2011年2月25日(金)



インタビュー:日産・ルノーの資本関係を3年以内に見直す=ゴーンCEO


 [横浜 25日 ロイター] 日産自動車と仏ルノーのカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)は、
日産とルノーの資本関係を今後3年以内に見直す考えを明らかにした。
 中核の自動車事業で低迷するルノーは、日産との資本関係を見直すことで手元資金を有効活用することを投資家から求められている。
ただ、ゴーンCEOは両社が合併する可能性について否定した。
 現在、ルノーは日産の株式を43.4%、日産はルノーの株式を15%それぞれ保有している。ルノーは今月10日、
2016年までの6カ年経営計画を発表したが、そこには投資家が期待したような資本力の改善策が示されず、
同社株式の失望売りを招いた。ルノーをカバーするアナリストは、グループの効率化を図るために
ルノーが日産を吸収合併することや、ルノーが保有する日産株を一部売却するのが妥当だとの声も出ていた。
 ゴーンCEOは25日、ロイターのインタビューに対し、日産・ルノー連合の資本関係の見直しに対する市場の期待が
「予想以上に高かった」と述べ、その上で「合併はしないが、資本関係を見直していく」と語った。
「ルノーが(日産との資本提携に対して)『お金を使い過ぎている』とする投資家の懸念に応える」と述べ、
ルノーの新経営計画の中間地点となる3年以内に実施したいとの意向を示した。詳細については言及を避けた。
 ゴーンCEOは日産・ルノーの資本関係の見直しが、現時点での最大の経営課題との認識を示し、
「(今後起こりうる)すべての影響について検証しなければならない」と述べた。その上で、
両社にとって「非常にデリケートなバランスの問題で、ルノーと日産の双方の株主を満足させなければいけない」と語った。

 

 

 


 <後継者には日本人が望ましいとの考え>

 日産で2001年から現職に就いているゴーンCEOの去就にも関心が高い。CEOは自らの去就について
「ルノーのトップを務めている限りは、日産のCEOであり続けることも提案したい」と語った。
「経営者が同じならば、日産・ルノーの提携関係や経営判断も継続するからだ」と説明した。
ルノーCEOの任期は2014年まで。一方、日産のCEOの任期は2年ごとに改選される仕組みで、今年が改選期にあたる。
後継者は日本人が望ましいかとの問いに対しては「日産の社員がよく知っている人が大前提。
個人的には日本人が望ましいと思うが、株主が決めることだ」述べた。
 中東の政情不安などから原油価格が上昇していることについて、ゴーンCEOは原油高は好ましくないが、
電気自動車(EV)の投入により、備えはあると語った。日産はグローバル向けのEV「リーフ」を昨年12月に発売した。
ただ、原油高によってさまざまな市場の成長がスローダウンする可能性があるとの懸念も示した。(INVESTMENTVIEWS)
(ロイター 2011年 02月 26日 01:04 JST)
ttp://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19729420110225

 

 

 

 

 


【コメント】
あまりコメントしないほうがいいかもしれませんが。


日産とルノーの資本関係を見直すということであれば、記事にありますように、

>ルノーが保有する日産株を一部売却する

というのが自然な流れなのかもしれません。


>ゴーンCEOは日産・ルノーの資本関係の見直しが、現時点での最大の経営課題との認識を示し

とありますが、ルノー側から見ると、日産を子会社化していることによるシナジーがあまりないということなのでしょうか。
生産面でも販売面でも提携の効果が余り芳しくないのかもしれません。
例えばアジア地域では日産が強すぎてルノーの出る幕があまりなく、奇妙な住み分けができてしまっているのかもしれません。
理想を言えば、日産の一部の車種を欧州でも生産・販売する、ルノーの一部の車種を日本やアジア地域でも生産・販売する、
研究開発の成果も相互に利用しあう、という風に、生産面・販売面・研究開発面でシナジーを発揮していきたかったのでしょうが、
思ったほど提携の効果が大きくないのかもしれません。
生産面でも販売面でも研究開発面でも、ルノーはルノー、日産は日産、という風に分かれたままなのかもしれません。
本当ならもっとルノーと日産を融合させていきたかったのかもしれませんが、
国の違い、言語の違いが大きな壁になっているのかもしれません。

 

 

 


>ルノーが(日産との資本提携に対して)『お金を使い過ぎている』

というのは、ルノーの貸借対照表の中で日産の株式が大きな額を占め過ぎているというという意味です。
ルノーが日産の株式を保有しているということは、ルノーの現金が日産株式に固定されているということです。
日産株式に現金が固定されている限り、ルノーはその現金の分を他のことに使えません。
日産株式に大金をつぎ込んでいるが日産株式から大きなキャッシュを生み出せていないのではないか、
とルノーの株主は懸念しているわけです。
資本提携や子会社化というのは現金をその株式に固定するということです。
固定するからこそ、その会社に深くコミットメントするという意思を示していることになるわけです。
ルノーが日産に非常に深くコミットメントしているのは事実です。
しかしそのコミットメントから生産面・販売面・研究開発面におけるシナジーが生まれていないのでしょう。
ルノーは今、現金の使い方について考えなければならない時期にきているということなのでしょう。

2011年2月25日現在、
日産の株式時価総額は4兆8億3200万円です。
一方、ルノーの株式時価総額は約1兆4281億円です。
現在の異常な円高ユーロ安を考慮に入れても、やはり日産の方が株式時価総額の面では圧倒的に大きいと言わざるを得ません。
しかも、今後の中国をはじめとした新興国での自動車販売の伸びを考えますと、
やはり日産の方が有望なのかもしれません。
子会社の方が株式時価総額がずっと大きい状態です。
極端な話、日産を買収しようと思ったら、ルノーを買収した方が安上がりなわけです。
親子会社間の資本関係を何とかしたいという思いは、ルノー・日産双方にあるのだと思います。

この辺りのことを考えてルノーと日産の資本関係を見直すと言っているのでしょう。

 

日産の次期社長については何も言うことはありません。
適切な人材が就任してくれればと思います。