledge" という文言はどの程度の意味なのでしょうか。
"To the best of my knowledge" と同じような意味でしょうか。
最善を尽くしていれば免責されるという意味でしょうか。

 

 

何と言いましょうか、米ヤフーの四半期報告書を読んでいて、
本当にこの記載内容は正しいのだろうか、という疑問が沸いてきました。
本当に財務報告に内容は正しいのか否か、財務諸表の数値は正しいのか否か、ということを考えていましたら、
ある有名な本の記述を思い出しました。

数値の正確さについて記述してある部分を引用してコメントします。

 


 



「プロフェッショナルマネージャー」 ハロルド・ジェニーン著 (プレジデント社)


第五章 経営者の条件

130〜131ページ

 

 

経験から私は、”正確度に対する時間の逆比の法則”とでも呼ぶべきものを学んだ。
企業のヒエラルキーの中で、低い地位にあればあるほど、自分の行動の拠りどころとなる事実を確かめるのに
多くの時間をかけることができるにもかかわらず、なかなかそうしない。
そして逆に、地位が高まり、大きな責任を託されるようになればなるほど、事実をゆっくりチェックしている時間が
なくなるにもかかわらず、そうすることはますます重要になる。

私が職業人としてまだかけ出しのころ、計理士として会社の一般監査をしていた時には、いくらでも時間をかけて
帳簿や在庫を検査することができた。私は何日もかけてある会社の石炭仕入れを調べ、しかる後に、
いくつかの石炭入れに合計何トンの石炭が貯蔵されているかという”事実”を証明した。

しかし、コントローラーという地位につくと、私はだれかの監査の正確度に頼らざるを得なくなった。
さらに進んでITTの社長になると、”事実”をいっぱいに詰めこんだ何千、何万もの報告に頼らざるを得なくなり、
決定をくだす私の任務はきわめて困難なものになった。揺るがすことのできない事実を私がしつこく要求し、
そうした”事実”を私にもたらす人びとを反対尋問した理由はそこにある。
私には自分で石炭入れを数えている時間がなかったのだ。

 

 


>しかし、コントローラーという地位につくと、私はだれかの監査の正確度に頼らざるを得なくなった。

 

これは会社でヒラから下級管理職に昇進する際に誰もが経験することではないでしょうか。
例えば営業職ですと、今までは自分の売上は間違いなく正しい数字だったわけです。
しかし部下が「私の売上はこれだけでした」と報告してきたのを聞く立場になりますと、それは自分の売上ではないわけですから、
どうしても何かもやもや感が残るわけです。
決して部下を信用していないわけではありません。
しかし、自分の売上ではないという事実がどうしてもすっきりしないのです。


これがもっと上級の管理職になりますと、自分が達成した売上でもなければ達成した本人から聞いた売上でもない数字
を聞くことになります
上級管理職になればなるほど、「この数字は本当に正しいのだろうな?」というもやもや感が大きくなるのです。
決して部下や部下の部下を信用していないのではありません。
ただ、また聞きのまた聞きのまた聞き・・・となりますので、伝言ゲームではありませんが、
いつしか誰が意図したわけでもなく間違った数字なってやしないかとか悪意など全くないがどこかで計算が間違った数字に
なってやしないかと常に不安になるのです。
これは営業職だけではありません。どの職種だろうがどの部だろうが同じなのです。

 

 


この本で著者が言っているのは、全社ベースもしくは事業部門ベースの財務諸表の正確度についてです。
全社ベースであれ事業部門ベースであれ自分が経理部員として財務諸表を自分の手で作成している間は
疑問があれば事業部に問い合わせるなり現場まで自分の足で赴くなりして
その数字の正確度を上げることができた。自分が安心するまで数字を調べることができた。
しかし、経理部長やもっと上級の管理職につくと、自分の手で財務諸表を作成することはなくなりますし、
数字に対する疑問点があっても全てを調べる時間はありません。
また、企業の規模が大きければ大きいほど、上がってくる財務報告の数が膨大になり、
現実的には全てを把握しきれないということもでてくると思います。
その場合は各階層の管理職が部下の報告は正確であると見なすしかありません。
著者の「私はだれかの監査の正確度に頼らざるを得なくなった」とはそういう意味です。
部下は本当のことを報告しているが意図せずして正確ではない、ということがあるのです。

誰も嘘はついていない。誰がも本当のことを報告している。だけど正確ではない、これが一番不幸だと思います。
正しい判断をするには正確な情報が必要だが、その情報が正確か否かは地位が上級であればあるほど自分では確かめる時間がない、
ということです。
部下のことは信用しています。部下が嘘を報告しているとは思っていません。
しかし、勘違いや思い違いは誰にでもありますしうっかりミスもあります。
地理的に広すぎるとか事業範囲が広すぎることが原因で事実の全部をつかんではいないということもあるでしょう。
正しく報告していても、情報が正確ではないということがあるのです。
情報が正確ではないということを前提に行動を取らざるを得ないという状況も現実にはあります。
「私はだれかの監査の正確度に頼らざるを得なくなった」というのは絶妙な表現だと思います。


全く同じことが会社外部の投資家についても言えます。
投資家は自分でその企業の財務諸表を監査することはできません。
監査法人が監査した結果を信用するしかありません。
投資の際は投資家もまた財務諸表監査の正確度に頼らざるを得ないのです。

企業の上級管理職であれば、自社の数字の正確さを調べる権限は持っているでしょうが、外部の投資家にはありません。
そういう意味では、外部の投資家の方が”だれかの監査の正確度”への依存度は大きいと思います。

 


 


投資家への喚起として、米ヤフーは次のようなことも記述しています。

 

10-Q
(53/97ページ)

Our stock price has been volatile historically and may continue to be volatile regardless of our operating performance.

参謀訳
弊社株価は歴史的に振れ幅が大きく、営業成績如何に関わらず今後もずっと振れ幅は大きいままかもしれません。

 

 

ヤフー・ジャパンやアリババ・グループといった持分法適用会社の現在そして予期される未来の営業成績に反応して
米ヤフーの株価は変動します、
と書いてあります。


株価が一定度 volatile なのは致し方ありません。
しかし、財務諸表や有価証券報告書の正確度が volatile なのはあってはいけないことだと思います。

 


 


ふーっ やる気だそうよ米ヤフー。

 

今日は100%の力で書きました。
もちろんいつも本気で書いていますが。
私はいつも手を抜くことなくコメントを書いております。
70%本気出せば十分だ、残りの力は温存しておく、というやり方はしていません。

 

 

 

 


というわけで、私も100%の力を出しましたから、日本航空も早く100%減資を行ってください。
日本航空の現在のそして将来の状況を的確に見極めますと、日本航空を再生へと導く方法は100%減資しかありません。
100%減資を行わない場合は日本航空は今後何回でも倒産します。
そしてその度に借金の棒引きと国民負担です。
国民に負担を強いるのは「ワンチャンス」のみにしましょう。
再上場までの期間はスローでもいいですので、早く100%減資を行って再生への道筋を確実なものにしましょう。

 


「100%減資を行って日本航空を再生させましょう」