2011年3月7日(日)



再送:UPDATE3: 日立<6501.T>がHDD事業を米WDに3500億円で売却へ、インフラ注力鮮明に


 [東京 7日 ロイター] 日立製作所は7日、ハードディスクドライブ(HDD)子会社の
日立グローバルストレージテクノロジーズ(HGST、米カリフォルニア州サンノゼ市)を米ウェスタン・デジタル(WD)に
約3500億円で売却することで合意したと発表した。新規株式公開(IPO)計画は撤回する。同日夜記者会見した中西宏明社長は、
売却資金の使途について、「(インフラ関連など)社会イノベーションでの成長戦略の投資需要が挙がっており、いくつかは候補になる」
と注力分野への再投資に振り向ける意向を示した。
 中西社長は、IPOではなくWDへの売却を決めたことについて「HGSTがより有利な条件で独立することは必然」と述べた。
WDは現金35億ドルとWDの株式2500万株(約7億5000万ドルに相当)で、HGSTの全株式を買収する。
 これにより日立は、WDの発行済み株式総数の約10%を保有して筆頭株主になる。WDへの10%出資で筆頭株主になる
ことについては、HGST従業員の権利を確保するだけでなく「(2社の統合で)非常に魅力的な会社ができるので、次の売却で
より多くのリターンが得られる」とした。日立から2人がWDの取締役に就任する。HGSTの
スティーブ・ミリガン社長兼最高経営責任者(CEO)は、WDの社長に就任し、WDのジョン・コインCEOに次ぐナンバー2になる。

 
  <総合電機、定義に意味はない>

 中西社長は会見で、「社会イノベーション事業を世界展開するにはリスクをきっちりマネージする必要があり、
相応の資金の裏付けが必要。成長路線にもっていくには今回のような売却も必要だ」と強調した。今回のHDD事業の売却で
日立が総合電機という形態から一段と離れていくのかどうかについて同社長は、「総合電機という定義はもうあまり意味がない。
事業自体が強くなり、株主からいただいている責任を果たせるかどうかで判断している」と語った。
 日立は2002年末に米IBMのHDD事業を20億ドル(当時のレートで約2500億円)で買収し、日立のHDD事業と統合。
日立によると、03年から10年までの通算営業損益は335億円の赤字。最終損益は公表していないが、
買収金額と売却金額の差し引きを含め、HDD事業の買収から売却に至るトータルの収支は「金銭面ではプラス」(中西社長)という。
 株式譲渡は世界各国の独禁法当局からの認可などを条件に、2011年9月末までに完了する予定。米調査会社IDCによると、
HDD全体のシェアはWD31%、米シーゲイト・テクノロジーズ29%、HGST18%などとなっている。
独禁法上の審査について中西社長は「多分クリアできると思うが、一番心配なのは中国」と述べた。
 HGSTをめぐっては、赤字が続いた07年当時に売却を検討し、複数のプライベート・エクイティ・ファンドと交渉した経緯がある。
その後、パソコンやサーバーなどの需要増加とともに業績は回復し、四半期ベースで黒字化。日立は、HGSTを
米株式市場でIPOするか他社への売却かの可能性を模索し、昨年秋にはIPOに向けゴールドマン・サックスなど複数の投資銀行を
主幹事団に選定していたが、結果的にはIPOを撤回し、ウェスタン・デジタルへの売却となった。
(ロイター 2011年 03月 8日 01:27 JST)
ttp://jp.reuters.com/article/jpmarket/idJPnTK054566420110307

 

 

 

 



日立、世界最大手へのHDD事業売却発表 3500億円で

 日立製作所は7日、パソコンやデジタル家電のデータ記録に使うハードディスク駆動装置(HDD)事業をHDD世界首位の
米ウエスタン・デジタル(WD、カリフォルニア州)に売却すると発表した。売却額は約43億ドル(約3500億円)。日立は市況変動で
収益が安定しない事業を本体から切り離す成長戦略を推進しており、経営資源を主力の社会インフラ事業に振り向ける。
 全額出資子会社でHDD世界3位の日立グローバルストレージテクノロジーズ(HGST、カリフォルニア州)の全株式を
9月末までに売却する。対価として現金35億ドルとWD株2500万株を得る。日立はWDの発行済み株式の10%を保有する筆頭株主となり、
2人を取締役として派遣する計画だ。
 日立は2003年に約20億5000万ドルを投じて米IBMのHDD部門を買収。日立の同部門と統合しHGSTを発足させた。
日立にとって過去最大の買収案件だったが、07年12月期まで5期連続の営業赤字が続くなど苦戦。リストラ効果などで10年12月期の
営業損益は572億円の黒字だったものの、ノートパソコンの流通在庫増などから今後も市況変動が避けられないと判断した。
 日立は昨年11月にHGSTが米国で上場する準備を始めたと発表していた。
だが事業拡大を狙ったWDがそれを上回る好条件を示したことで上場方針を転換した。
(日本経済新聞 2011/3/7 21:36)
ttp://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819696E2E5E298E38DE2E5E2E1E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2

 

 

 

 



【コメント】
今日一番のビッグニュースです。
動きの鈍い日立がついに動き始めたな、という印象です。
日立にとって正しい選択と集中だと思います。
今までの日立を表現するなら、


Too big to move.


となるでしょうか。
大きすぎて動けない、といった意味です。
それとも、こう表現した方がいいでしょうか。


Too established to shift.


長い歴史があり社会から認められた存在であるが故に「戦略シフト」できない、
という意味です。

 

 

 

 



新リース会計基準、利用企業の7割「なじまない」

 リース事業協会は7日、国際会計基準審議会(IASB)がまとめた新たなリース会計基準の草案について、
リース利用企業を対象に実施した調査を公表した。草案がすべてのリース契約を貸借対照表に反映させる方向を示したのに対し、
調査企業の約7割が「オペレーティングリース」と呼ばれる一部の取引のオンバランス処理を「なじまない」と回答した。
調査は上場企業などリースを利用する171社を対象に実施した。
 都内で会見したリース事業協会の小幡尚孝会長(三菱UFJリース会長)は
「大多数の企業が新リース会計基準について強い懸念を持ち、実務上も対応が困難と評価している」と述べた。
調査を踏まえてリース事業協会は国内のリース会計基準の維持などを盛り込んだ意見書を作成。
同日、国内の会計基準づくりを担う企業会計基準委員会(ASBJ)に提出した。
(日本経済新聞 2011/3/7 19:04)
ttp://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819591E2E5E2E3918DE2E5E2E1E0E2E3E39797E0E2E2E2

 

 

 





【コメント】
日本の会計基準はIFRSと言い始めた時からおかしくなった。
率直に申し上げて、IFRSには実態と整合性の取れない会計処理が多過ぎます。

 

IFRSではそれまでなかった用語を無理やり作り出しているように感じられます。
例えば、IFRSの特徴の1つ言われている「原則主義(principles based)」という用語。
はっきり言いますが、会計基準においては「原則主義(principles based)」などという言葉はないのです。
「原則主義(principles based)」の対極にあるのは「細則主義(rules based)」という用語とのことです。
実はこれもはっきり言ってしまえば、「細則主義(rules based)」などという言葉もないのです。
会計基準とはルールです。
「細則主義(rules based)」という言葉すらないくらい、会計基準とはルールそのものなのです。
「原則主義(principles based)」と言っている時点で、ルールはルールではない、と言っているようなものです。
自己矛盾も甚だしいと思います。
「原則主義(principles based)」という用語も「細則主義(rules based)」という用語も後になっていきなり出てきた用語です。
何度でも繰り返しますが、会計基準とはルールです。
その時々で都合よく解釈を変更してよい”原則”などではありません。

 

 


 


他にも、「資産負債アプローチ」という用語もIFRSの大きな特徴だ、と言われています。
しかしこれも「資産負債アプローチ」という用語は従来はありませんでした。
「資産負債アプローチ」の反意語は「収益費用アプローチ」とのことですが、
「収益費用アプローチ」という用語も昔からありませんでした。
財務諸表の作成においては「資産負債アプローチ」も「収益費用アプローチ」もありません。
目の前の仕訳処理を正しく積み重ねていくことが財務諸表作成の基礎であることは完全に同じで、
一本一本の仕訳の積み重ねが正しい財務諸表につながっているという財務諸表の構造自体は変わりません。
IFRSでは「収益費用アプローチ」から「資産負債アプローチ」へ変わる、
などと言われていますが、どちら用語も後になっていきなり出てきた用語です。
「資産負債アプローチ」などという用語を作り出して、ただ単に資産の部(特に固定資産)の勘定科目の評価替えを
行いやすくしているだけなのではないかと勘ぐりたくなります。

 

 

 

 



まだあります。
IFRSでは連結会計が「親会社説」から「経済的単一説」へと大きく変化する、などと言われています。
何を言っているのか全く分かりません。天変地異にもほどがあります。
これについては以前も書いたかと思います。
連結会計には始めからIFRSが言うところの「親会社説」しかないのです。
「経済的単一説」という考え方は存在しません。
「親会社説」という用語も「経済的単一説」という用語も昔からなかったのです。
「経済的単一説」という用語は言うに及ばす、「親会社説」という用語すら昔からありませんでした。
「親会社説」という用語すらないくらい、連結会計はIFRSが言うところの「親会社説」しかあり得ないのです。
今でも連結会計は「親会社説」しかありません。
なぜ「経済的単一説」という用語がはびこっているのか不思議でなりません。
連結会計には親会社説しかあり得ないのに、なぜ経済的単一説だなど言っているのかまるで分かりません。
IFRSは狂っているの一言です。
「親会社説」という用語も「経済的単一説」という用語も後になっていきなり出てきた用語です。
まあ純資産の部の額を何としてでも大きく見せようと必死になっているのだろうな、と察しはつきますが。

 

 

 

 



私も昔からまあ人並み以上に経営や会計を勉強してきた人間です。
その私から見てIFRSはひどすぎます。


「原則主義(principles based)」という言葉を数年前初めて耳にした時、一体何のことだろうな?と思いました。
「細則主義(rules based)」という言葉を数年前初めて耳にした時、一体何のことだろうな?と思いました。
「資産負債アプローチ」という言葉を数年前初めて耳にした時、一体何のことだろうな?と思いました。
「収益費用アプローチ」という言葉を数年前初めて耳にした時、一体何のことだろうな?と思いました。
「経済的単一説」という言葉を数年前初めて耳にした時、一体何のことだろうな?と思いました。
「親会社説」という言葉を数年前初めて耳にした時、一体何のことだろうな?と思いました。


全ての用語の意味が分かりませんでした。
そしてありもしない考え方に名称をつけているだけだと知って愕然としました。
それくらいIFRSではそれまでなかった用語を無理やり作り出しています。
IFRSは話が矛盾し過ぎていて、もはや意味不明という領域に入っています。

 

 

 

 

IFRSは何と読むのですかという質問をよく受けます。
今日答えを教えてあげます。

 

IFRSと書いて「作り話」と読みます。