2011年5月7日(土)



6÷2(1+2)=?

 

 


【コメント】
何ならネット上で盛り上がっている計算式です。
中学一年で習う加減乗除の問題です。
この計算式をどう見るかで2通りに計算できそうです。


6÷2×(1+2) と考えるなら答えは「9」。


6÷{2×(1+2)} と考えるなら答えは「1」。

 

2(1+2)を一塊と見るなら、答えは「1」が正しそうです。
逆に、勝手に 中括弧{} を付けるのはおかしいと考えるなら、答えは「9」が正しそうです。

 

加減乗除の計算規則では、掛け算と割り算の計算には順序はありません。掛け算と割り算はどちらから計算しても同じです。
また、左から順番に、という規則もありません。右から計算しても同じです。
なるほど、考えれば考えるほど、答えは9でも正しそうですし1でも正しそうです。


ここは一つ、経営コンサルタントらしく、別の具体例を出して考えてみましょう。

 

 

 



私が中学時代に使用していた高校受験用問題集を引っ張り出してきていろいろと考えてみました。
ここで私は次の2つの計算式を考えてみました。
次の2つの計算式は計算自体はどちらも正しいことは分かっていただけると思います。


9÷(1+2)^2=1 ・・・@


9÷(1+2)×(1+2)=9 ・・・A

 

「^」はべき指数を表します。
例えば2^3は「2の3乗」を表します。すなわち、2^3=8 ですね。

同様に考えますと、3^2 はと言いますと、「3の2乗」を表すわけですから、「3の2乗」は9ですね。
この「9」はどうやって計算したかと言いますと、3^2であり「3の2乗」ですから、「3×3」と計算したはずですね。
つまり、
3^2=3×3 (=9)
のはずです。
とここで上記の2式@とAを見て欲しいのです。
3^2=3×3
ならば
(1+2)^2 = (1+2)×(1+2)
のはずなのに、@とAとでは答えが違っています。
おかしいですね。ということは
(1+2)^2 ≠ (1+2)×(1+2)
ということでしょうか。
3^2 ≠ 3×3
ということになりますと、数学や算数が根底から崩れることになりますが。
この辺りに一番最初の「6÷2(1+2)=?」を考えるヒントがありそうです。

 

 

 



「べき指数」の部分のみを見ますと、
3^2=3×3
は当然正しく、
(1+2)^2 = (1+2)×(1+2)
も当然正しいのです。

ところが、この「べき指数」が計算式の中に出てた際には、べき指数を単純に掛け算に展開すると少しまずいことがあるのです。
「べき指数」は非常に強い意味を持ち、べき指数全体を強い塊として見ないといけないのです。
「べき指数」の計算は他の掛け算よりも優先して行わないといけないのです。
これが私が考えた計算式@とAで答えが違っている理由です。

 


さてここで一番最初の計算式「6÷2(1+2)=?」に戻りましょう。
この計算式には「べき指数」そのものは出てきませんが、加減乗除の計算規則上先ほどの考え方が応用できないでしょうか。
つまり、
2(1+2)
の部分は、単純に
2×(1+2)
と展開するのではなく、掛け算の「×」がない分強い塊だと見なさないといけない、と考えるのです。
確かに掛け算と割り算に計算の順番はないが、掛け算の「×」がない場合は、既に掛け算の計算は終わっている、と考えるのです。
すなわち、2(1+2) は単純に 2×(1+2) ではなく、
{2×(1+2)}
となるのです。
掛け算の「×」が省略された部分は、他の掛け算よりも優先して行わないといけないのです。








以上の説明を踏まえますと分かってくるかと思います。
6÷2(1+2) は、

6÷2×(1+2)

ではなく、

6÷{2×(1+2)}

が正しいのです。
すなわち、「6÷2(1+2)=?」の正しい答えは、


 「 1 」


です。
9は間違いということになります。

 


 

 



ネット上では9が正しいという意見が多いような印象です。
1は間違いであり9が正解であることを解説したサイトもあります。
また台湾では9という答えが正しいという政府公式見解が発表されたそうです(本当なのでしょうか?)。
米ヤフーの質問サイト「Yahoo! Answers」でも全く同じ問題が質問されていますが、
9という回答が多いですね。ベストアンサーも9になっています。
大学の数学の教授で数学の博士号を持っている人も「Yahoo! Answers」で回答していますが、
その人も9が正解だと回答しています。この人の回答もベストアンサーに選ばれています。

しかし、台湾やアメリカで数学をどう教えているのかは知りませんが、学問的には正解は「1」です。

 

 

 


私は中学・高校時代もそれほど数学の成績が良かったわけではありませんし、
大学も数学専攻ではありません。
もちろん数学の修士号や博士号も持っていません。
現在も中学校や高校や塾や予備校や通信教育その他の教育機関で数学教育に携わっているわけでもありません。
私は数学の専門家ではありませんが、まあ中学一年で一番最初に習う加減乗除の計算規則に関する程度の問題ですので
自分の考えでまず間違ってはいないだろうと思いましたのでコメントしました。

 

 


 


私が中学時代に使用していた高校受験用問題集に開成高校の入試問題がありましたのでスキャンして紹介します。
日々の経営でもよくある、「P円値上げしたら、客数は何割くらい減るのか?」という問題に通じる考え方です。
売上高や利益額を最大化する価格はいくらか、を考えるのに役立つ問題です。
売上高を増やしたいので価格をあげたいがそうすると客が離れていくことも考えないといけない、
価格を下げると客は寄ってくるかもしれないが、客単価が下がるので売上の伸びも小さくなる、
さて、価格をいくらに設定する?という「プライシング戦略」(マーケティングの4P)にも考え方は通じると思います。

まさかこの問題集をスキャンする日が来ようとは思いませんでしたが。
ちなみに、この問題集の値段は当時「寛子十円」でした。今だと「富美百円」以上してもおかしくないと思います。

 


問題
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値上げすると客数は減る、そして逆もしかり
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解答
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練習問題(筑波大付、お茶の水女子大付)
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練習問題解答
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